about him

俳優・勝地涼くんのこと。

『ハケンの品格』(1)-1(注・ネタバレしてます)

2008-01-30 01:43:06 | ハケンの品格
2007年1月期日本テレビ系列で放映された連続ドラマ。勝地くんは主な舞台となる「S&F」社の新入社員・浅野務役で出演。
実に3年ぶりの連ドラ出演とあって、ずいぶんと緊張したらしいことが『ピクトアップ』2007年2月号をはじめとする当時のインタビューからうかがえます。

平均20%以上という高視聴率を記録した作品ですが、勝地くんファン的にはあまり美味しくはなかったですね(笑)。
レギュラーとして毎回出番はあるし、台詞がない時でも画面に映りこんではいるものの、ストーリーの大きな流れにはさほどからまない。浅野くんのプロフィールにあった「昆虫マニア」「メカが得意」という設定も、特に後者は全く無視。
若手俳優のうちでは演技派で通っている勝地くんを起用しておきながら、もったいないな、という感覚がずっとつきまとっていました。

以前こちらで、「もしも脚本の不備で設定が破綻しているキャラを演じるはめになったとしたら、さぞや苦労することでしょう」と書いたことがありますが、ある意味この『ハケンの品格』がそうだったんじゃないかと思います。
といっても脚本の出来が悪いということではないです。むしろこのドラマがこれほどの人気を得たのは役者さんの功績以上に、キャラの掛け合いをテンポよく描いた脚本の魅力に負う部分が大きい。

日頃ドラマをほとんど見ない私が言うことではないんですが、ドラマには大きく2つのタイプがあるような気がします。
1つめは人気俳優・女優さんを起用し、テーマの話題性と(時にあざといまでの)視聴者のツボをつくストーリー展開とで最初から高視聴率をあてこんだ作品。2つめはある程度視聴率は度外視したうえで、実力派のキャストを揃え、しかとしたテーマを伝えようとする志のある硬派の作品。
勝地くんはこれまで圧倒的に2つめのタイプの作品に起用されることが多かった。『永遠の仔』しかり『さよなら、小津先生』しかり。

しかし『ハケン~』はどちらかといえば1のタイプに属する作品(正確には1でも2でもない3のパターンだと思いますが。それについては後述)。
大枠のストーリーは定めてあったでしょうが、オリジナル脚本の強みを生かして、視聴者の反応を見つつ大胆に用意のエピソードを取捨していったのでは。

例えば、3、4回あたりが放映されている頃のテレビ雑誌には、大泉洋さん演じる東海林武は「以前ハケンに振られた経験がある」(ゆえに東海林はハケンを毛嫌いする)とあったのですが、本編ではその設定は全く触れられなかった。
第一回でちょっと登場した松方弘樹さん演じる桐島部長の奥さんが元ハケンという話も、何かの伏線かと思えばその後一切語られない。
当初は東海林の失恋や桐島の奥さんに関するエピソードも心づもりがあったんでしょうが、ヒロイン春子(篠原涼子さん)のスーパーハケンぶりや春子と東海林の口喧嘩、春子・東海林・里中(小泉孝太郎さん)の三角関係などに人気が集中したのを受けて、彼らをよりフィーチュアし、それにともない話数的にも流れ的にも余計になるエピソードはどんどん切ってしまったんでは。
内容を変更したというより、最初から視聴者の反応次第で当初の展開予定を変えることも考慮にいれて、数々の伏線・可変性の高いエピソードを(「捨て伏線」が多々発生するのを承知のうえで)仕込んだのではないか。

これは作品の完結前に観客の評判が聞こえてくる連続ドラマならではの現象であり(舞台も千秋楽までに多少演出や台詞が変わることがあるが、筋まで変わってしまうことはまずない)、掲示板サイトやブログの普及で視聴者の意見がよりストレートに見えるようになった近年、ドラマの内容が視聴者の声に左右される度合いはより増してそうです。
『ハケン~』は「撮って出し」のぎりぎりなスケジュールで撮影がなされていたそうですが、それはキャストのスケジュールの都合や脚本家の遅筆(脚本の中園さん自身が著作(※)で「私はものすごく遅筆で、連ドラを書いている最中に何度も詰まって書けなくなる。」と記しています)のせいばかりでなく、視聴者の声を吸い上げ脚本・演出に反映させる必要上、あまり撮りだめしたくないという事情もあったのかも、と勝手に想像したりしています。
視聴者の反応によっては、第5回で小松政夫さん演じる小笠原をメインに据えたように、浅野や販売二課の黒岩(板谷由夏さん)を中心にしたエピソードも十分ありえたのでしょう。

勝地くんのインタビューを読んでいると、彼がその時々で演じる役を表層的にでなく作中のエピソードに直接現れないような部分も含めた一個の人格として把握しようとしているのが伝わってきます。だから彼のお芝居には奥行きがある。
それだけに、周囲の状況いかんであえて設定や伏線を無視する、ぎりぎりまでどんな方向にストーリーが動くのかわからない作品は、キャラクターを深く把握しようがない、というより当初与えられた設定からおよそ把握したつもりでも設定自体がなかったことになるという点で多分に戸惑いがあったんじゃないでしょうか。ここ3年出演ドラマは単発のみ、それ以前も2のタイプの作品が主体だった勝地くんにはほとんど初めての経験だったかもしれない。撮影当時のインタビューが全体にナーバスな調子だったのは、この戸惑いによる部分も大きかったのかも。

