聴くネタバレ映画・ドラマと英語日記

~元MC苅田三貴が見た映画やドラマを私情バンバンはさんでご紹介♪

邦画では類を見ない、水中・海上撮影

2011-08-30 22:14:15 | 邦画ヒューマン
昨年の映画界を一言で表すなら
間違いなく″3D″


そしてその″3D″の歴史に名を刻むことになった
初めての邦画3D作品を
見ない訳にはいきません


という訳で見た1作目は…



その甲斐あって2作目は期待以上の内容でした



LIMIT OF LOVE 海猿



本当に最近はTV局とタイアップした
スケールの大きい作品がヒットしますよね



踊る大捜査線シリーズにも携わった
フジテレビなどはまさに21世紀メジャーとして成功していますよね


1作目の後、連ドラをはさんで
06年羽住 英一郎監督が2度目の映画化





潜水士として成長した仙崎 大輔(伊藤 英明)は
吉岡 哲也(佐藤 隆太)らと共に
鹿児島県、機動救難隊に所属。


伊藤 環菜(加藤 あい)との
交際も順調に重ね、
結婚を目前に控えたある日。


環菜はデザイナーなので
ウェディングドレスを自分で作って、
大輔に見せにやって来ます


ところが反応はいまひとつで
"結婚を延期したい"とまで言われ
落胆して帰る事に。



その帰る手段となったフェリーが座礁し、
大輔たちが出動



彼女は早めにフェリーから抜け出せたのですが、
想像以上に水が浸食し、火災も発生。


そして大輔、吉岡、
居合わせた本間 恵(大塚 寧々)と
海老原 真一(吹越 満)は閉じ込められてしまいます



だ、だいすけく~~ん
こんな別れ方は嫌


絶体絶命のピンチが訪れた大輔は
果たして危機を乗り越え、
再び環菜と会えるのでしょうか


2006年、興業収入第2位のヒューマン&ラブストーリーです


















1箇所以外は良かったね~


それはプロポーズのシーン

いくらなんでも長すぎるっしょ


あんな人の命がかかっている中で
ちんたら語っていたら、どんなに嬉しくても
「早く、いけ~~」って私なら言っちゃうね、はは



それ以外は緊迫感があって面白かったと思いますが


何と言っても伊藤 英明さんの
"痛い現実を憂える顔"


男・グータン・ヌーボだったかな。
以前、インタビューを見たんだけど、
彼は本当に熱い人。

熱いからこそ、世の中に対して
"どうなの"と思う事が沢山ある。

けれど、そう思っても現実は
自分の力じゃどうにもならない事も沢山…




それを嘆く時、憂える時、
人は"哀愁のあるイイ顔"をしているの感じるです


伊藤さんはその顔がとても素敵
個人的に思います


だからあんなに絶体絶命でも
きっと人を見捨てないだろうと信じられる。


ビジュアルだけでなく、格好良い役者さんですね






ところでこの海猿シリーズ、
次の3作目THE LAST MESSEGE 海猿
完結するというお話でしたが、
実写(邦画)で興行収入NO.1となり、好評だったので
(ちなみに邦画の1位は借りぐらしのアリエッティ
4作目の制作が決定


タイトルは「BRAVE HEARTS 海猿」
来年の7月に公開予定だそうですよ



その前に私は3作目を鑑賞しないとね
期待し過ぎると
残念な結果になってしまうので、ほどほどにねっ

女の幸せはそんなもの

2011-08-26 20:16:00 | 邦画ラブストーリー、ラブコメ
彼の1番の代表作である浮雲(55)を見て
あれ~全然面白さが解らない…となり
もしかして
監督の作品は好みではないのかしら…




と思ったのも束の間。
この作品を鑑賞したら、払拭されました



めし



松竹時代「小津は2人要らない」と
不遇の時を過ごした成瀬 巳喜男監督の
フリーになってからの51年の作品。


どんなに社会進出しようと
″女″は″女″なんだなぁと感じました






周囲の反対をよそに結婚して5年、
東京から大阪に移って年の過ごした
岡本 三千代(原 節子)


