一燈照隅

日本が好きな日本人です

両陛下、タイでの席次

2006年07月10日 | 皇室
先月、天皇、皇后両陛下がタイ国王即位60周年式典にご出席されました。
タイはアジアの中でも親日的な国と思っていましたが、本日届いたメルマガを読むとどうも考え方を改めなければならないように思えます。
式典での天皇、皇后両陛下の席順がブルネイ、スエーデン、スワジランドに次いで4番目でした。
出席した王室から言えば、天皇陛下は当然1番でなければおかしいです。
何故このような席順になったのか、コラム氏によれば即位の順番にしたそうです。
しかし、2600年以上も続いている天皇陛下と、他の王室と一緒にされても歴史の重みという物が違いすぎます。
国によっては外交問題になりかねない事でしょう。




◆■■■■国際派時事コラム「商社マンに技あり!」■■■■◆
http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/
     
両陛下ご訪タイ時のふしぎな席次
  
■■■■■第170号■■平成18年7月10日発行■■■■◆


両陛下のご訪泰(タイ)について書く。

いささか危惧してはいたのだが、タイ人のチャランポランぶり
(いい加減さ)が、もろに発揮されたようだ。


■ 王室特集の別刷りを買った ■

「いくつかのことを同時にやらせると、タイ人は必ず混乱し、日
本人の目から見るとハチャメチャな状態に陥る」

「でも、それが常態となっているタイ人社会では、その混乱が何
ごともなかったかのように受け入れられる」

「そして、その混乱のことを責めると、タイ人は逆ギレする」

「ものごとの趣旨を考えて柔軟に対応しようというマインドがな
い。信じられないほど杓子定規なことがある」


これがまあ、タイ人と仕事をしたことのある日本人の嘆きであ
るわけですが。


さる6月9日から数日にわたったタイの国王即位60周年式典。

12~13日には、天皇・皇后両陛下およびその他24ヶ国の王族が
一堂に会することとなった。

タイ人のもっとも苦手とする、複数イベント同時進行である。


先週はじめ、2ヶ月半ぶりにバンコクへ行った。

即位60周年式典から3週間近く経っていたのだけど、現国王の
シンボルカラーの黄色い半袖ポロシャツを着ているタイ人が多い。
胸に王室の紋章入りだ。

中国でも黄色は皇帝のシンボルカラーだけれど、タイの王室が
黄色で満ちているのはちょっと理由がちがう。

いまの国王が生れたのが月曜日で、月曜日のシンボルカラーが
黄色だから、それで国王のシンボルカラーが黄色ということにな
っているのですね。


6月12日の夜は、きらびやかな王室船パレードを全チャンネル
が中継したため、日本・オーストラリア戦の前半は見たくても見
られなかったと、駐在員が感心したように言っていた。

セブンイレブンに行くと、新聞の記念式典写真特集別刷りが売
られていたので記念に買って、なかを見もせずにスーツケースに
しまった。

台北へ移動して、その別刷りを広げて、息をのんだ。

何じゃい、この席順は?!


■ どうやって決めた席順やら? ■


6月12日にタイ王宮でタイの王族と各国来賓の記念写真の撮影
があった。その写真をみて、席順に驚いてしまったのだ。

たとえばこんな写真です↓
http://www.thaiembassy.jp/photo%20gallery/60th/Albums/Album3/Source/Best_Wish_Expression_116.htm

前列、後列と2列で撮影だったのだが、そのうち前列はこうい
う席順でした。

向かって左から……


リヒテンシュタイン公国・皇太子(摂政)
スペイン王国・王女
モナコ大公国・大公
マレーシア王国・王妃
マレーシア王国・国王
ルクセンブルク大公国・大公
カタール国・首長妃(シャイク妃)
カタール国・首長(シャイク)
スワジランド王国・国王
スワジランド王国・王妃
ブルネイ王国・王妃
ブルネイ王国・国王
タイ国王
タイ王妃
スウェーデン王国・国王
スウェーデン王国・王妃
天皇陛下
皇后陛下
レソト王国・国王
レソト王国・王妃
ヨルダン王国・国王
カンボジア王国・国王
クウェート国・首長(シャイク)
モロッコ王国・王女
デンマーク王国・王配殿下(女王の夫)
バーレーン王国・首相(国王名代)


■ 大使は切腹ものではないのか…… ■


ひょっとして籤引きでもして決めたのかと思うくらい、荒唐無
稽な席順である。

タイにとって最重要の隣国である(はずの)マレーシアやカン
ボジアの国王をはるか末席に置き、主賓に人口37万人の石油成金
国ブルネイの国王をもってくるとは。

中東屈指の名家であるヨルダン王家が、カタールのシャイクよ
り、わずかながら下座(しもざ)とは!