前掲『ピクトアップ』で、
「いまだにドラマに出てると『この表情ください』って言われて、その場ですぐ表情を変えられる方々を観て、すごいなあと思います。自分だったらそんな瞬間で表情をつくるのは難しいなあ、まだまだだなあ、って思ってしまうんですよね」
と語っていたのにも、表情の一つ一つに心理的な裏づけを求めてきた彼が、自分の方法論の通用しない場所で苦戦した形跡が感じられます。
役を深く掘り下げるだけでなく、とっさに「らしい」表情を作ってみせるのも俳優の腕の見せどころでしょうから、その意味で学ぶところの多い現場だったんじゃないですかね。
浅野のキャラは深く作りようがないなりにドラマ内で描かれた言動に矛盾がないので、勝地くんなら技術的には難しい役ではなかったと思うんですが、役柄を技術より心で演じることを大事にする彼のこと、きっとまたあれこれと考え込んでしまったんでしょうね。そこが彼の良さなんですけれど。

 

※ 中園ミホ『恋愛大好きですが、何か?』(光文社、2007年)←『ハケンの品格』の裏話が若干あり。巻末に篠原涼子さんとの対談も収録。


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『SOUL TRAIN』メイキング(2)

2008-01-27 01:48:45 | SOUL TRAIN
・黄川田将也くんクランクイン。開口一番「うちの勝地がすみません」。
勝地くんと黄川田くんは『バトル・ロワイアルⅡ』で共演してますが、相変わらず仲いいんだなあと微笑ましくなりました。
この後もたびたびじゃれあっていますが、どちらかというと6歳年上の黄川田くんの方が勝地くんに甘えた感じなのが面白い。

・川村の付け胸毛。本編ではほとんどわからなかったのが残念。
川村のトレードマーク?の、着る人を選びそうな紫色のシャツも実にお似合いでした。

・真唯ちゃんが回すメイキングカメラに向かって「やっぱりソウルトレインだよねー」とわざわざ意味なさすぎる会話をする勝地くんと黄川田くん。何でも「ソウルトレイン」と――(以下略)。

・いきなりモノマネをやらされた黄川田くんが「誰かとつながっていたいから」とか言って勝地くんの手首を握る。
さらに「涼はね、(モノマネが)上手いんだよー」と振るし。「何ゆってんだよ」と勝地くん逃げに入るし。
「あゆ(浜崎あゆみさん)のモノマネとかよくしてた」(『BRⅡ』のときに?)そうですが、どっちかというとあやや(松浦亜弥さん)のモノマネがはまるイメージが。双子役出来そうなくらい顔のタイプが似てますよね。

・ポルシェさんがピーな台詞を言いたがるも「ソウルトレイン風紀委員会」の反対により果たせず。
勝地くんと二人のシーンを撮影してるときも、アドリブで一杯下ネタ喋ってたのに、編集段階でザクザク切られてしまったとか。

・殴られメイクをしたポルシェさん、「ソウルトレイン」といかにも痛そうに言ってみせるのですが、これが真に迫っていて・・・。
ポルシェさんは『ソウルトレイン』がほとんど初演技だそうですが、俳優としても十分いけそうです。

・レジ前で記念撮影後、わざと偽傷を痛がってみせるポルシェさんと、笑いながら「大丈夫?」と言う勝地くんのやり取りがなんだか可愛いです。

・川村と「白い女」が抱き合うシーンで、監督が自ら演技をつける。真唯ちゃんの代わりに黄川田くんと抱き合うという・・・。
公式サイトのギャラリーでこの場面の写真を見たときも思いましたが、黄川田くん可哀そう(笑)。

・黄川田くん、歩くのが早すぎてフレームアウト。
「出ちゃった~」と照れ笑いする黄川田くん、顔立ちはクールなカッコいい系なのに性格的にはかなり可愛い人ですねえ。

・おばちゃん(浅見千代子さん)が監督の肩を後ろから抱くようにして記念撮影。その後のシーンで監督の左頬に口紅が(笑)。

・おばちゃんと勝地くん、ポルシェさんの3ショットで「ソウルトレイン」。このときの勝地くんとポルシェさんの手の位置が・・・。
2月のDVD発売記念イベントで勝地くんが「胸を触らされました・・・触らせて頂きました」とか言ってたというのはこれのことかー。そう思って見るとちょっと複雑そうな笑顔をしてます。

・須藤の罵倒台詞に監督の演出が入る。いろいろ罵倒のバリエーションを試す勝地くんの口調がどんどんヤクザっぽくなってる(笑)。監督も面白がってませんか?

・勝地くんのインタビュー。話し方がほとんど独り言のよう。
そして「と思う今日この頃です」とか強引な締め方(笑)。後の『犬顔家~』の時にも話してた彼のコメディー、笑いについての考え方も聞けます。

・乱闘シーンを撮ったあとにポルシェさんと黄川田くんが寝転んだまま軽く抱き合って(というか黄川田くんが腕枕して)記念撮影。「すごかった・・・」ってあなたたち(笑)。

・夜中に罵声シーンを撮影することで「近所の人はどう思っているんでしょうか」と気にする勝地くん。
こういう当たり前の感覚、常識というより良識を持ってるところが彼の良さですね。
しかし聞こえてくる台詞が「やりてえよおー!」「この童貞があー!」「マジぶっ殺すぞー!」とかですから、それこそ「どんな作品を撮ってるんだ!?」と思われてたでしょうねえ。ちょっと逃げたくなるかも(笑)。

