Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Ron Baumber

2006-12-31 | SSW
■Ron Baumber / China Doll■

 2006 年最後にご紹介するアルバムです。 このブログを開設したのが今年の 3月ですから、よく継続できているなあと自分でも関心してしまいます。 そういえば、今年のお正月に「今年の誓い」的なものを立てたのですが、まともに実現しているのはこのブログくらいかもしれません。
 
 さて、この Ron Baumber はカナダが生んだメロウな SSW アルバムの名盤として、割と古くから有名な作品。 僕のレコードラックの左隅にある大事なレコードばかりを収納しているコーナーから取り出してきました。 黒い背景に浮かんだ精悍な表情が印象的で一度みたら忘れられないジャケットですが、今ではなかなか入手困難になってしまっています。 アルバムは 1976 年に発表されており、さすがに僕はリアルタイム派のリスナーではありません。 1990 年代初頭に、Tony Kosinec の Columbia 盤が日本で初 CD 化されたときに、渚十吾さんが解説を書かれたのですが、そこに Tony Kosinec の参加しているアルバムとして Ron Baumber の名前が記されていました。 それを頼りに海外通販で探して入手したのが、この「China Doll」です。 渚十吾さんは、Tony Kosinec への愛情あふれるその解説で、Tony Kosinec が参加しているミュージシャンとして、Ron 以外に Tim Curry や Don Jewitt の名前を挙げていました。 Tim Curry はともかく、Don Jewitt もいずれこのブログで取り上げたいと思っています。

 話をこのアルバムに戻しましょう。 いま、このブログを書きながらレコードの針は今日 2回目の A面ラストのあたりをトレース中。 静かな夜更けにこんなに似合うアルバムも珍しいなと思いながら、キーボードを叩いています。 アルバムは Jonathan Goldsmith の弾くエレピがメロウな「Dana’s Song」で幕を開けます。 この曲の持つさりげないセンスとムーディーなサウンドをどのように表現すればいいのでしょう。 メランコリックなサックスのソロには打ちひしがれてしまいます。 続く「Little By Little」も遠慮がちでいてステディーな演奏をバックに、憂いを帯びた Ron Baumber のボーカルの渋さが際立ちます。 続くはエレピ主体のミディアム・バラード「I Know It’s Right」ですが、この曲も非の打ち所がありません。 こんな曲は、ウィスキーのロックを飲みながら聴くと最高ですね。 「East Of The Rockies」はギターを中心としたサウンドで、このアルバムの中ではもっともフォーク色の強いものとなっています。 郷愁あふれるハーモニカのせいかもしれません。 A 面ラストの「Keep It On The Tracks」は、サビの繰り返しが耳に残るアルバムのなかではポップ指向を感じる作品です。

 B 面に移りましょう。 1 曲目の「Duncan And The Devil」は、いきなり Max Middleton かと錯覚するようなファンキーなエレピのイントロに驚きます。 この曲はラストの終わり方まで、英国産の通好みの名グループ「Hummingbird」の影響をモロに受けているに違いありません。 これは、おそらくエレピの Jonathan Goldsmith の指向でしょう。 つづく「Picture Of A Lady」もまたメロウ。 雰囲気的には Steve Eaton のセカンドあたりに収録されていてもおかしくないような内容です。 まさにプレ AOR の良さが凝縮されています。 アルバムタイトル曲「China Doll」も同様の傾向ですが、エレピと女性コーラスのセンスに脱帽です。 ピアノ中心のしっとりしたバラード「Like A Falling Sparrow」は、Bill Findlay なる人物の作品。 ラストの「Lullaby」はおとなしく目立たない曲ですが、レコーディング段階からこの曲をラストにすることが意識されて作られた感じがします。
 結局、1 日で 3回も聴いてしまいましたが、やはりこのアルバムは数多いカナダ産のアルバムの中でも最高峰の部類に入る作品だという認識を新たにしました。 そもそもは、Tony Kosinec をキーワードに辿り着いたアルバムなのですが、そんな事はすっかり忘れてしまいます。 聴いていても、Tony Kosinec がどの曲にコーラス参加しているのか、ということは分かりませんし、何度も聴くうちにそれは余計な詮索であることに気がつくのです。
 残念ながら、Ron Baumber が残した作品は、この「China Doll」だけのようです。 そして、Ixtlan Records のレコードもこのアルバムの他に見かけたことはありません。 来年あたりにまさかの世界初 CD 化なんていう初夢みたいなニュースが舞い込んでくることを期待しながら、このレコードをまたラックの「大事コーナー」に戻すことにしましょう。
 
 では、みなさん良いお年を。

 

■Ron Baumber / China Doll■

Side-1
Dana’s Song
Little By Little
I Know It’s Right
East Of The Rockies
Keep It On The Tracks

Side-2
Duncan And The Devil
Picture Of A Lady
China Doll
Like A Falling Sparrow
Lullaby