そんな他国のことはまだどうでもよいとして、天皇・皇后両陛
下がスウェーデン国王・王妃よりも下座とは、いったいタイ政府
は何を考えているのか。

スウェーデンと日本と、タイにとってどちらが大事な国か?

それどころか、両陛下は、スワジランド国王・王妃より下座に
なっている。
理解不能……。

さてはタイ政府は、ブルネイ国王の富に目がくらんだのか?
記念写真の賑わいに王妃陛下の脇に白人の国王をもってきたか
ったのか……。

わが外務省は、パーティーや儀式のアレンジだけはちゃんとや
るという評判なのだが、こんな席順に両陛下を座らせるとは、駐
タイ日本大使は切腹ものではないか……。


■ 超絶の役人仕事 ■


「両陛下訪タイに外務省の大失態」

と題して配信しようかと思い、いろいろ調べ始めたら、この席順
の由来が分かった。

なんとタイ政府は、即位の順番で席順を決めたらしいのだ。
(つまり、わが外務省は、いちおう無罪放免です)


ブルネイ国王: 昭和42年即位。
スウェーデン国王: 昭和48年即位。
スワジランド国王: 昭和61年即位。
天皇陛下:平成元年御即位。
カタール首長:平成7年即位。
レソト国王:平成8年即位。
……


たしかにタイの役人の論理からすると、この席順はひとつの原
則に貫かれてはいるわけですな。

そもそも「在位期間が世界でいちばん長いのはタイの王さまだ」
ということを誇る行事だから、在位期間の比較がだいじな要素だ
ったわけですね。
論理貫徹の極み。

しかしね、この所以(ゆえん)を調べるのに、コラム子でさえ
実に3時間もかけてしまったのよ。
大多数の人はこの席順を見て「タイからみた世界の王室のラン
ク順」と思うはずですが。

たまたま天皇陛下が御即位後17年以上にもなるから、まだこの
席次で済んだ。
もし御即位間もなくのことだったら、陛下が末席に座らされた
のか? 下手をしたら、後列で立たされた?
たぶん、そういうことだ。
そういう場合は、皇太子殿下に名代を務めていただくしかなか
ろう。


「国連では各国みな1票だ」というのはそれはそれでよいとして、
こういう一国の王家の祝賀の場では、国の親疎に見合った席次と
いうのがあって然るべきだろうに。

外交の常識では、どうなっているのだろう。


ちなみに、第2列の末席が英国のアンドリュー王子(ヨーク公
爵殿下、エリザベス女王の次男)であった。

タイの歴代の国王は、英国で教育を受けてきたものだが、さて
恩義浅からぬ英国の王子を25ヶ国の末席に置くとは、タイ政府
の見識も、とことん落ちたものである。


■ 両手に花とはなったれど ■


翌日6月13日の国王主催晩餐会ではいささかの改善があった。

写真はこちら↓
http://www.thaiembassy.jp/photo%20gallery/60th/Albums/Album10/Source/Royal_Banquet_057.htm

貴賓席の中央部分の席順をみると……

……
カタール首長
スウェーデン王妃
天皇陛下
タイ王妃
ブルネイ国王
タイ国王
スウェーデン国王
ブルネイ王妃
スワジランド国王
皇后陛下
レソト国王
……

ブルネイ国王が、賓客代表として答礼の挨拶を行った。

天皇陛下がようやくスワジランド国王を抜いて第3位の席次と
なり、両手に花のお席となった。


わたしがタイの外務大臣だったら、マレーシア国王を上席にも
ってきて答礼の挨拶をしてもらったろう。

マレーシアに接するタイ南部3県はマレー文化圏内にあり、分
離独立運動があってテロが絶えない。
圧倒的視聴率の晩餐会中継で、マレーシア国王から
「マレーシア・タイの友好・平和」
を呼びかけてもらうことで、人心安定をはかるよい機会になった
ものを。


