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タイのブルートレイン

2009-03-22 | 鉄道
写真:タイ王国南部トランTrang駅に到着した急行83列車



ブルートレイン「はやぶさ」「富士」のファイナルランから1週間過ぎました。

もう大阪より南にはブルートレインは走らない…
だが、しかし!
もっと南に行って日本を飛び出してみれば、どっこいブルートレインはバリバリの現役で毎晩運転しているのだ。

そこは“微笑みの国”タイ王国。
夜行列車の需要が高いが、赤字経営故に寝台車の不足が深刻化していたタイ国鉄に、寝台特急「彗星」「あかつき」を相次いで廃止したJR西日本から余剰となった14系15型寝台車が無償譲渡されてブルートレインが海を渡った。

タイへ上陸したブルートレインは、タイ国鉄仕様に改造されて早速現地の夜行列車の編成に組み込まれ活躍を開始したのだが、タイ国鉄規格より車体が一回り大きい日本のブルートレインは投入線区を限定して運用されているらしく、今のところ定期運用が確認できているのは首都バンコクとタイ南部のビーチリゾートの拠点となるトランTrangという街を結ぶ「第83/84列車」の1往復のみ。

という訳で、「はやぶさ」廃止を1ヵ月後に控えた2月中旬、寂しくなった僕はふらっと休暇を取ってふらっとタイに行ってしまった。

現地に着いたら、先ずはブルートレインの始発駅バンコクのフアランポーン駅へと向かった。バンコクにはつい半年程前に来たばかりなので勝手は解かる。
チケット予約窓口に並んで、国鉄職員のおっちゃんに
「サワディーカー(こんにちは)…I want to get on The Japanese“BLUE TRAIN”! I'm Japanese Train Lover! I Want to go to Trang,By Express 83…」とか捲し立てると、おっちゃんは「わかったわかった」という感じでみどりの窓口のマルス、じゃなかったウィンドウズベースのチケット予約発券システムに何やらカタカタ入力して、打ち出されたチケットにペンでアンダーラインを引きながら
「トラン行き83列車。お前さんの乗りたいブルートレインだよ。ここを見ろ、2 ANSJRと書いてあるだろ、ANSJRは日本のブルートレインだ、間違いないから安心しなさい!発車は17:05、4番のりばだよ。」とえらく親切に対応してくれた。きっと僕と同じようにブルートレイン目当てで来る日本人の「乗り鉄」が多いんだろうなぁ。。。
「ありがとう!やった、これで念願のタイのブルートレインに乗れるよ!」
ところで僕、挨拶をサワディーカーと言ったけど、これって実は女性言葉なんだよね…後で気が付いた(男性の場合はサワディークラップになるらしい)。窓口のおっちゃんも突然「オネエ言葉」で話しかけてきた日本人鉄オタに面食らっただろうな。

さて念願のタイのブルートレイン、僕がアサインされた車輌は「スハネフ15」だった。廃止間近の「はやぶさ」「富士」でも同形式が使用されているが、タイのそれは通路と寝台区画の間に仕切り扉の付いた、日本では京都と南宮崎を結んでいた「彗星」に使用されていた車輌だ。
タイの「スハネフ15」、タイ国鉄規格に合わせて線路幅が1000mmの「メーターゲージ」の台車に履き替えて、日本のものより低いプラットホーム高さに届くようにドアにタラップが追加され、車体妻面が黄色く塗装変更されている以外は殆ど日本時代のまんま!車体の色も日本時代同様、濃紺に白ライン2本だが、よく見ると刷毛か何かで塗り直したような塗装ケバがあったので、わざわざタイ国内搬入後にJR時代と同じ青色で塗り直したらしい。窓口のおっちゃんもハッキリ「ブルートレイン」と呼んでいたし、この青い車体色を大切にしてくれているんだなと思うと嬉しくなる。

車内もJRの「彗星」時代と殆ど変わっていない。
何しろ、「寝台使用中は禁煙」とか「このハンドルを引くとハシゴになります」とかの日本語表記はそのまま残ってるし(さすがにタイ語の表記が追加されていたけど)、寝台のモケットもカーテンも見慣れたJR西日本仕様のものがそのまま使われている。
バンコクを発車して、夕暮れの郊外を走っていると、一瞬ここがタイなのか日豊本線の宗太郎越え辺りなのか分からなくなる。

しかし、タイ国鉄急行第83列車がJR西日本の「彗星」に対して絶対に勝っているものが2つあった。
1つは食堂車を連結していること。
車内販売も無く、駅弁かコンビニ弁当を食べて缶ビール飲んで寝るしかなかった「彗星」に対して83レでは厨房で直火を使って調理されたタイ料理を肴に喉越しの良いタイビールを飲むことが出来る。
もう1つは車内サービスが充実していること。
往年の1等車並みに「列車ボーイ」が乗務し、夜が更けると開放2段式B寝台のベッドにマットレスを広げてシーツをピシッと敷いてベッドメークまでしてくれる。

「おいおい、タイ国鉄に負けてるぞ、ブルートレイン『彗星』!」

でも、寝る前に向かいのベッドのタイ人青年が「このタイプの寝台車、初めて乗るんだけど、日本から来たんだね!これすごく良いよ、今度からこれに乗るよ!」と声をかけてくれたのが嬉しかった。

という感じでタイのブルートレインを楽しんできたのですが、何故か帰国後体調を崩してそのまま入院してしまったのです。
本当はもっと記憶が鮮明なうちに詳細な乗車記を書きたかったのだけど、それどころじゃなかったので残念。
まあいいさ、また今度タイに行って、またブルートレインに乗ってくるよ。
何しろ、JR西日本はその後もブルートレインを廃止し続けて、大量の寝台車をタイに追加譲渡したからね。
僕もその後フアランポーン駅に戻った時に「あさかぜ」で使用されていた24系25型寝台車がタイ仕様に改造整備されてピカピカの状態で留置されてるのを確認しました。勿論車体色は濃紺に白帯、ブルートレインの姿のまま!
これらの新しくタイに渡ったブルートレインは、今年中にはバンコクから各方面へと向かう夜行列車に続々と投入されることになっているという。つまりもうすぐタイ中をブルートレインが走り回ることになるのだ!

「なーんだ、日本のブルートレインは廃止になったんじゃなくて、タイ国鉄に転属しただけじゃないか!」

待ってろよ、南の国のブルートレイン。思いっきり乗り廻しに行ってやるからな!
…でも勿論、帰国後倒れたりしない程度に身体に気をつけて、ね。僕ももう若くないんだから(苦笑)


トランTrang駅に到着後、引き上げる「回83レ」。
10輌以上つないだ長い編成中、3輌がJR組。基本的にスハネフ15+オハ14+オハネ15でユニットを組んでいるようです。


折り返し84レとなる編成がトラン駅に入線。


トラン駅でのブルートレイン折り返し待ちの間に、トランの先にある終着駅カンタンKantangまで乗り鉄してみました。



トラン―カンタン間の列車は1日1往復のみ!
しかもカンタンとバンコクを直通する長距離夜行鈍行列車だ。この超絶長距離鈍行にも一度全区間通しで乗ってみたいなぁ。


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