Produced by Kerry Crawford , Jonathan Goldsmith , Ron Baumber
Recorded at Thunder Sound , Toronto , Ontario , Sept.Oct.Nov.Dec.1975
All songs written by Ron Baumber except ‘Falling Sparrow’ by Bill Findlay

Ron Baumber : lead vocals , acoustic guitar , electric guitar
Kerry Crawford : acoustic guitar , electric guitar
Jonathan Goldsmith : piano , Rhodes , Arp and Elka Synthesizers
Bob Disale : percussion
Dave Nicol : bass
Richard Horbatiuk : bass on ‘Falling Sparrow’ and ‘Lullaby’
Lance Bennett : harmonica
Ben Mink : mandolin , violin
Bruce Pennycook: saxophone
Sandra Pim , Joanne McKay , Carol Hansen , Tony Kosinec , Kerry Crawford , Ron Baumber : background vocals

Ixtlan Records ILN-1001

Kreag Caffey

2006-12-30 | SSW
■Kreag Caffey / Kreag Caffey■

 2 日続けて取り上げた David Pomeranz のアルバムが Decca だったもので、もう一枚 Decca を続けます。 Decca というとストーンズのイメージが強く、そのせいかイギリスのレーベルという印象がありますが、1970 年代初頭にはアメリカのミュージシャンとの契約もそれなりにあったようです。 前回までの David Pomeranz はニューヨーク録音のアルバムでしたが、今日ご紹介する Kreag Caffey は LA の録音。 1972 年の作品です。 
 このアルバムはあまり人気のない SSW アルバムのようですが、実を言うと僕もそれほど好きではありません。 というよりは、駄作に近いかなと思ったりします。 その原因は癖のあるネコ声とひらめきのないメロディーに集約されてしまいます。
 とはいえ、歌詞カードにしか書かれていない豪華な参加ミュージシャンのクレジットには興味をそそられるし、それなりに注目してしまうのも事実です。 そんなアルバムを数年ぶりに聴いてみました。

 John Sebastian が参加している「Eulogy」でアルバムはスタート。 ノーマルなフォークロックなのですが、先に書いたようなネコ声につまづきそうになります。 だいぶ前に紹介した Bill Jerpe を思い出すのですが、彼よりも更にネコ色が強い印象です。 地味な名手 Craig Duerge のピアノが光る「Salt Rain Pleasant」のほかの A 面曲は印象に残らない出来です。
 B 面では、Kenny Rankin が参加した唯一の曲「Jaclyn」が注目です。 Kenny Rankin とすぐにわかるアコースティック・ギターのイントロから始まる短めのバラードですが、アルバム中では一押しでしょう。 John Sebastian、Craig Duerge、Leland Sklar、Ed Green という強力な布陣による「Baby I’d Ask / Honey I Hide」も無個性なフォークロックという仕上がりです。 時代としては、このようなサウンドに売れるチャンスが全く無かっったわけではないと思いますが、それにしても曲の出来からは売れる可能性の感じられないアルバムとなってしまっています。
 そんなことから、このアルバムについてコメントするサイトもほとんど無く、このままでは忘却されていきそうな気配です。 レコード・コレクター誌などで、 Kenny Rankin 特集でも組まれたら、参加アルバムとして一行だけ名を残す程度の存在なのでしょう。

 さて、私事ですが、ようやく仕事納めになりました。 正月休みの合間にいろいろレコードを聴きたいなあなんて思っています。 特に何の予定も無いので。 今年最後の投稿をこのアルバムで終わらせたくないので、あと二日ですが、何とかもう一枚は取り上げたいと思っています。

 

■Kreag Caffey / Kreag Caffey■

Side-1
Eulogy
Salt Rain Pleasant
A Song Of One / Some More Will Die
She’s Fast (She Never Eats At Home)
I’m Scared

Side-2
Chilly Winds
Jaclyn
Baby I’d Ask / Honey I Hide
Your Machines
Perimeter

Production : Kreag Caffey , Ron Krietzman
All Songs Composed by Kreag Caffey

Mike Deasy : electric 12 strings
John Sebastian : electric guitar
Bruce Davis : electric guitar
Leland Sklar : bass
Buddy Emmons : pedal steel
Eddie Green : drums
Ed Beyer : piano , organ
Steve LaFever : bass
Alan Parker : lead acoustic guitar
Craig Duerge : piano ,organ
Richard Hayward : drums
Larry Knectal : organ
Bruce Langhorne : lead electric guitar
Kenny Rankin : acoustic guitar
Kreag Caffey : acoustic guitar , guitar , harmonica

Decca Records DL 7-5363

David Pomeranz

2006-12-20 | SSW
■David Pomeranz / New Blues■

 David Pomeranz のデビュー作は、セカンドアルバム「Time To Fly」と同じ 1971 年にリリースされました。 1 年に2 枚のアルバムということなので、この「New Blues」は 1971 年の早い時期に発表されたものだと思います。 「Time To Fly」は豪華なミュージシャンを集めたアルバムであるのに対して、この「New Blues」のバック・ミュージシャンは馴染みのない名前ばかりです。 そんななか、光るのが Paul Simon のクレジット。 とはいえ、エレキ・ギターだけの参加ですので、サウンド的にはまったく意識することはありません。