顔を見れば「めしは?」という
初之輔(上原 謙)に
夢も希望もなくなり、倦怠期を迎えます


ちょうどそんな時
初之輔の姪村田 里子(島崎 雪子)が家出してきて
自由奔放にふるまうのです。


こちらは洗濯、掃除、ご飯支度で
毎日あくせくし、
ねぎらいの言葉1つかけてもらえないのに
彼はずい分彼女に優しくし…



ついに何かが切れて、東京の実家に帰る事に
この夫婦は大丈夫




当時人気絶頂だった2人を主役に迎え
のちに″女性映画の名手″と言われるきっかけともなった作品です










51年の作品なので、ちょうど今から60年前。

こんなお手伝いさんみたいな生活、
私も含め、今の人達は耐えられないと思うと同時に
根本は変わらないのだなぁという驚きもありました



それはやっぱり″女としての幸せ






長い結婚生活の中で
″このままでいいのか″と不安になったり
″別れたい″と嫌になったり
多かれ少なかれ、
後悔したことのない女性なんていないんじゃないかなぁ。


特に女性は″結婚″出産"で
大きく人生が変わりますからね。



三千代の様に
今で言う"専業主婦"だと尚更むなしさを覚えるかもしれません。



けれどそこで別れても結局は一緒。


人に何かを求めて満足できない人は
どこに行っても何かのせいにしてしまう。



社会では理不尽なことが一杯ある中
"家族"間の問題は
大切なものを守るためのものだから、ずっとずっと建設的だと思う



そういう事を踏まえて
三千代の最後の台詞
「女の幸せはそんなものかもしれない」


私は賛成です




ただし世論では賛否両論あるようで…






そもそもこの映画の原作は林 扶美子さんなんですが
彼女はこの小説を朝日新聞に連載している途中で
亡くなってしまったんです


つまり結末は成瀬監督が考えたもので
ファンからは
「この夫婦は別れるべきだった」
な~んていう意見もあるそう


こんな事で別れたら
結婚生活なんて続けられなさそうと
私は思いますけどね~



それともこれは男性が望む女性像なのでしょうか

さて、あなたはどう思いますか?
女の幸せはそんなもの

煙突が象徴する奥深さ

2011-08-20 21:17:20 | 邦画ヒューマン
この映画を見たら
無性に″たい焼き″が食べたくなって
あんことチーズのたっぷり詰まったものを買いに行き、
幸せな気持ちで食した


だ~って~~、この時代のはペラッペラッなんだもん


「東京物語」とあわせて
当時の庶民の生活を知る貴重な文化財とも言える


煙突の見える場所



監督は日本で初めて
音の出る=トーキー作品「マダムと女房(31)」を撮った
五所 平之助さん。


これだけ昔の監督だと
感覚が全然違うのかと思いきやそんな事ない


大御所に対して失礼だけど
"お茶目"と思いながら、くすくす笑わせて頂きました





戦後間もない昭和。
場所によって本数が変わって見える
通称"お化け煙突"が立つ東京・北千住。


この煙突が見える場所に
緒方 隆吉(上原 謙)は
弘子(田中 絹代)と暮らしています。


そして2階には
商店街でアナウンスをしている
現代的な東 仙子(高峰 秀子)と
役所に勤める久保 健三(芥川 比呂志)が下宿。


昔ながらのはり紙だらけのふすまで仕切られているので
物音は相当聞こえるし
よく顔は会せるけど
それなりに別々の生活を送っていました


そんなある日、大きな変化が



緒方夫妻の部屋に覚えのない
赤ん坊が置き去りにされていたのです


よくよく調べると
弘子は別の人とも結婚していて
戸籍上、この子は彼女の子供らしいのですが…




"人は見た目だけじゃ判らない"