・「時間は3時、30、5」と指を折って時間を示し、カメラに向かって笑顔で親指を立てる勝地くん。
疲労の色は隠せませんが、外見は須藤なのに仕草や表情のいちいちが何故こう格好いいのだろう。
メイキングの勝地くんを見ていると、須藤くん(がモテるため)に足りないものが何なのか見えてくる気がします。

・テーマソングのテンポに乗せて店内の張り紙などをクローズアップ。このあたりの画面の切り替え方がスマートでカッコいいです。

・主題歌を担当するFLOWのKOHSHIさん(ダリまがい役)が登場。
「FLOWからきましたKOHSHIと申します」という挨拶の文法の微妙さが笑えます。何となく『ハニカミ』でしずちゃんが「南海キャンディーズのしずちゃんと申します」と挨拶したのを思い出してしまった(笑)。
KOHSHIさんは本当にダリがお好きなんだそうで。本当にブロンソン好きの田口トモロヲさんと言い、何たる適材適所。

・エロビデオを両手に「ソウルトレイン」と笑顔で言うKOHSHIさん。ビデオのタイトルがアレなだけに笑えます。

・田口トモロヲさんのブロンソン語りの早送り。実際は何分間語り続けたのだろう。すごいお人だ。

・まこちん先生登場。開口一番「いーいところでやってんな」。
監督用のモニターがあるのはアダルトビデオのコーナーだとか。確かにちょっと役得かも。

・黄川田くんと勝地くんが手をぱちんとやろうとして、手前で勝地くんがよける→黄川田くんが「こいつー」って感じで勝地くんを押さえ込む。
作中では不仲(というかほぼ相互不干渉)な二人がむやみと仲良しなのが微笑ましいです。ついでに黄川田くんの「ソウルトレイン」の声がなんかセクシー。

・オールアップの黄川田くんを見守る勝地くんがすごくへろーんとしてる(笑)。そろそろ眠気もピークの様子。
「よく見ると明るいですよね。明らかに!」というエクスクラメーション付きの言い方に、「まだ終わらないよー!」という勝地くんの疲労のほどがしのばれます・・・。

・勝地くんオールアップ。「いやいやいや~」しか言わない(言えない)あたり、眠くて頭が回ってないんだろうなあ。
「終わった・・・」という言葉が「これで寝られるー!」に聞こえてしまった(笑)。

 

たった5日間(勝地くんはこちらのインタビューで「5日間?6日間じゃないかな?」と言ってますが、たぶん夜明け頃にアップした他キャストの感覚で行くと5日間、さらに10時頃まで撮影の続いた勝地くんの感覚だと6日間(実質5日半?)ということなんでしょうね)という超ハードスケジュールで撮られたこの作品。
とくに一部『吉祥天女』と掛け持ちしてた勝地くんはそりゃあ疲労困憊だったろうと思います。
最終日などほぼ一日半ぶっ続けの撮影だったようで、勝地くんいわく「『イージス』以上にきつかった」そうですし。
しかしある意味限界ぎりぎりの疲労によるナチュラルハイ状態が須藤の振り切れた演技につながったようにも思えます。

そしてキャスト以上に監督をはじめとするスタッフの疲れは相当なものだったでしょう。
黄川田くんがオールアップ時に勝地くんの襟首をつかみあげて「寝起きですこいつ」と言ってたように、キャスト陣はまだしも撮影の合間で仮眠することもできますが、監督たちはその間も次のシーンのための打ち合わせや準備に追われてるんでしょうから。
キャスト&スタッフの大変な頑張りのもとに、あのゆるーい作品が出来上がったというのが面白いです。
きっと演じた当人たちがモニターで演技を確認しながら、「暇そうでいいなお前ら!」とかツッコんでたんじゃないですかね。
『DVDでーた』2007年1月号でポルシェさんが語っていた通り、「ビデオ屋の店員が、バイト仲間の彼女がカワイイって身もだえするだけのダメダメな作品を、こうして1枚のDVDにしてしまうということ自体、日本の文化レベルが高いということのひとつの証明」な気がします。


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『SOUL TRAIN』メイキング(1)

2008-01-22 03:06:00 | SOUL TRAIN
1月26日に満を持して?発売の『ソウルトレイン』DVD特典。主演の勝地くんは当然ほぼ出ずっぱりとあって、ファンには実に美味しい(笑)。

またメイキングの構成も、高橋真唯ちゃんがカメラを回している場面に象徴されるように手作り感が満ちている一方、シーンの切り替え・映像の繋ぎ方にはCFかPVのようなテンポの良さがあった。こんなに見てて楽しいメイキングは初めてでした。
なんだか映像系専門学校の学生さんたちの卒業制作的(そういう作品を見たことあるわけじゃないので単なるイメージなんですが)な、「意気軒昂な才能ある若者が、メイキングという場を借りてショートムービー作っちゃいました」感があって、メイキングというより一個の映像作品として拍手を贈りたい気持ちになったものでした。
このメイキングの編集も三浦監督が手がけたんでしょうか?ともあれいいものを見させていただきました♪

 

・壁を背景に立つメインキャスト4人の撮影。カメラに向かってイーって顔でピースする勝地くん、気心の知れた黄川田くんが一緒だったからか何だかいたずらっ子モードです。隣でポルシェさんもカメラにガンくれてます。
目を細め満面の笑顔を浮かべる黄川田くんも、無愛想な川村とは対照的に人懐こい印象。彼といい勝地くんといい、服装やメイクは一緒でも役を演じてる時とは見事に別人ですね。
最後にみんなでイーッとするのも仲良し感があっていいなあ。