 自分自身が、David Pomeranz のアルバムを「The Truth Of Us」から遡って聴いてきたので、このアルバムを初めて聴いたときはかなりがっかりした覚えがあります。 というのも、ピアノ系 SSW/AOR ミュージシャンというイメージの強いDavid Pomeranz にもかかわらず、このアルバムではむしろギターが中心のシンプルなサウンドにまとまっているからなのです。 かろうじてピアノが中心的な役割を演じている楽曲は2曲くらいしかありません。 これは、デビュー時の David Pomeranz の音楽的な方向性の迷いなのか、まだミュージシャンとしての個性が確立していないからなのか、あるいは時代背景やマーケティング的な要因からこのような音に仕上げたのか、なのでしょう。 いすれにしてもミュージシャンとしての未成熟さを感じざるを得ないのです。
 そんななか、「Brenda , Please」や「Singin’ On The Train」は、冬のニューヨークをイメージさせる美しい曲に仕上がっています。 今の David Pomeranz からは考えられないカントリータッチの「Missin’ Song」(この曲にPaul Simonが参加)やジャズテイストの濃い「New Blues」や「Can’t Get Over You」などは、まだまだ習作という印象です。 ピアノ系のバラードの「I’ll Never Be Gone」は後にDavid Pomeranzの歩んだ路線に最も近い楽曲。 二拍子でポップな「What’s To Become Of Me?」では、彼のカズーのソロも聴くことができます。

 ほとんどジャズのアルバムデザインという感じのジャケットに浮かぶ青白い David Pomeranz の表情。 それはクールでいて何か頼りない傷つきやすい青年のイメージです。 ここに収録された音源は、ぐつぐつ煮込む前の甘酸っぱいトマトシチューのようですが、これが彼の出発点、そして原点です。 このアルバムの反省があって、名盤「Time To Fly」が生まれたとするならば、David Pomeranz の音楽人生において必要不可欠なプロセスだったのかもしれません。 これから 1年もしないうちに、David Pomeranz は大きく成長するのですが、残念ながら商業的な成功を収めることができないまま、Decca との契約が終了してしまうのです。

  David Pomeranz の特集は今日でおしまいです。 いつの日か、彼のすべてのアルバムが CD 化されることを願っていますが、ここまで CD 化が遅れたミュージシャンも珍しいですね。 それだけに「The Truth Of Us」の CD 化は画期的な出来事だと思います。 あ、今日が発売日だった!

 

■David Pomeranz / New Blues■

Side-1
Brenda , Please
Missin’ Song
New Blues
Singin’ On The Train
Brandy Wine

Side-2
Tunnel Is That Away , The Vet Took The Cat Away Blues
I’ll Never Be Gone
What’s To Become Of Me?
Can’t Get Over You
Aching

Produced by Ray Ellis
All songs written and arranged by David Pomeranz

David Pomeranz : acoustic guitar , piano , percussion , kazoo
Sandy Nassan : electric guitar
Steve Mendel : fender bass
Jack Gerow : electric guitar
Mike Conner : piano ,organ
Paul Simon : electric guitar
Donald Macdonald : drumsn , percussion
Clark Pierson : drums
Jule Reggerio : bass
Ronnie Zito : drums
Jerome Richardson : tenor sax , flutes


Decca Records DL 75274

David Pomeranz

2006-12-16 | SSW
■David Pomeranz / Time To Fly■

 「David Pomeranz はどうも甘すぎてダメ」という人も多いと思いますが、そんな人にお薦めしたいのが、このセカンドアルバム。 1971 年の暮れに発表された作品なのですが、知的で洗練されたサウンドは時代を感じさせません。 豪華なミュージシャンによるクオリティの高い演奏、難解な楽曲という要因もあり、時代を先取りしすぎたが故にまったく売れなかった SSW 作品と言えると思います。

 このアルバムを買ってまず驚いたのが、参加しているミュージシャンの凄さです。 まだ 20 歳そこそこの無名のシンガーソングライターのために、どうしてこんな凄腕のミュージシャンが集結したのでしょうか。 その理由はわかりませんが、個々のミュージシャンの時代考証的にも非常に興味深い参加が目立ちます。
 なかでも Chick CoreaJan Hammer のクレジットには驚きました。 この二人が同じアルバムにしかもジャズ以外のジャンルのアルバムに参加しているというのは、おそらくこのアルバムだけでしょう。 さすがに共演していることはないのですが、Chick Corea は、「Return To Forever」のファースト・アルバム(1972年)のレコーディング直前だったのではないかと推測され、しかも「Return To Forever」のメンバーでもあった Joe Farrell と Airto Moreira も参加しており、その事実だけでちょっと興奮してしまいます。 一方の Jan Hammer も Mahavishnu Orchestra に参加した時期です。 この二人を引き寄せるには、かなり強力な人脈かギャラが必要だったのではないでしょうか?
 