昭和39年まで本当にあった"お化け煙突"を通して
人間の奥深さを描いたヒューマンドラマです














最初に"たい焼き"のお話を書きましたが
映画に出てきたのは
現代の私たちが想像するのとは大幅に違い
ほんと~~ぅにペラペラ


きっと"あんこ"なんて入っていなくて
魚の形をした皮だけなんじゃない




「たかが、たい焼きでそんなに語らなくても…」と思うかもしれませんが
実はこの違いこそが象徴で
ふすま、下宿、洋服掛けなど
細かい部分で、当時の様子をうかがい知る事ができます




弘子が重婚していたというのもそうだよね~。
彼女はちゃんと隆吉とも結婚していたけど
別の人とも結婚しているままだった


今ならすぐに判るだろうけど
戦後の混乱期だからこそ
起こり得た事でしょう。

きっと混迷していたんだろうなぁ




そしてこの映画を語る時
外せないのが高峰 秀子さん演じる
仙子という現代的女性。


仙子が帰ってきて、2階に上がろうとした時、
緒方夫妻が…



この時、見られた2人の方がドキマギして
仙子はじ~っと見ていたんです。


まあ今だったらそんなに驚くようなリアクションじゃないけど
当時の女性たちは
相当びっくりしたようですよ

弘子の様に恥じらうのが普通でしたからね。
"新しいタイプの女性"が登場したのです





とまあ、この映画の最大の魅力は
「当時を知る事ができる」所だと思います。


当然、映画は色々な世代の人が
色々な気持ちで
色々な目的を持って見るものでしょう


正解はないけど、
この映画は何となく見ても
つまらないものになってしまうような気がします。
ご覧になる方は、是非、今と比べて楽しんでください
豪華な"たい焼き"を食べられる現代に感謝するはずです



ちなみにラストシーン。

場所によって1本、2本、3本と違って見える
立派な4本の煙突は、
水に映っている姿はゆ~ら、ゆら。

人間って案外そんなものかもしれませんね

Dr.HOUSE シーズン4

2011-08-17 16:44:59 | 洋画ヒューマン
ただでさえ、″毒舌″で″性格が悪い″
主人公のドラマ

その上このシーズンは
互いに足を引っ張り合いながら、他人を蹴落としていく

そ~んな内容のシーズンが過去最高の視聴率を
記録したっていうんだから、みなさん性格悪いですわね~




Dr.HOUSE 4TH SEASON


あ、もちろんその筆頭が私なんですけどね

個性的なキャラクターを見事に演じている
ヒュー・ローリーはもちろん
作品も第60回(2008年)エミー賞にノミネートされました


前シーズン、3人の部下に去られてしまった
偏屈な医者グレゴリー・ハウスヒュー・ローリー

最初はチームなど要らないと
1人で難しい病気を解明しようとしていましたが
医院長のリサ・カディ(リサ・エデルシュタイン)に説得され
部下を雇う事にします

通常なら面接などで決めるのでしょうが
そこは一筋縄ではいなかいハウス

病気を解明する行為自体を選考試験とし、
40人をふるいにかけるのです

中には、「ハウスの車を洗え」な~んていう
医療とは全く関係のない課題もあるのですが、そこは天才として有名な彼。

何としても彼と働きたいと希望者が沢山いるのです

手段を選ばない″非情な女″(アン・デュデック)
ミステリアスな部分が多い″13番″(オリヴィア・ワイルド)
元形成外科医のクリス・タウブ(ピーター・ジェイコブソン)
モルモン教徒のジェフリー・コール(エディ・ガテキ)
そして、″9番″だと言い張り残った″6番″(カル・ペン)など…