・店とバックルームの張り紙やら小道具やらを紹介。
「野木さんに貸しているお金リスト」(気弱な須藤が一人でこれ作ったとは思えないので野木は他のメンバーにもお金借りてるんでしょうね)とか細かいなあ(笑)。

・キャストやスタッフの語る言葉が字幕で出るのですが、この字幕が手書き(女の子文字)なのが、なんかアットホームな味わい。

・クランクインの挨拶。撮影準備中のため仕方ないとはいえ、勝地くんは寝ぐせ作製用のピンをとめたままなのが可笑しい。本人ちょっと気に入っているようですが。

・シーンの切れ目でたびたびキャストや監督が「ソウルトレイン」と合いの手?を入れる。なんかこういうところの気軽い手作り感がゆるーいこの作品にぴったり。

・「ソウルトレイン」と言いつつ踊るようなポーズの勝地くん。ポルシェさんともどもノリノリです。

・「白い女」こと高橋真唯ちゃんクランクイン。監督いわく「はやくきれいなもの撮りたくてね」。勝地くんじゃダメですかー?
真唯ちゃんがにっとした笑顔でカメラに向けて両手親指を立てて見せるのがキュートです。

・「白い女」ってどんな人?との質問を受けて、「つかめませんね」と答えた勝地くんが、それきり言葉につまったか意味なく「ソウルトレイン」と続ける。何でも「ソウルトレイン」って言っときゃいい雰囲気ですねもはや。
ところで勝地くんの「トレイン」の発音が何げにちゃんと英語っぽい気がするんですが。

・勝地くんがくしゃみをしてNGを出す。みんなから「えーっ」と非難の声?を浴びせられて「すみません」と苦笑気味に謝る姿がちょっと須藤風(あんなにおどおどしてないけど)。
このくしゃみなんですが、豪快というには可愛らしく可愛いというには豪快で、そこがすごく勝地くんらしい気がして何だか妙にツボに入りました。
「女性の好きな仕草はくしゃみ」だという勝地くんの気持ちがちょっとわかったような。

・ポインタのように伸びるボールペンでポルシェさんの頭をこそっと突っつく真唯ちゃん。カメラに向けた「やっちゃいますよ~」という感じの笑顔がコケティッシュ。
先に星型のついたこのボールペン、彼女が持つと何だか魔法のステッキのように見えてきます。ポルシェさんの反応も何だか可愛いなあ。

・ポルシェさんと真唯ちゃんが二人の手でハートを作り「ソウルトレイン」と声をそろえる。
なんかこのメイキングを見てると、ポルシェさんと真唯ちゃん、勝地くんと黄川田くん、の仲良し度が高い感じです。

・撮影当時、勝地くんが事務所のメッセージで話していたケータリングの食事。
讃岐うどんについて「デュラムセモリナ100%です」とボケるポルシェさん。隣の勝地くん、意味わかってなさそうだぞ?(デュラムセモリナ粉はスパゲッティを作る時に使う小麦粉の種類)

・ぬぼーっとした表情でカメラにうんと寄ってみたり、おっぱいおもちゃを揉みしだいたりしてみせる勝地くん。こらこらこらっ(笑)。

・ヘア&メイクの記録写真撮影。何故に口を開ける、勝地くん? 
携帯の写真を見て「ひどい顔してる」って、わざと変顔しといて何を言う(笑)。

(つづく)


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『エンタメキャッチ』(2)

2008-01-18 02:31:33 | 他作品
肝心のインタビューの中身についても印象深かった部分を少し。

『幸福な食卓』で演じた大浦勉学に関して、
「(大浦くんの魅力を)僕は見てるお客さんに伝えなきゃいけないかってのもあるとは思ったんですけど、まず第一に佐和子にとって大浦くんがどんだけこう大切な存在になるかってことが大事だと思ったんで」。

この作品の主人公は佐和子であり、物語はほぼ完全に佐和子の視点で描かれている。だから大浦くんというキャラクターもあくまで「佐和子の目に映る大浦勉学」なのですよね。
佐和子の知らない大浦くんの一面というのも確実に存在しているはずですが(たとえば「崩壊してる」家族といるとき、大浦くんはどんな表情をしているのか)、それは佐和子視点である以上描かれない。
主人公に視点を固定するのは一人称「私」の語り形式の小説では何ら難はないですが、映像だと観客の目に直接生身の役者が見えるわけで、視点となるべきキャラを通さず情報を受け取る形になるのでどうしても視点が三人称的になってしまう。何せ視点となるべきキャラも脇のキャラと同じように画面に映ってるわけですから。

しかしこの映画は極力原作同様に佐和子の目線に寄り添おうとしていた。そして勝地くんは『幸福な食卓』という作品があくまで「佐和子の物語」であることをきっちり理解したうえで、「佐和子にとっての大浦くん」を演じようとしていた。
そんな彼の姿勢が大浦くんをあそこまで嫌味なく愛すべきキャラたらしめた(恋する少女の目に映る彼氏はアバタもエクボで実体以上の素敵っぷりなはず)ように思います。

比較する意味でついでに書くと、一方の『ソウルトレイン』でも終始勝地くん演じる主人公・須藤の視点で話が進む。
『幸福な食卓』同様、視点となるべき須藤くんも画面に映ってるわけですが、膨大な量のモノローグ(実質ナレーション)が須藤の視点を補強し、時にはカメラが須藤の目線そのままを追っていることもあって、『幸福な食卓』以上に視点はきっちり固定されている。
主人公の妄想でストーリーが回ってゆく展開のため、まわりのキャラクターも須藤の目に映る彼であり彼女であることに徹していました(ワンシーンのみ意識的になされた例外があります。くわしくは『ピクトアップ』(3)を参照)。
結果としてあんまり「いい人」が出てこないわけなんですが(笑)。