 アルバムの全般的な印象は、先進性に富み難解な楽曲が多いなか、時折見せるポップなテイストとクールな演奏が全体の輪郭を引き締めているという感じです。 A 面はB 面に比べてピアノ色の強い曲が多く、「Father Thoughts」などはまさにPomeranz の世界。 続く「Mr. Middle’s Summertime」は明らかにピアノの音色が違い(個人的にはJan Hammer が弾いていると推測しています)、Billy Joel に通じるポップ感を持つ曲です。 静寂な佇まいのなかに響くホーンやストリングスがさらに孤独感を高めるかのような「City Show」、シングルカットされたブルージーな「Dagger」と続いていきます。 しかし、このような地味な曲をどうしてシングルカットしたのか、狙いがよく判りません。
 B 面では、「I Need Time To Fly」と「Day Prayer」が好みです。 前者は音数が少ないながらも緻密な演奏と美しくも複雑なメロディー、まだ若き David Pomeranz の美声とが絶妙に一体化しています。 ちなみに、この曲のピアノは Chick Corea ではないかと推測しています。 アルバムラストでもある後者は、繊細なピアノ系のバラードで、ラストのリフレインとストリングスがさりげなく心をしみる曲。 他の曲はギター系のリラックスした曲もあり、特に「A Fine Woman」は、豪華なサポートミュージシャンのプレッシャーから放たれたかのように和んでいます。

 エンボス加工された二つ折りのジャケット。 鳩を放つ David Pomeranz の後姿。 ちょっとチープな感じもしなくはないこのデザインですが、個人的にはとても気に入っています。 このアルバムから感じ取れる孤独や希望といったものを、そのまま表しているように思えるからなのです。 

 

■David Pomeranz / Time To Fly■

Side-1
First
Father Thoughts
Mr. Middle’s Summertime
City Show
Dagger

Side-2
I Need Time To Fly
A Fine Woman
We Loved Just Fine
Hideaway Suite
  Part 1
  Part 2
Day Prayer

Produced by Charles Calello
Arranged by David Pomeranz and Charles Calello
All songs written by David Pomeranz

David Pomeranz : guitar , piano , percussion , vocals
Chick Corea , Jan Hammaer : piano
Bill Cobham Jr. : drums
John Hall , John Tropea , David Spinoza , Jack Gerow : guitar
Jay Leonhart , Ed Gpmez : bass
Airto Moreira : congas
Randy Brecker : John Frosk : trumpet
Tom Mitchell : trombone
Jim Buffington : french horn
Joe Farrell : tenor sax
Don Ashworth : baritone sax
David Friedman , George Devens : percussion

Decca Records DL 7-5329

David Pomeranz

2006-12-14 | AOR
■David Pomeranz / It’s In Everyone Of Us■

 David Pomeranz のアルバムを遡っていくことにします。 今日は 1975 年にアリスタからリリースされた 3枚目のアルバムをご紹介します。
 このアルバムを一言で言えば、青々しい青年がたたずむジャケットのとおり、爽やかで汚れのない David Pomeranz の現在に至るまでのサウンドが確立された作品ということになります。 前回もご紹介した 1999 年発表のベスト盤「Born For You」に、このアルバムから 2曲が再録されていることが、アーティストとしての方向性の定まったことを表していると思います。 プロデュースは、Anders & Poncia で有名な Vini Poncia。 アリスタで Vini Poncia といえば、このブログで以前取り上げた The Movies のアルバムと同じ組み合わせです。

 さて、アルバムは David Pomarenz を代表するバラード「It’s In Everyone Of Us」でスタート。 この曲は、このブログで取り上げた Barbara Meislin をはじめ、多くのミュージシャンにカバーされています。 David 本人のバージョンは、ゆったりと大らかな広がりを感じさせるアレンジとなっています。 そのうえに、Gary Wright、Alan O’day 、Patti Dahlstrom などの豪華な面々によるバックコーラスが厚みを加えているので、出来が悪いわけがありません。奥さんである Althea Pomeranz のことを歌った「Thea」に続いて、Barry Manillow のトップ 10入りのヒットでも有名な「Tryin’ To Get the Feeling Again」は前述の「Born For You」でも再録された David Pomeranz ファンにはお馴染みの代表曲。 空を駆け抜けるかのようなメロディーが Pomeranz 節とも言える「The Hit Song Of All Time」もファンには人気のありそうな名曲です。 つづく「Flying」はバルーンでもっと高いところに飛んでいってしまったかのような浮遊感が David のハイトーンボイスで綴られていきます。
 B面では、「Born For You」で再録されたバラード「If You Walked Away」が出色です。 この曲も David Pomeranz ファンには人気だと思いますが、このアルバム制作時、彼は 24 歳だっということで早熟な才能を感じざるを得ません。 Barry Fasman のアレンジ力が光る「High Together」、ピアノをベースとしたリズムレスのバラード「Clarence」が B面では聴きどころでしょう。 「Clarence」はちょっともったいぶりすぎて冗長な感も否めませんが。 