果たして誰がこのサバイバルに勝ち残れるのでしょうか
また今シーズンはどんな患者が担ぎ込まれるの



このドラマは″医療ミステリー″

まあ本来そんなジャンルはないんだけど新しいドラマですからね。


という訳で、最大の魅力は謎解き

のはずなんだけど…


むしろ人気の理由は、各々の登場人物ですねっ


だってさ、冷静に考えると
本当のお医者さんじゃない限り、
次々に表れる症状を分析しても、病気なんて判らない

通常のミステリーなら
犯人はあの人か
いやあの人かもしれない
自分も一緒に謎解きできるけど、これは無理

だからその緊迫感みたいなのは楽しめるけど
ミステリーを見ている感じではない気がしてきました

カディ、ウィルソン、そしてめでたく残った部下たちの感情に
心動かされているのです

何気ない一言が心に突き刺さる大人ドラマ


特に、部下に去られてしまったハウス

痛々しすぎるっ
どうしてそんなに頑ななんだよ~~
本当は結構いい奴なのにさ。


と、すっかり彼の味方をしているので、私も製作者の思うツボ

もし身近にこんなに不器用な人がいたら
ちょっと好きになっちゃうかも
ん~、もっともっと彼の事が知りたいわ

次のシーズンはウィルソンにまで見捨てられそうだし…


ところでこのシーズンは
部下のポジションを狙って戦うので
エピソードを追うにつれ、脱落する人が出てきます。

あの人が残る?
いやあの人かな?とか
この辺りも大きなミステリーになっていて、ダブルミステリー

せっかくなので、予想しながら見るとより楽しめると思います
ちなみに私は1人しか当たりませんでしたけど

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人はみんな中の下

2011-08-14 23:42:39 | 邦画ヒューマン
20代半ばでこ~んな作品を作り出すなんて
今後がとっても楽しみだわ~


一度見始めたらぐいぐい世界に引き込まれ
若干寝不足覚悟で、夢中になりました



川の底からこんにちは


現在27歳の石井 裕也監督の商業映画デビュー作でありながら
今年度のキネマ旬報ベスト・テンの5位に選出



今私が一押しの女優満島 ひかりさんと
この映画をきっかけに結婚しています






とあるおもちゃ会社の派遣OL
木村 佐和子(満島 ひかり)の口癖は
「しょうがない」


高校卒業と同時に上京し
捨てられた男の数、5人。
辞めた会社、5社


今付き合っている彼氏新井 健一(遠藤 雅)も
バツイチ、子持ちの上司で
特に大好きという訳でもなく
妥協だらけの人生を送っています



そんな彼女のもとに
"しじみ工場"を経営する父が倒れ、
余命わずかだとの連絡が

1人娘の彼女は否応なく
後継ぎしなければならず…



特に夢も希望もない私は人生″中の下″
でも、いや、だからこそ頑張らなくてどうする



見終わったら何だか元気になれる
若き本格派映画監督石井 裕也が送るヒューマン・コメディです


















すごいね。
すごすぎるね


いえいえ確かにそうなんですよ。
「人はみんな中の下。」


テレビや映画の中で描かれるHAPPYは
そうそう起こるものではなく
ほとんどが大変で平凡な毎日。

そんな毎日の中にささやかな幸せを感じて生きている。




でもさ、そんな事、
25歳で伝えられるほど大人でした
大人ですか



少なくとも私は、20代前半は
何を勘違いしていたのか
上の人生だと思っていた


今だって若干、中の上くらいだと思っているもん
お目出度い奴、はは。





実はこの″中の下″なんだって認識する事こそ
スタートなのかもしれない


何者でもない自分。



それをちゃんと受けとめられたら
″努力する″しか″頑張る″しかないんだって
主人公の佐和子の様に気付ける


もしかしたら今の若者の代表であるからこそ
現代の問題を見事に描き出せたのかもしれないけど
こんなリアルな問題を
前向きなメッセージとして送り出した監督には頭が下がります