ついで『ソウルトレイン』に関して。このインタビューに限らず勝地くんが須藤について語った言葉を見聞きしてると、彼にとってこの作品はほとんどファンタジーの世界だったようですね。そのくらいの別世界。
『ソウルトレイン』を鑑賞して深い共感を覚えた男性がこの番組を見たら「所詮こいつもあっちの世界の人間か」とかがっかりしちゃったりして。

「自分がこの仕事と出会ってなかったら」どうしてただろうかとイメージを働かせて須藤のキャラクターをつかんでいったそうですが、まあもし俳優になってなくても彼が須藤みたいな生活をしてた可能性はゼロに等しいでしょうね。
フリーターはともかくモテないわけないですもん(現在発売中の『ザ・テレビジョン』1月25日号のミニインタビューで「モテない」旨の発言をしてますが、絶対謙遜でしょ)。

これまでも幅広い役柄を演じてきた勝地くんではありますが、「見るからにモテなそう」、格好良かったらNGという役は今のところ唯一無二なのでは?(なぜかはっきり美形設定な役もやってないですけど) 
その意味では時代劇の若侍や、ともすれば女の子キャラよりもかけ離れた役どころ。外見的な制約がある中、よくあれだけ演じきったものだと思います。

なので、「(25歳フリーターの須藤をイメージするにあたって)自分が今の実質年齢より過去に遡るだけでなく、また未来を見なきゃいけなくて、すごく楽しかったですね。」という言葉にちょっと驚きました。てっきり「すごく大変でした」と続くのかと思っていたので。
そのあとに「年上を演じるってかなり大変なことだとは思ったんですけど」とも言ってましたが(昔から実年齢より上の役が多い気がしますが)、「楽しかった」という言葉が先に出てくるあたりが頼もしいです。
しばしば書いてることですが、試行錯誤の大変さも含めて、彼は演じることが本当に好きなんだなあと改めて思いました。

最後に「自身のイメージ」について。
つい先日『演劇ぶっく』2008年1月発売号での長谷川博己さんとの対談を読んだときも思いましたが、彼はよくこれだけ「自分が足りない部分」を見つけてくるな、と(笑)。単に謙遜して言ってるのではない切実なものが言葉に篭っています。
ここでは比較的「普通の人」を演じることが少なかった彼が、普通人の日常を演じることの難しさ、自分が20年間生きてきたにもかかわらず自身の生活経験・感情をちゃんとストックできていないことへの反省と危機感を語ってます。

本人はそう言うものの、バラエティーやトーク番組などで朗らかによく笑い、時には涙を流し、くるくると表情を変える彼を見る限り、人一倍豊かな感情の持ち主のように思えるのですが。プライベートでも映画を見ては泣き音楽を聴いては泣いてるようですし。
そしてそうした感情の豊かさはちゃんと役柄に反映されてるように感じます。
泣き、怒りなど感情の起伏の激しい芝居は言うまでもなく、むしろ日常のささやかな場面を演じるとき、大げさにもならず棒演技にもならず、言葉での説明が難しいほどの微妙な表情の変化で感情の細やかな動きを表現するのは彼の得意分野じゃないかと思うんですが、本人的にはまだまだ、なんでしょうね。
この向上心あればこそ現在の若手演技派俳優としての彼がいる。そしてこれからも成長し続けてゆくのでしょう。先行き楽しみです♪

 


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『エンタメキャッチ』(1)

2008-01-14 02:27:15 | 他作品

話題の映画・DVD・ライブなどを紹介するTBS深夜の情報番組。2007年1月21日放映分で勝地くんの5分間インタビューが流れました。
テーマは26日に発売されるDVDドラマ『ソウルトレイン』と27日公開の映画『幸福な食卓』。

同時期発売・公開の二つの作品のうち、『ソウルトレイン』では25歳のフリーター、『幸福な食卓』では15歳の中学三年生~高校一年生を、ちょうど真ん中の年齢に当たる20歳の彼が演じているとあって、その年齢幅の広さは、勝地涼という俳優を知らない視聴者にも一応のインパクトがあったんじゃないでしょうか。
(ちなみに『ソウルトレイン』は2006年7月、『幸福な食卓』は2006年2月の撮影なのでどちらも収録当時は19歳)

このインタビューなんですが、話の内容以前に真っ先に感じたのは一種の「懐かしさ」でした。
『亡国のイージス』『この胸いっぱいの愛を』(ともに2005年公開)のDVD特典のインタビューを思い出させるような・・・はっきり言っちゃえばヘタな話し方(笑)。
2006年1月放送の『BSなびTV』や「はなまるカフェ」を見たとき「だいぶトーク上手になったなー」と思ったんですが、それはトーク番組、パーソナリティの方の質問に逐一答えるような形式だったからのようです。

作品と役柄について語る前半はまだいいんですが、役者としての自分自身について語る後半は、とにかく句点が少なく、「~で、~ので・・・」式に話に切れ目がない。発言するそばから、思いついたことを補足したり誤解を招きそうな表現をフォローしたりの繰り返しで、一文が長々と続いてゆく。
会議のプレゼンなんかだったらまずアウト。当時出演中だったドラマ『ハケンの品格』の大前春子さんに思いっきりダメ出しされそうです。 