 久しぶりにこのアルバムを聴きましたが、1975 年という良き時代のサウンド・プロダクションが安定しており、Melissa Manchester や The Faragher Brothers などの渋いバックコーラスも楽しむことができる充実した作品だということを再認識しました。 できれば、「The Truth Of Us」に続いて世界初 CD 化を期待したいところです。 アリスタは、David Forman のような隠れた名盤が CD 化された実績もあるので、ぜひともお願いしたいところです。
 
 さて、このアルバムにも輸入盤と国内盤が存在します。 輸入盤は、二つ折り見開きジャケットなのですが、国内盤はコスト削減が狙いなのかシングル仕様となっています。 輸入盤の方が多く出回っているので、そちらをお薦めしますが、David Pomeranz の濃い胸毛は見たくなかったですね。 問題の国内盤ですが、僕の持っているものには帯はないものの解説が入っており、そこに表記された邦題には腰を抜かしてしまいます。 そのタイトルは、『賢人に捧げるバラード』。 当時のアリスタは東芝 EMI から発売されていたのですが、誰が名づけたのでしょうか。 『原子心母』や『狂気』という邦題を生んだレコード会社ですが、この邦題はいただけません。

 解説を書いている音楽評論家は 1971 年の前作「Time To Fly」の印象が強すぎたせいか、このアルバムを「前作に比べて鮮度が落ちることは否めない」とか「右の耳から左の耳ですんなりと抜けてしまった」と評しています。 このようにネガティブな評論をレコードの解説に堂々と掲載するところは潔しと思いますが、先に書いたように David Pomeranz のサウンドが確立されたアルバムとしての重要性と楽曲のクオリティをもっと評価すべきだと思います。 もっとも評論家に先を見通せというのも無理がありますが。
 
 

■David Pomeranz / It’s In Everyone Of Us■

Side-1
It’s In Everyone Of Us
Thea
Tryin’ To Get the Feeling Again
The Hit Song Of All Time
Flying

Side-2
Greyhound Mary
If You Walked Away
High Together
Home To Alaska
Clarence

Produced by Vini Poncia for Richard Pery Productions
All songs written by David Pomeranz

David Pomeranz : piano , organ , acoustic guitars ,clavinet , percussion
Emory Gordy : bass
John ‘Cooker’ LoPresti : bass
David Hungate : bass
David Wolfert : acoustic guitar , electric guitar
Jim Calvert : electric guitar
John Vastano : electric guitar
Jim Keltner : drums
Kirk Bluner :drums
Dennis St. John : drums
Lenny Castro : conga , percussion
Harold Huff : percussion
James Newton Howard : Arp Synthesizer
Jim Horn : tenor asx
Tom Saviano : sax
Rich Felts :trumpet

Backing Vocals : David and Althea Pomeranz , Gary Wright , Lorna Ellis , Alan O’day , Brie Howard , Patti Dahlstrom , Bob Strauss , Dennis Brooks , Peter Spelman , Vini Poncia , Melissa Manchester , The Faragher Brothers , John Vestano

Strings and Woodwinds Arranged and Conducted by Barry Fasman

Arista Records AL 4053

David Pomeranz

2006-12-12 | AOR
■David Pomeranz / The Truth Of Us■

 今年もあと 3週間あまり。 今年の CD 化大賞は何だろうと考えていたところ、発見したのが David Pomeranz のこのアルバム。 「ついに」というか、「ようやく」というべきか、AOR ファンには歓喜の初 CD 化ですね。 しかも紙ジャケット仕様とのことです。
 David Pomeranz はその甘いメロディーとマイルドなボーカルで日本では人気のアーティストなのですが、ファーストからこの The Truth Of Us までの 4作品がいずれも未 CD 化という珍しい存在でした。 そんななか、1979 年にワーナー傘下の Pacific Records から発売された人気の本作がめでたく CD 化となりました。 ちなみに、David Pomeranz は近年はフィリピンで活動しているらしく、90年代後半に活動を再開してからリリースしている新作もアジアでの発売となっているようです。 そのなかでもお勧めは、「Born For You」というベスト盤。 過去の作品の再録を含む内容ですが、僕の愛聴盤となっています。

