雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

円/ドル相場が乱高下

2024-04-29 18:33:53 | 日々これ好日

      『 円/ドル相場が乱高下 』

    円の下落が止まらず ついに160円台を付けた
    ところが すかさず反転して 
    155円を切るあたりまで上昇と 大荒れ
    日銀の介入があったのか 明らかにされていないが
    わが国の金融政策 補選とはいえ与党の惨敗と
    『弱い円』の立て直しは 簡単ではないようだ
    ゴールデンウィーク中も 世界は動いていることが
    よく分った

                   ☆☆☆
    

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后に懸想した聖人 ( 2 ) ・ 今昔物語 ( 10 - 34 )

2024-04-29 08:00:52 | 今昔物語拾い読み ・ その2

     『 后に懸想した聖人 (2 ) ・ 今昔物語 ( 10 - 34 ) 』


    ( 1 ) より続く

さて、さらってきた后を前にして聖人は、仏が教えられる事を破るのを、泣きながら恐れを感じてはいたが、長年の思いに堪えきれず、遂に后を犯した。
明け方になると、宮迦羅がやって来て、后を掻き背負って返っていった。
その後、聖人は他の事には手が着かず、ただ、この后のことだけが心に掛かり、恋い嘆いていた。
日が暮れる頃になると、また、宮迦羅がお出ましになり、聖人に会って申された。「また、連れて参りましょうか。あるいは、他の后とも会いたいとお思いですか」と。
聖人は、「昨日と同じ后を、お連れして下さい」と言った。
そこで、前日と同じように、同じ后を背負ってお連れすると、聖人は、「ああ、同じお方だ」と喜んだ。
また、明け方になると宮迦羅がやって来て、后を掻き背負って返っていく。このようにして数か月が経つうちに、后はとうとう懐妊なさった。

さて、国王には三千人の后がいらっしゃるので、必ずしも全員を存じてはいらっしゃらない。
ある時、国王が、この后の所にお渡りになると、すでに懐妊している様子であった。国王は、「そなたは、后の身でありながら、すでに他の男と関係を持ったのだな。いったい、誰の仕業だ」と仰せられた。
后は、「わたしは、けっして、自ら他の男と契ることなどありません。ただ、極めて奇異なることがございました」とお答えした。
国王は、「どういう事だ」と詰問されると、后は、「いついつの頃から今まで、夜半頃になると、十五、六歳ほどの童子が突然やって来て、わたしを掻き背負って飛ぶが如きに行き、極めて深い山中に連れて行かれると、ある柴の庵の狭い部屋に、恐ろしげな聖人がおりました。とっても恐ろしい人です。辛くても遁れる術はなく、関係を迫られている内に、いつのまにかこうなってしまいました」とお答えした。

国王は、「どちらの方向に行ったのか。どのくらいの時間行ったのか」と訊ねられた。
后は、「どちらの方向か、全く分りません。ただ、鳥が飛ぶよりもさらに早く飛んで行き、一時(二時間)ばかりで行き着きましたが、遙かに遠い所だと思われます」とお答えすると、国王は、「今夜連れて行かれる時に、手の裏に濃く墨を塗って紙
を濡らして持って行き、その庵の襖(フスマ)に押しつけるのだ」とお教えになると、后は、国王の教えのように持っていった。

一方、宮迦羅は聖人の所にやって来て、「今より後は、こうした事はお止めになる方がよろしいでしょう。悪い事が起ろうとしています」と仰せられた。
聖人は、「いや、何があろうとも、これまで通りにお迎えして下さい」と言う。
宮迦羅は、「後で、絶対に恨みに思わないで下さいよ」と言って、これまで通りに后を背負ってお連れした。
后は、さりげない様子で、濡れた紙で以て、手の裏の墨を塗らして襖に押しつけた。
明け方には、いつものように宮迦羅がやってきて背負って返っていった。
その朝、国王は后の所にお渡りになり、お訊ねになると、后は、「お教えのように、押し付けて参りました」と申し上げると、国王は、また、后の手の裏に墨を塗って、多くの紙に押し付け
させた。
そして、多くの人を集めて、その紙を渡して、「国内の人里離れた山の中で、聖人が住んでいる所を尋ねて、これに似た手の跡がある所を確かに捜し出して、知らせて参れ」と宣旨を下された。

従者たちは、宣旨を承って、あらゆる山々を捜し回り、遂にかの山の聖人の庵を尋ね当てた。見れば、この手の形があり、違うことがなかった。
そこで、従者は返って、この由を国王に申し上げた。
国王は、これを聞くと仰せられた。「その聖人は、既に后を犯している。その罪は軽くない」と。そして、「速やかに遠い所への流罪とせよ」と定められて、[ 欠字。地名が入るが不詳。]という所に流し遣った。
聖人は、流罪地において嘆き悲しんで、恨みを抱いて死んだ。そして、すぐに天狗(ここでは、魔物の一種と位置づけられているようだ。)となった。多くの天狗を従えて、天狗の王となった。

ところが、別のある天狗は、「かの天狗は、かつて国王の罰を受けて流罪になり死んだ者である」と言って、交際しなかった。その為、かの天狗は、十万人の仲間を引き連れて、他国に渡ったのである、
となむ語り伝へたるとや。

     ☆   ☆   ☆




     

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