でもこの決して上手ではない話し方がとても好きなのです。
一文の中に言葉を詰め込んでしまうのは、限られた時間の中で自分の考えをきちんと、正確に伝えようとすればこそ。
だから彼の話は筋道がぱっと俯瞰できないにもかかわらず気持ちが届く。意志を伝達するためのスキルは不足していても伝達すべき思いがそこにある。
少し前に発売の『婦人公論』のインタビューで「ちゃんと自分で考えたことを話したい」と語っていたのが思い出されます。

もう一つ、上で書いたことと重なる部分が多いですが、完全に口語の文体(敬語口調だけど文法はめちゃくちゃ)なのも話の構造が見えにくくなる大きな原因のように思います。
普通に会話するときと同じように、その場・その時点の考え・感情を話しているようなライブ感があるというか。
何を質問されるかは事前に知らされてるでしょうし、一応の答えは用意してるんでしょうが(以前同じテーマで受けたインタビューと一緒の内容でいいのだし、むしろあまり違う方がおかしいわけで)、考えてきた台詞をそのまま言うのでなく「その時」の思いを言葉に乗せようとしているように思います。
だから彼の言葉には聞く人の胸を打つ熱がある。時に早口になり時にいくぶん言葉に詰まりながら身振りも交えて懸命に話す姿に彼の誠実さを改めて感じて、なんだか嬉しくなってしまいました。

すでにデビューから8年(この『エンタメキャッチ』時点では7年)を経ているのに芸能界擦れしない初々しさを彼が漂わせているのは、こうした真摯な態度に由来してるのでしょう。
話上手にならなくてもいいから、こういう部分をこの先もずっと失って欲しくないなと思います。

(つづく)


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『婦人公論』

2008-01-10 02:18:06 | 雑誌など
2007年1月22日号に、「花屋の店先から役者への扉が開いた」というタイトルで勝地くんのロングインタビューが掲載されました。
これまでに読んできた彼のインタビューのうちでも、分量・内容ともに充実度では5本の指に入りそうです。

デビューのきっかけになったスカウトの話、『永遠の仔』で芝居の楽しさに目覚めたことなどはファンならよく知っている話題ですが、中学に入ってみたら硬式の野球部がなかった、というのは初耳でした(その後「Kitkat Breaktown」の七夕企画の中でも話してました)。
子供の頃は野球選手に憧れてたという彼がなぜ中学でバスケ部だったのか不思議だったんですが、疑問氷解。
もし硬式野球部があったなら、彼はスカウトを断ってひたすら野球に邁進していたのかも。役者・勝地涼のファンとして、中学に野球部がなかった幸運につくづく感謝してしまいました。

しかし「ロケの何日かあと」(『はなまるカフェ』他では翌日と話してます)事務所からスカウトの電話があったそうですが、普段から近所の人間以外もたくさん集まってくる土地柄(繁華街)にもかかわらず事務所の方がお母さんのお店に連絡したのは、勝地くんがお店の関係者っぽい、「勝手知ったるわが家」な雰囲気だったんでしょうね。
その場ですぐスカウトせずに後日連絡したのも、目下の業務(役者さんのケア)で忙しかったからだけでなく、「お店に聞けば身元がわかるだろう」と思ったからじゃないかなと想像。

そして『亡国のイージス』の如月行役に選ばれた経緯。2004年3月公演の舞台『シブヤから遠く離れて』を『イージス』のスタッフの方、ついで監督が観劇されて、それでオーディションに呼ばれたとのこと。
これについては『キネマ旬報』2005年8月上旬号で『イージス』原作者の福井晴敏さんが、
「もともと監督とプロデューサーが舞台でいい若者を見つけてきたという話は聞いていたんですけど、『あっ、コイツだな』ってすぐにわかりましたよ。それだけ最初から光っていました。」
と話してらっしゃいましたが、ここでさらに詳しい状況を知ることができました。
『CREA』2007年7月号や同年11月~12月公演の舞台『カリギュラ』のパンフレットのコメントを見ても、初舞台だった『シブヤ~』が彼に残したものはすごく大きかったんだなと感じます。

錚々たる役者陣との共演+原作での如月行の人気の高さに「あれこれ考えたり悩んだりしました」そうですが、このころ彼は大学に進学するか俳優一本で行くかでも悩んでたはず。
(『小栗旬のオールナイトニッポン』出演時(2007年12月5日放送)に「今までで一番悩んだ時期」と言っていました)
「仕事を始めてから、すごく緊張するタチになりましたね。」「なんでこんなに考え込んじゃうタイプなんだろう」と語る彼だけに、当時どれほどのストレスを抱えていたのか。

けれどいい意味で場慣れしないからこそ、どんな役にも手を抜くことなく取り組んでゆけるのだろうとも感じます。
「僕の力量というかキャパシティが100だとして、どう頑張ったところで並み居るベテランの方々の、200や300という域には届かない。それでも今ある力を目いっぱい出せば、120くらいにはなるかもしれない。そうやって少しずつ、キャパを広げていければいいと、今は考えています。」という発言にも彼の俳優としての真摯な姿勢、静かな熱さがはっきり表れています。
しかしこのインタビュー当時彼はまだ二十歳と数ヶ月だったわけで――大人だなあ。
外見的にはまだまだ少年の面影が色濃いのに、精神的には、悩んで努力して各現場でさまざまの事を吸収して、人の数倍の早さで成長し続けてるように思います。しかも少年らしい純粋さを減じることなく。