 さて、話をこのアルバムに戻しましょう。 このアルバムは、70 年代後半の AOR ブームもあって、国内盤も発売されていました。 その時の邦題が「涙のくちづけ」です。 いいタイトルですね。 当時、田中康夫のヒット小説「なんとなくクリスタル」が松竹から映画化されましたが、そのサントラ盤に「The Old Songs」が収録されたりしたこともあって、David Pomeranz はメロウな AOR ファンに愛されたアーティストです。 そんなこともあって、今回の初 CD 化は、最高のクリスマスプレゼントとなることでしょう。
 アルバムを語るとき、まずは「The Old Songs」から始めなくてはならないでしょう。 センチメンタル系のバラードとしては AOR 屈指の名曲なのですが、この曲の素晴らしさは聴けば聴くほどに味わいを増してくるところでしょう。 優れた楽曲がまれに垣間見せてくれるマジックがこの曲には宿っているように思います。 Barry Manilow にもカバーされましたが、ボーカルの繊細さはオリジナルを凌ぐことはありません。 「昔の歌は昔の思い出もよみがえらせてくれる。 そして、別れてしまった彼女も僕のもとにとどまってくれるかもしれない」と歌う歌詞はまさに「わたせせいぞう」の描く世界そのままです。 別れた恋人への甘く切ない気持ちが、若き日の David Pomeranz の歌声とともに永遠にレコードに刻み込まれています。 この名曲を皮切りに、A 面はピアノ系のリリカルなナンバー「Ask Me To Say “I Do’” (And I Will)」、前述の「Born For You」でも再録されたバラード「This Is What I Dreamed」、1930 年代の華やかなアメリカへのオマージュといった趣の「My Buddy And Guy」と続いていきます。 

 B 面ではアルバムタイトルの「The Truth Of Us」が切ない系のバラードです。 「僕たちの真実は嘘をつきながら暮らしていたこと」と歌うサビのフレーズが、このアルバムのジャケットデザインと重なって見えますね。 彼女からの熱いキスを受けながらも、なぜかクールな視線の David Pomeranz。 ここから、見事な邦題「涙のくちづけ」が連想されたのでしょう。 ほんのりジャズテイストの「Fat」、やさしいバラードの「Old Home Town」、ちょっとハードな「Hit That Target」につづいて、アルバムのラスト「Cloud Of Music」へと流れていきます。 このラストはピアノを中心に音数の少ないふんわりした曲となっています。 まさにタイトルどおりといったところでしょう。

 このアルバムは 1997 年のテレビドラマ「成田離婚」で、離婚するカップルが記念のレコードとしてプレゼントするようなシーンがあったそうです。 僕は全く見ていなかったので、どのようなシチュエーションで、どのくらいはっきりとジャケットが映ったのかは分りませんが、その当時はコアな AOR ファンの間でこのアルバムの CD 化の要望が高まったことを良く覚えています。 しかし、当時は「The Old Songs」がドラマのサントラ盤に収録されただけで、アルバムの再発には至らなかったのです。 よっぽど権利関係が複雑なのだろうと思っていましたが、それからほぼ 10 年経過した 2006 年 12 月 20日についに「涙のさいはつ」となりました。 関係した方に感謝したいですね。
 
 最後に僕はこのアルバムを輸入盤と国内盤(帯つき)の両方を持っていますが、国内盤の帯には、こんなキャッチコピーが記されています。 ちょっと照れくさいですが、最後にそのコピーをご紹介して今日のアルバム紹介を終えたいと思います。

 『ひとつひとつの夢に 思い思いの影をつけてみたら 僕たちだけのアルバムができた…』

 

■David Pomeranz / The Truth Of Us■

Side-1
The Old Songs
Ask Me To Say “I Do’” (And I Will)
This Is What I Dreamed
My Buddy And Guy

Side-2
The Truth Of Us
Fat
Old Home Town
Hit That Target
Cloud Of Music

Produced by David Pomeranz and Roy Halee
Engineered by Roy Halee
All songs written by David Pomeranz
Except ‘The Old Songs’ and ‘Cloud Of Music’ by David Pomeranz and Buddy Kaye

David Pomeranz : acoustic piano , harmonium , percussion , synthesizer , tambourine , electric piano , vocals , harmony vocals
Carlos Vega : drums
Veyler Hildebrand : bass
Bobby Cochran : acoustic guitar , electric guitar
Lee Ritenour : electric guitar
Tim May : electric guitar
Tom Seufert : electric guitar
Steve Carnale :electric guitar
Gabriel Katona : prophet-5 synthesizer
Vincent De Rosa : French horn
Paulihno Da Costa : percussion
Earle Dumler : english horn
Everett Bryson : congas , percussion
Larry Brown : percussion
Christopher Smith : harmonica
Steve Madaio : flugelhorn
Roy Poper : piccolo trumpet

Background vocals : David Pomeranz , Dianne Steinberg , Lori Lieberman , Althea Pomeranz , Lorna Wright , Tom Seufert
Claps : Tom Seufert , David Pomeranz , Roy Halee , Roy Braverman , Althea Pomeranz , Don Kerr ,
Strings Arranged and conducted by David Campbell

Pacific Records PC 4302


Sleepy Hollow

2006-12-10 | US Rock
■Sleepy Hollow / Sleepy Hollow■

 今年も John Lennon の命日がやってきました。 といっても 2日ほど過ぎてしまいましたが。 そして、The Beatles の新作(なのかなあ?)「LOVE」も発売され、世の中は少しビートルズ色になっているのでしょうか? 僕は年末ということもありけっこう忙しく、すっかりレコードショップに足を運ぶ機会がないのでそのあたりよく分りませんが。