■ 残念ながらB級国家 ■


今回のタイのB級外交ぶりは、これにとどまらなかったようだ。

かなり辛口の評論を発見したのでご紹介しよう。
http://iscariot.cocolog-nifty.com/kuantan/2006/06/60_4200.html

6月12日に王宮に天皇・皇后両陛下が入られたとき、タイの王
族の応対がデタラメ、というか、応対らしい応対さえなかったぞ、
というもの。

「日付のある紙片・タイ大嫌いな旅行者のブログ」というブログ。

匿名ブログであり、内容の真偽のほどについてはコラム子は保
証しませんが、一読してタイの「いけないところ」をみごとに看
破していると思いましたね。


今回の一連の式典だが、
「タイ国王のゆるぎない権威には敬服するが、タイ王家そのもの
は、所詮は二流国の王室だ」
というのが、残念ながらヨーロッパの王族がたの結論だったので
はないか。

ちゃんとしているようで、すぐにチグハグのボロが出る、
……というのが、タイで2年すごしたコラム子の感想なのだけれ
ど、今回もみごとにそうだった。

タイ人たち本人に「悪気」はないのですがね……。

そりゃそうさ。
悪気があってこれをやられたら、たまらないよ。




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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
読んでしまいました・・・。 (J)
2006-07-11 14:02:46
とってもショック。

なんて浅ましいんでしょう。

アジアで植民地支配を受けなかった国の1つ。

国民から敬愛されている国王。

それが・・・。

がっかりしてしまいました。



>日本政府がタイのくだらない自慰式典に、ハードな日程を作って天皇陛下を無理やり出席させて恥をかかせたのも、タイに投資している日本の経済界からの要望によることなのかもしれない。



T-T(怒)
返信する
Unknown (まさ)
2006-07-11 19:34:20
Jさん、

タイは思っていたほど几帳面と言うこともないアバウトな国だと言うことですね。

それよりも、天皇・皇后両陛下がご出席されるのだから、現地の大使館は細心の注意をして気配りしなければけならないはず。これはやっぱり現地外務省にも責任があると思います。
返信する
主の意見は「間違っています」 (通行人)
2009-06-01 15:59:59
(出典:「国際儀礼に関する12章プロトコール早わかり」外務省外務報道官/編集.財団法人世界の動き社/発行)より。

1 公式席次
公式席次は、国によって若干異なりますが、どの国においても、元首(国王、大統領など)が第1位の席次を占めています。

このあとは、王族、行政・立法・司法の三権の長、外交団と続くのが一般的です。外交団内部の席次については、国際的に公認された席次があり、先任順というのが鉄則です。

2 儀礼席次
これは公式席次の対象とはならない要人(たとえば、政党党首、主要経済団体の長、実業家、文化人)に与える席次で、社会的地位、年齢などを考慮して決めるわけです。

儀礼席次は、簡単に決められるものではありませんが、もし儀礼席次によって処理しなければならない人々と公式席次によって扱える人々とが、夫人とともに同席することになり、さらに、これに外国人が加わる場合には、序列の決定は複雑かつ困難を極めます。

この場合、第一義的には集会の趣旨を考え、先例に照らし、出席者の経歴、および年齢を勘案し 、また、次の一般的原則にしたがって決めるとよいでしょう。

(1) 妻は夫の席次をとる(ただし、夫人を優先させる場合があります。その夫人が元内親王、大使などの場合、夫人の出席者が少ない場合、などがこれに当たります)。

(2) 同様の地位にある人々については、年長者を優先させる。

(3) 同一の階級の内外人の間では、外国人を優先させる(外国人の序列は、関係国公館に照会べきでしょう)。

(4) 婦人同士では、既婚婦人、未亡人、離婚婦人、未婚者の順とする。
-------------

これは日本の外務省の席次のプロトコールですが、国際儀礼においても、同様のルールで席次は決められてます。

国によって、席次が派手に異なると「あの国は常識が無い」となってしまい、儀礼を満たすことはできませんから。

つまり、仮に日本で天皇の即位記念式典を行った場合、タイと同じような席次(即位期間が長いほうが上)で並べられるということです。

天皇
タイ国王
ブルネイ国王
スウェーデン国王
スワジランド国王

上記のプロトコールで考えるならばこのように席次が決められるかと思います。

要するに、タイの式典は国際儀礼に適ったもので、タイが好き勝手したわけではありません。

ブログ主の意見は、架空の天皇の即位記念式典の席次を見たスゥエーデン人が「日本人は馬鹿者だ。国の最高勲章(織天使勲章と、菊花章)を交換している君主をブルネイの下におくなんて!オイルマネーで買収されたのか!?」
と、非難しているに等しいことを書いているわけです。