ついで友人や先輩との交流エピソードも実に暖かい。
全然サプライズになってないサプライズ(二十歳のバースディ)パーティーをやってくれる草野球チームの面々、『イージス』撮影当時の「20歳になったら飲みに連れていってやる」約束をしっかり履行してくれた吉田栄作さん――彼の回りは優しい空気に包まれているんだなあとしみじみ嬉しくなってしまいました。

最後に勝地くん流緊張をほぐす方法。これは面接の時などに役に立ちそうです。
そして、「せっかく会ってもらったんだから、相手に何かを思ってもらえるように答える。(中略)単にハキハキ元気よく「頑張りますっ、お願いしますっ」というのは嫌なんです。ちゃんと自分で考えたことを話したい。」 
「せっかく会ってもらった」という表現にはわざわざ時間を割いてくれている相手に対する感謝と敬意が、「嫌なんです」「自分で考えたことを話したい。」というきっぱりした語調には人一倍繊細でありながら決して揺るがない芯の強さがはっきりとうかがえて、背筋が伸びる心地がしました。彼がオーディションに強いというのも納得ですね。

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『ピクトアップ』(3)

2008-01-06 00:49:53 | 雑誌など
掟ポルシェさんのインタビュー。
『ソウルトレイン』関係のポルシェさんのインタビューはどれも面白いんですが、内容が一番真面目だったのがこの『ピクトアップ』。

やや露悪的なまでにズバズバと自分を語る中でさらっと含蓄のある発言(『DVDでーた』での、「ビデオ屋の店員が、バイト仲間の彼女がカワイイって身もだえするだけのダメダメな作品を、こうして1枚のDVDにしてしまうということ自体、日本の文化レベルが高いということのひとつの証明だと思いますよ(笑)」というコメントとか)をし、なおかつ真顔(想像)でギャグを交えているのはいつも通りなんですが、全体のトーンが将来への不安や焦燥感を感じさせるものになっているのは勝地くんとの対談形式でなかったせいでしょうか。
それでも「三浦監督がもう(注・続編を)撮りたくないというならば山本晋也監督でも、村西とおる監督でもいいですよ。」とか笑いも入れてますが。エロ度合いが倍増しそうな人選だ(笑)。

しかし隣ページの勝地くんのインタビューと並べてみると、ポルシェさんの面白さがよくわかります。
今回に限らず勝地くんの発言は、若々しい純粋さやお芝居への静かな情熱に満ちていて、その清冽さに心を洗われることしばしばなのですが、ポルシェさんの発言内容はいい意味で「汚れた大人」な感じというか。
年齢もさることながら『TV Bros』の項で書いた非王道に生きる者の自負心と屈折が彼の話に奥行きを与えている。一言で言っちゃえば「人生経験豊富」というやつですかね。
インタビュー記事など読んでいて「うわこの人面白え!」と感じるのは大体ポルシェさんタイプが多いです。

なのですが、今回のインタビューで「面白い」というより感動を覚えた発言が一つ。 

「自分の中でやってはいけないラインって、ひとつだけしかないんです。それは、〈弱ってる者のために、何かを差し出す〉こと。
弱ってるヤツに手を差し伸べたら向こうが掴んでくるのは当たり前ですよね。それは男らしくない。」

最初読んだときは、「弱ってる人を助けるのは良い事じゃないのか?」と一瞬困惑しかけたんですが、すがってくるのがわかりきってる相手に優しくすることで手軽に自分の孤独や不安感をまぎらわすような真似をしたくない、弱い者同士傷を舐めあうような結びつきは格好悪い、という意味ですよね。
(甘やかすのは相手のためにならない、という意味かとも思ったんですが、「男らしくない」という締めからすれば上の解釈の方が妥当かと)

適当に生きてるような事を言いながらも、ぎりぎりのところで決して自分を甘やかさない。
そこに野木とは一味違うポルシェさんの「男気」を見て、以来私の中でポルシェさんは「カッコいい人」として認識されるようになりました。いかにアホなことをやってる時だろうと。 

翌月発売の『婦人公論』2007年1月22日号に勝地くんのロングインタビューが載ったのですが、

「オーディションや、監督との面接や、現場にいるとき、めっちゃめちゃ緊張していても、あえて胸を張って、自信があるように振舞います。
偉そうにするんじゃないです。ちゃんと落ち着いて、相手の方の目を見て話す。」

という箇所を読んで、このポルシェさんの言葉を思い出しました。
緊張でお腹が痛くなっても足が震えてても、決して逃げ出さずしっかり顔を上げて正面を見据える。その自分に負けない、自分を甘やかさない姿勢は、ポルシェさんにも通じるもの。
一見まるで接点のなさそうなこの二人がなぜ仲良くなれたのか、この時了解できたような気がしたのでした。


三浦大輔監督のインタビュー。
ページのアオリに「ポツドールという劇団は、何かとスキャンダラスな言葉で語られる。「リアルを徹底的に追及したセミドキュメント」「役者のプライベートをさらけ出す」云々。」とありますが、聞いたところでは普通に全裸シーンとかバンバン出てくるようで。
今回映像作品だけにそのへんはずいぶん抑え目にして下さってありがとうございます(笑)。それでも原作よりエロ度合いが増してるんですけどね。

とはいえどこかほのぼのしたポップな感じの仕上がり。
このインタビューを読むと、三浦監督としては本来もっと演出にも演技の付け方にも自分のカラーを出していく予定だったけれど、初めての映像作品で勝手がわからなかったのとスケジュールがきつきつだったために、結局原作の世界観寄りにしたそう。
監督のカラーと原作のカラーがいい具合でミックスされた結果がああなったわけですね。