 さて、今日ご紹介するアルバムは、1972 年に Family Productions から発売された Sleepy Hollow の唯一のアルバムです。 このアルバムはコアな音楽話のネタ的に使われることが多いのですが、そのネタはアルバムの 1曲目にあります。 その曲「Sincerely Yours」を初めて聴いた人は、おそらくほとんどの人が、「これ、ジョン・レノン?」と思い込んでしまうほど、声や歌い方がそっくりなのです。 僕も友人に聴かせたら、絶句していました。 ちょっと大げさかな。 とはいえ、「ジョン・レノンそっくり大賞」の歌唱部門があったら、間違いなく優勝すると思われるその人物は Richard Billay によるもの。 そう、Sleepy Hollow は、すべての作曲も手がけている彼の実質的なソロ・プロジェクトなのです。

 アルバムはシングルカットもされた「Sincerely Yours」でスタート。 この曲は前述のとおりですが、続く曲にも 後期の The Beatles のテイストが感じられるものがあります。 王道のポップな「One Time」や泣かせるバラードの「Take Me Back」などはまさに The Beatles の影響をモロに受けています。 時代から言っても不思議ではないのですが、このようなサウンドがイギリスではなくアメリカのフィラデルフィアから産みだされたのは、意外な感じがします。
 B面では、ストリングスとメロディーがまろやかな「Lady」、アルバム中最もロックンロールしている「Roller Coaster Man」といった起伏のあとに、唯一の大作とも言える「Hades」で幕を閉じます。 この曲はゆったりしたバラードですが、歌詞にクリスマスが出てきたり、その背景でベルがなったりと、今の季節感にぴったりな曲です。 やや大げさなアレンジも AB 面合わせて 30 分に満たないアルバムのラストなので、違和感がありません。 
アルバムを久しぶりに聴きましたが、やはり主人公の Richard Billay の才能ばかりが目立ち、他のメンバーの存在感はまったくありません。 特に Joe Zucca のドラムスは、パタパタしていて耳障りにさえ感じてしまいます。 Richard Billay はその後どのような活動をしたのか、ネットで検索してみましたが、1973 年に映画音楽を手がけている記録があった以外、誰かのアルバムに参加したとか、自らソロを出したというような記録は残っていませんでした。 彼のソングライティングの資質はかなり優れたものだっただけに、このアルバムしか残さなかったとは残念なことです。

 その理由はアルバムが売れなかったこと、Family Productions が後に閉鎖(倒産)してしまったことなどもあるでしょう。 しかし、個人的にひっかかるのが、プロデューサーとしてクレジットされている John Madara の存在です。 初期の Hall & Oates を手かげていたプロデューサーとして有名な人物ですが、その有名な理由が敏腕とかセンスとかによるものではなく、ダーティーな話が多いからなのですね。 特に有名なのは、マスターテープを自分のものにして、Hall & Oates がブレイクし始めのころに、Daryl Hall がかつて在籍していたグループ「Gulliver」のアルバム(これは当時、お蔵入りで未発売でした)を勝手に発売して、Hall & Oates の活動を妨害したというエピソードです。 ちなみに Gulliver には Daryl Hall のほかに、名曲「Rock’n Roll Love Letter」の作者として有名な Tim Moore やこのアルバムにストリングスなどで参加している Tom Sellers が在籍しています。  Sleepy Hollow としては、アルバムが売れたり後にブレイクしたりしていないので、Hall& Oates のような問題はなかったのでしょうね。 むしろ、このアルバムが録音されたシグマ・サウンドは、フィラデルフィア・ソウルのメッカで、こういったポップ作品のレコーディングに使用されたのは、珍しいことだと思います。 そのあたりは、 John Madara のホームグラウンドという理由だとは思いますが。

 さて、Sleepy Hollow といえば、Johnny Depp 主演の映画で同名の作品がありました。 僕はこのアルバムと同名だということで、劇場公開してすぐにその映画を見たのですが、ちょっと怖かったですね。 「あの程度で!」と言われてしまうかもしれないのですが、ホラーやスリラーはまったく駄目なのです。 映画はダーク・グレイの色彩的印象ですが、このアルバムは映画とは異なったポップな作品となっています。 いまだに CD になっていないようですが、若き日の Richard Billay の才能が封印された作品として、高い評価と認知を得るべきアルバムだと思います。

 

■Sleepy Hollow / Sleepy Hollow■

Side-1
Sincerely Yours
One Time
Take Me Back
Talking Out Of Turn
Lay It On The Line

Side-2
Love Minus Zero
Lady
Roller Coaster Man
Hades

Produced by John Madara and Tom Sellers
Directed by Richard Billay
Recorded at Sigma Sound Studios , Philadelphia , Pennsylvania
Strings and Horn Arrangements by Tom Sellers
All Songs composed by Richard Billay

