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西武鉄道 10000系電車

2011-01-10 22:56:33 | 電車図鑑・私鉄電車(関東)
西武新宿線での座席指定制特急の定期運行開始と老朽化の進んだ5000系電車
初代「レッドアロー」の置き換えのために登場した車両である。
「NRA(ニューレッドアロー)」の車両愛称を付けられている。
平成5年~7年と平成15年に合わせて7両編成×12本=84両が製造された。
製造を担当したメーカーは日立製作所である。
編成の組み方は西武新宿・飯能側から順に以下の通り。

クハ10100形+モハ10200形+モハ10300形+サハ10400形+モハ10500形+モハ10600形+※
※+クハ10700形

車体は普通鋼鉄製で先代のシャープなデザインから、やや丸みを帯びたデザインに
なった。
正面は非貫通で真ん中を曲面の大窓とし、左右にパノラミックウィンドウを配した
ものとして前面視界を確保しているが、客室側への仕切りは扉も含めて窓が無いので
乗客は前面展望を楽しめない。
愛称表示は正面に、種別・行き先表示は側面にあり、いずれも字幕式である。
ただし、平成15年に追加で製造された10112編成は愛称表示がLED式に変更されている。
塗装はグレーの濃淡に窓周りがそれよりも濃い黒に近いグレー、
窓下に赤のラインが入る。

車内は回転式リクライニングシートで車椅子スペース以外、2:2配置となっている。
シート間隔を従来の5000系電車の930mmから1070mmに大幅に拡大しており、
同じ定員ながら、ゆとりある空間を確保している。
また、定員を確保するため、編成を6両から7両に増結されている。
現在は全車禁煙だが、平成18年までは4号車(サハ10400形)が喫煙車であった。
窓は固定式で日除けのカーテンは巻き上げ式である。
客室出入口上部にはLEDスクロール式の旅客案内装置を設置した他、各ドア上部には
乗降可能なドアを案内する表示機が設置されている。
ドアは片引き戸でクハ10700形が2箇所、他の車両が各車両1箇所ずつである。
トイレは各先頭車連結部に設けられ、クハ10700形のものは車椅子対応となっている。
また先頭車のデッキにはカード式公衆電話を設置している。

主制御装置は抵抗制御で10112編成のみIGBT式のVVVFインバータ制御である。
ブレーキは抑速ブレーキ付発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ、10112編成は
回生ブレーキ併用電気指令ブレーキである。
10101編成~10111編成までは廃車された5000系や101系の機器を改修の上で
流用している。
モーターの駆動方式は10101編成~10111編成が中空軸平行カルダン駆動、
10112編成がWN駆動である。
台車は軸箱支持を緩衝ゴム式としたダイレクトマウント式空気バネ台車で、
この台車も廃車発生品を改修したものである。
技術面については従来通りの堅実なものを使用して、走行安定性の確保と
保守面の統一化を実現している。
なお、10112編成は機器については一新しているが、同時期に製造された
20000系電車と同じものを搭載しており、同じく機器の統一化を図っている。

平成5年より西武新宿線特急「小江戸」の運行開始に伴い、営業運転を開始した。
この列車の営業開始に伴い、従来、西武新宿を発着していた臨時特急列車の
「おくちちぶ(西武新宿~西武秩父)」が廃止となり、同列車の送り込み列車を
旅客営業とした「むさし(西武新宿~所沢・本川越)」も廃止されている。
池袋線では池袋、飯能、西武秩父の各駅の特急専用ホームの延伸が完成した
平成6年より運行を開始し、翌年までに在来の5000系電車を置き換えた。

運用数の増加と予備車確保の面から10112編成が平成15年に追加製造された。
この編成で行われた各種変更を他の編成でも実施することになり、
各編成で更新改造を実施した。
主な内容は座席の交換、カーテンの横引き化、4号車(サハ10400形)への
大型換気装置設置、4号車の化粧板全面張り替え、1号車(クハ10700形)の
車椅子スペース側デッキのスペース拡大、車椅子対応便所の扉の自動化、
デッキ周辺の内装張り替え、パンタグラフのシングルアーム化などである。
交換された座席は伊豆急行8000系電車や秩父鉄道6000系電車に流用されたほか、
旧美濃駅などの鉄道保存施設、個人などに売却された。
これらの更新改造は一部の編成で実施していない部分がある。

主な運用は既述の通り、新宿線特急「小江戸」と池袋線特急「ちちぶ」、「むさし」である。
この他に西武ドームでイベントが開催される際の臨時特急「ドーム」や団体専用列車
「小さな旅」などでも使用される。
平成19年にはスウェーデン国王・王妃御一行が川越へ行幸された際にお召し列車として
10108編成(本務)と10106編成(露払い)が、その栄誉に浴した。
平成21年には川越を舞台としたNHK連続テレビ小説「つばさ」のラッピングを
10111編成に施している。



○種別・愛称表示がLEDになった10112編成。車体は全く同じだが、
 VVVF制御、当初からシングルアームパンタなど真新しい部分が目立つ。


○車内。写真は10112編成のもの。座席交換後のほかの編成もほぼ同じ。
 この編成では窓ガラスに熱線吸収ガラスを使っているため、微妙にカラーが
 違っている様に見える。


○ドア上の乗降可能なドアを案内する装置。


○クハ10700形の連結側デッキの車椅子対応便所周辺。
 この向かいに飲料の自動販売機が設置されている。


○臨時特急「スタジアムエクスプレス」。運転区間は池袋~西武球場前間。
 途中停車駅は所沢のみ。運転時は特製ヘッドマークが付く。
 当初はオールスターなどの主要な試合の時での運行が主だったが、昨今は
 土日・祝日などの多客時にも運行される。


○練馬駅に停車する臨時特急「ローズエクスプレス」。
 運転区間は「スタジアムエクスプレス」と同じだが停車駅が練馬と所沢に
 なっているのが特徴。ただし、池袋~練馬間・練馬~所沢間での利用は不可。


○平成21年の春~秋に放映されたNHK連続テレビ小説「つばさ」ラッピング車。
 9月末の放送終了まで運行された。


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