各章のタイトルやエンディングのバックにまこちん先生のイラストをそのまま使ってるのも、パワーポイントっぽいタイトル文字の出し方も、その際のBGMを毎回違えてあるのも、FLOWのテーマ曲もDVDのパッケージ(こけしも含め、まこちん先生を除く全キャラが登場。こうしてみると本当にキャストの少ない作品だったんだなあ)も、すべてがツボでした。
「映像的にも、トッポいものとかカッコつけたものにはしないで、ポップで観やすいものにしようと」した監督の考えが上手くはまった感じです。

あとこれは想像なんですが、三浦監督絶対女性にモテそうですね。
原作の「白い女」は最終的に「童貞をもてあそんだ悪女」として描かれてる(終始須藤目線なのでそうなる)のですが、DVDでは最終章で須藤視点を離れた素の「川村くんの彼女」の顔を見せる場面(「また刺されちゃうよ」のシーン)があって、実際の彼女は須藤の思い描くような「白い女」でも「黒い女」でもない普通の女の子なんだな、というのがわかるようになっている。
『SOUL TRAIN』(2)で触れた「須藤が「白い女」に幻滅するきっかけ」の変更もそうですが、原作に比べ「白い女」の描写に悪意がない。
これは描き手が、モテない男のルサンチマンに縁薄いゆえなんじゃないかなと感じたのでした。
実際外見も二枚目だし、メイキングで見せる照れたような笑顔にも不思議な色気がありますしね。

 


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『ピクトアップ』(2)

2008-01-02 01:12:54 | 雑誌など
そしてポルシェさんの演技について。
勝地くんはよく共演者を誉めるコメントを口にしますが(この取材でも半分くらいは人の話をしてます)、そういう時の浮き浮きした、あるいは闘争心を感じさせる言葉の調子からは、口先でなく本心から彼が相手を評価しているのが伝わってきます。
ここでも貧乏ゆすりについての話は実に楽しげだし、「細かい芝居してるなあ、やばいなあと。全部がよくて、ちょっとチクショウと思いました(笑)」なんて発言には、負けず嫌いの勝地くんらしい健全なライバル意識がうかがえます。
これ、ポルシェさんにしてみれば最大の誉め言葉だったんでは。

勝村政信さんの話。
初共演は2003年のドラマ『盲導犬クイールの一生』だと思いますが、勝地くんはほぼ一話のみの出演だったので、親交を深めたのは2004年の舞台『シブヤから遠く離れて』のようですね。
2006年のSPドラマ『少しは恩返しができたかな』で共演した時も、主演の二宮和也くんともども勝村さんのお宅に遊びに行ったりしてたようで。時には苦言も呈してくれるよき先輩ですね。

「酔っぱらうとすごくいい話をして下さるんです。だから飲みに行くのについて行って、酔っぱらったところを見計らって、『僕、どうですか?』って聞く。」というのには笑ってしまいましたが。
『シブヤ~』当時勝地くんは17歳、『少しは~』の時でも19歳なので、「一緒に飲みに行く」でなく「飲みに行くのについて行く」という表現になるのはわかるんですが、何か勝村さんの後を慕ってちょこちょこ歩いてく姿を想像してしまう(笑)。
でもって自分はウーロン茶でも飲みながら勝村さんを酔わせにかかるわけですね。
微笑ましいなあ。今なら一緒にお酒を酌み交わせますね。

そしてチェーホフ。
18、9歳の頃公式のメッセージで「今度の休みにはチェーホフに挑戦したい」というような事を書いていたのに「文学青年だなあ~」と感心した記憶がありますが、意外なところで続報が。まだ読んでなかったんかい。
本人も「勉強する意志はあるけど、仕事が終わるとすぐに切り替えて遊びに行っちゃうので」「オンオフはっきりしすぎ」と反省の意を示してますが、インタビュアーさんも言うようにオンオフはっきりしてるのは彼の美点の一つだと思います。

このインタビューでも明らかなように、役者としての勝地くんはすこぶる繊細で、向上心の強さゆえに自分へのダメ出しを終始繰り返している。もう少しくらい調子に乗ってもいいんじゃないか(それだけの結果は出してきてるはず)と思ってしまうほど。
プライベートではきっぱりスイッチが切り替わるからこそ、精神の安定を保っていられる。
インタビュー記事などでもお芝居について語る時の真面目で熱っぽい調子に比べ、プライベートについて語る部分はずっと柔らかく時に茶目っ気さえのぞいている印象があります。

11月に当時公演中だった舞台『カリギュラ』を観劇されたあるプロデューサーさんがご自身のブログで、
「観劇後会った勝地くんは本当にさわやかな好青年で、彼のどこからあらゆる芝居が生まれてくるのか不思議になった」(概要)
と書いてらっしゃったのを見かけました。たぶん素(インタビューや業界関係者に会うのも仕事のうちなので完全なオフ状態とは言えませんが)の彼は、本当にごくごく普通の若者にしか見えないんでしょうね。

『CREA』2007年7月号のインタビュー記事で「目の前の勝地涼は少年の面影を残す、ごくフツーの青年。」と評されていたのを思い出しました。

そして役と自分をきっぱり切り離しているからこそ、過去の役の印象を引きずらず、その時々の役の色に自在に染まることができるのでしょう。
ちなみに前掲『CREA』引用部分の続きは、
「でもスクリーンの中ではまるで別人になる。幅広い役柄でナチュラルを意識的につくる、正真正銘のプロの役者に。」

(つづく)


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