Richard Billay : lead vocals , guitar , piano
Joe Zucca : drums
Richie Bremen : bass

Family Productions
FPS 2708

Bob Burchill and Perth County Apple Jack

2006-12-03 | SSW
■Bob Burchill and Perth County Apple Jack / Will I Ever Get To Heaven■

 またブログの更新が遅れてしまいました。 もう 12 月ということで、今年あと何枚のアルバムを紹介できるのかと考えるようになりました。 今年最後に紹介するものはこのアルバムにしようというミュージシャンは実は決まっています。 それはその日までのお楽しみにしておきますが、ヒントとしてはカナダの SSW アルバムとするつもりでいます。
 さて、それとは関係ありませんが、今日取り上げるアルバムもカナダ産。 カナダはオンタリオを中心に今も現役で活動している Bob Burchill の 3枚目のアルバムです。 彼のアルバムはこのアルバムしか持っていないのですが、捨てがたい魅力を持った作品と言えるでしょう。

 サウンド的にはリズムセクションがしっかりしているので安心して聴くことのできる曲が多いのが特徴です。 ただ、演奏の上手さの中にも何か垢抜けなさが残るあたりが、こうしたマイナープレスならではの魅力となっています。 「Whistle Down the Road」や「Running Away」で目立っている David Woodhead のベースなどは、ジャコパスの影響下にあるのではと思ってしまうくらい饒舌なものになっています。 いっぽう、Bob Burchill は曲調によって微妙に表情を変えてくるあたりは器用なシンガーという印象です。
 概ね、ミディアムでスワンプ色があったりカントリー色が強かったりという曲が半数以上を占めるのですが、そんなテイストのなかでは異色の「Eagle On The Wind」が出色の傑作となっています。 風の音のようなエフェクト、モダンなエレピ、センスあふれるフルート・ソロ、癒し系のコーラス、ふんわりしたギター・ソロ、といった要素を盛り込みながらも、どことなく幽玄でアシッド感すら感じさせる至福の時間。 そういった 6分の大作がここにあります。 この曲が描き出す風景は、アルバムの他の曲とは一線を画す孤高のものといえるでしょう。 
 B 面冒頭の「Different Ways」は、美しいアコギの音色に導かれた 2分半にも満たない小曲ですが、ここには森林浴をしているかのような凛とした空気感が伝わってくるようです。 この曲は、あたかも初期の James Taylor を聴いているかのような錯覚を覚えてしまいます。 ラストの「Rhythm Of Our Singing」もペダル・スティールが広がりを与えてくれる名曲。 ラストにふさわしい内容となっています。
 
 このアルバムには歌詞付のレコード袋がついており、詩の内容を目で追いながら聴くことができるのですが、1曲目の「Whistle Down the Road」がこの歌詞カードでは、「Trip To Paradise」となっています。 こうしたミスはよくあることですが、どちらのフレーズも歌詞には含まれていません。 個人的には「Trip To Paradise」のほうが曲調には似合うような気がしますね。

 さて、話は変わりますが、ジャケットの Bob Burchill はまるで帽子を外した「警部マクロード」みたいですよね。 と言われても若い人にはわからないと思いますが、「警部マクロード」を演じていたデニス・ウィーバーにそっくりだと思います。 デニス・ウィーバーで検索してみたら、今年 2月に 81歳で亡くなったそうです。 あのスピルバーグの「激突」での彼の名演をまた見たくなりました。
 いっぽう Bob Burchill は最初にも書きましたが、今も現役で活動しており、最新アルバム(なんと 19曲入り!)を今年の 7月にリリースしたばかりのようです。 公式サイトに載っている心優しそうな彼の姿を見ると、なんだか嬉しくなってしまいますね。

 

■Bob Burchill and Perth County Apple Jack / Will I Ever Get To Heaven■

Side-1
Whistle Down the Road
To Be One With You
Running Away
She Keeps Me Satisfied
Eagle On The Wind

Side-2
Different Ways
Will I Ever Get To Heaven
Drunk In The City,
Stormtime,
Rhythm Of Our Singing

The poem in "Stormtime" is written by Milton Acorn

All Compositions by Bob Burchill

Bob Burchill ; vocals , acoustic guitar , harp , mandoline ,fiddle
David Woodhead ; electric bass , keyboard , electric & acoustic guitar , vocals
Jerome Jarvis ; drums , percussion , vocals , effects
Brian Lee Griffith ; electric guitar
Kim Deshamps ; dobro
Richard Hutt ; flute , vocals
Doug Biggs; pedal steel
Birchettes ; vocals on ‘She Keeps Me Satisfied’

Recorded and Mixed at Track Four Studios ,
Radio Waterloo , Ontario , Canada June-July 1977

Produced by Bob Burchill,
Associate Producers : David Woodhead, Jerome Jarvis

A Will o’Wind Production
WOW 001