細かい笑いも一杯あったし


改めて思い出そうとすると
取るに足らない事のような気もするんだけど
全編にわたって、″あは″的な笑いをしていたと思う



特に叔父さんはイイキャラでしたね~



「時効警察」などでもお馴染みの
若松 了さんが演じていたんだけど
酔うと、ただのエロオヤジ

″細かい所は気にしない″と言うけど
気にしなさすぎ


独特の空気感で満島さんとのやり取りは
心がとっても和みました。



と言う訳で久しぶりに
かなり期待値の高い監督登場


最新作「あぜ道のダンディ」は東京から順次公開され
北海道では今月27日からシアターキノで公開


久しぶりにキノにも行こうかな

ユエン・ウーピンが手掛けるワイヤーアクション

2011-08-09 20:56:50 | 洋画クライムアクション・バイオレンス
それまで中国映画を見た事がなかった私は
この作品を初めて見た時、

″中国映画も面白いんだ~″と
(正確には中国・香港・台湾・アメリカの合作)
非常に興奮したのを覚えています。


しかもこの2000年度アカデミー賞作品賞にノミネートされた作品は
どれも面白かった





グリーン・デスティニー


作品賞の受賞は逃したものの
最優秀外国語映画賞をなど4部門受賞しています



1回目に見た時より評価が下がったのは
たぶん、年齢のせい


この映画の見所は
″ワイヤーアクション″と″ラブロマンス″だけど
ロマンスの方に食指が動かされなかった。
残念






剣の名手たちが群雄割拠する時代
その1人であるリー・ムーバイ(チョウ・ユンファ)は
400年前に作られ、太古のパワーに満ちた
″グリーン・デスティニー″の使い手として
名をとどろかせていました。


しかし争いが絶えない事を憂慮し、
自分は剣を置く決意を。


分身ともいえる″グリーン・デスティニー″
女弟子のユー・シューリン(ミシェル・ヨー)に頼んで
2人を昔から知るティエ氏(ラン・シャン)に託します。


剣は無事にティエ氏に渡ったものの
その夜何者かに盗まれ…



シューリンはその賊がティエ邸で会った
貴族の娘イェン(チャン・ツィイー)ではないかと
彼女を訪れるのですが



アクション監督に「マトリックス」「キル・ビル」の
ユエン・ウーピンを迎えて
運命にほんろうされる男女4人を描いたアクションです












今でこそここまでのワイヤーアクションでも
そんなに驚かなくなったけど
やっぱり目を見張るものがありますよね~


ワイヤーでつるされていたって
あそこまでのアクションを披露してくれたらお見事と言う他ないでしょう



時代劇などで
侍の戦のシーンも相当見応えがあるけど
それとはまた違った迫力があって
″流石、中国4000年の歴史よね~″と
感心してしまいました



ちなみにこの武術指導にあたっているのが
中国人のユエン・ウーピン


「マトリックス」や「キル・ビル」の他に
「SPRIT」「ドラゴン・キングダム」などにも携わっているそう。



監督や俳優で映画を追う事はあっても
″アクション監督″でというのはなかなかありませんよね。

たまにはそんな見方をしてみるのも面白いかもしれません




「マトリックス」の続編を見に行った時、
1作目の内容があやふやでよく解らなくて
″続けて見たい″とちょうど揃えてあるんですよね~


彼が武術指導しているのを頭に置きながら
見てみる事にしましょう

恋愛なのにこんなに負のエネルギー!?