日本で言う儀礼席次(2)のルールで、タイの式典の席次は決められたわけです。

要するに、正しいのです。
ルールなのです。
わかりますか?

ルールを知らずに根拠の無い願望で外国を非難するのは半島人だけでけっこうです。

最後に「ブルネイ国王も英女王も天皇も」「同じ終身元首(同様の地位にある人々)」です。

古い記事ですが、訂正を期待します。
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追記 (通行人)
2009-06-01 16:03:31
追記します。

日本人が天皇を「一番偉い」と思うのは自然なことですが、ブルネイ国王より偉いと思うのは、日本人だけです。
ブルネイ国民は異なります。

そこのところ「ルールと儀礼を重んじる日本人」らしく振舞っていただきたいです。
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ショックです (通りすがり)
2009-06-16 18:39:02
読ませてもらいました。ショックですタイと日本の天皇とは親しく親天皇だと思っていたのに
何たる侮辱!総理が端っこでも何とも思わないが天皇を蔑にされると腹が立つのは何故ですかね。実際タイの人は不器用で深く考えていないかもしれないが仏の顔も3度まで!
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この手の勘違い (通行人)
2009-10-24 06:38:20
ブログ主みたいな勘違いする人、よく2ちゃんで見かけますが、すごく恥ずかしいです。
同じ日本人として恥ずかしすぎる。
己の国を誇りたいなら、他国の元首も同じように尊重したらどうですか。
席次はプロトコルどおりで当然です。それがわからない人に、儀礼がどうのと語る資格はない。

おおかた、2ちゃん情報の天皇は世界の君主の中で一番エライというヨタ話を信じているんでしょう。あれをネットで見かけるたびに、他国の人が読まなければいいなと、心の底から思います。昭和天皇がエリザベス女王に上席を譲られたのは、昭和天皇のほうが在位期間が長かったからです。まったく、ネットにはびこる自称憂国の士の浅はかさには呆れます。
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『タイ国王、天皇を迎えず!』の辛口評論は誤りがあります。 (通りがかり)
2010-06-06 00:25:16
http://www.youtube.com/watch?v=e8ckHZU0W3o

実際の映像です。
ちゃんと出迎えていらっしゃいますよ。

世の中、様々な虚偽情報が飛び交っているものです。
このエントリーはコメントも含めて私も勉強になりました。
お互い気をつけましょう。
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Re:『タイ国王、天皇を迎えず!』の辛口評論は誤りがあります。 (根津)
2010-10-16 10:45:25
私もyoutubeの動画を見て通りがかりさんのようにガセかと思った一人ですが
そのブログの管理人は↓のように言ってますよ。

他でも書いているように、2chなどに流れている「動画画像」は「正式の謁見」の様子でしょう(いくらタイ国王でもそんなものをすっぽかすわけがない)。

この記事で問題にしているのは(記事の中にも書いてあるとおり)正式の謁見の模様ではない。

そうではなく、御座船行列の前に各国王族が一人ずつ普通の服装で広間の座についているタイ国王に挨拶していった場面。
しかし、非常に非礼な場面であったことは事実。

天皇陛下が入場される直前に国王と王妃がどこかに消えてしまい、広間は記事に書いたように雑然として人が歩き回る場所になってしまった。
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Unknown (Unknown)
2012-08-22 05:12:44
日本人として恥ずかしいです。
国際上のルールや慣例に目を向けず、自分のことばかり優先でごねてわがままを言うなんてどこかの半島の人ですか?
日本人として恥ずかしいです。
返信する
Unknown (Unknown)
2012-08-22 07:32:21
他国の人間にとっては、天皇はほかの国の元首と比較してえらいとは思ってないわけで。。席次を即位順に決めるのは揉め事が少なくてよいと思うですよ。
てか、これは釣りですかねw
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