2011-08-08 19:17:52 | 邦画ラブストーリー、ラブコメ
映画史に残る名作と言われる作品を
″解らない″というのは非常に勇気のいる事です。


往々にして
「知識不足」が原因だったりするから


それでも書いちゃう
現代っ子の私にはちょっと理解できない恋愛



浮雲


昭和を代表する名匠成瀬 巳喜男監督の
55年の作品。


ずるずるとダメになる男女関係を描くものは数あれど
″堕ちる″とは
まさにこんな関係なんだろうなぁと感じました




戦争中の1943年。
フランス占領下のインドシナにタイピストとして渡った
幸田 ゆき子(高峰 秀子)は
同じく農林省で働く
富岡 兼吾(森 雅之)と恋に落ちます


ところが富岡は妻の居る身。

離婚するとは口ばかりで
戦争が終わって日本に戻ると
別れる気配がありません…


失意のゆき子は彼と別れ、
アメリカ兵の情婦になるのですが、再び会い…



成り行き任せの無気力に生きる男と
そんな男に翻ろうされる女を
昭和を代表する高峰と森が見事に演じたラブ・ストーリーです











正確に表現するなら、
″解らない″というより、″好きじゃない″、
″この作品が″というより、″こういう人達が″
なのかな



そりゃ私も人様を批判できるほど
立派な人間じゃないし、
いつも一生懸命な訳じゃない。


でもさ、こんなにダメダメで
最後はあまりに救いようがなくて
いいの?
これでいいの


この作品を素晴らしいと言っている方は
″こんなものだ″と納得されているのかしら


少なくとも私はもっと希望があると信じたい



ずっとだらだらしていたけど
最後はハッピーエンドになるとか、
ずっと幸せだったけど
どんでん返しが待っているとか。

じゃないと″恋愛映画″の気がしない


だってさ、そもそも
″人を想う″って素敵な事じゃありませんか


血の繋がりもない、そもそもの他人が
誰かの為に何かしたいというエネルギーって
周りをも明るくするものだと思う。


それがこんな全編に渡って
負のエネルギーが流れているなんて…


私は嫌っ


それともやっぱり当時とは違う、
戦争もない、自由恋愛(死語)の時代だから
そう感じるんだろうか。

是非とも若い人の感想を知りたいものです



あ、それでもこんな気分にさせた
高峰さんと森さんは
流石、名を残した名優ですね

どっちでもいいか!

2011-08-05 12:26:29 | 洋画SF・アドベンチャー、ファンタジー
クリストファー・ノーラン監督といえば
ダークナイト(08)が有名ですが、
個人的には2000年の「メメント」


もうすでに10年以上前に見に行ったので
細かい部分は忘れましたが
すごく興奮した事だけは覚えています


そして、こちらも見終えた後は、すごい高揚感


インセプション


今年のアカデミー賞で数々受賞し、
渡辺 謙さんが出演していることでも
話題になりましたね


今年ノミネートされた10作品中
受賞した「英国王のスピーチ」も含めて6作品見ましたが
個人的には今の所1番好き






ドム・コブ(レオナルド・ディカプリオ)は
人の夢の中に入り込み、
情報を盗み出す企業スパイ


長い間、夢=非現実の世界にいるうち
深みにはまり
現実に戻る道を閉ざされてしまいます。


何とか子供たちの待っている世界に帰りたいという
思いを募らせている中、
チャンスが舞い込んできます。


それは謎の有力日本人サイトー(渡辺 謙)からの仕事。


通常、コブの仕事は"抜き取る"作業。
その反対で情報を植え付ける作業="インセプション"を
敵に行って欲しいというのです



果たして、彼はアリアドネエレン・ペイジ)などの
強力メンバーと共にインセプションできるのでしょうか

また死んだ妻マローリー"=モル"(マリオン・コルティヤール)の影がちらつく中
現実へと戻れるのでしょうか















久しぶりに"映画を見た~~"という気になりました。


最初頭の中に???が一杯並んで
ついていくのに必死だったけど
1時間くらい経ってから
次々に色んな事がつながり、一気に面白さが加速



この爽快感こそ、映画の醍醐味



ここでネタばれ警報

これから見ようといている人は、絶対読まない方がいい
書いていてなんだけど












最後まで見て、ストーリーが一本の線につながり
非常にスッキリしたんだけど
1つだけ判らない事が。それは


"結局、コブは現実の世界に戻れたのか"



夢と現実を行ったり来たりする彼らにとって
大切な指標となるのが"駒"


これがいつまでもくるくる回り続けていれば夢。
いつかバランスを崩し、止まれば現実。


という事が物語の中で解説されているんだけど
ラストは、コブが子供たちのもとに向かい
駒が倒れるのか、倒れないのか
判断の付かないシーンで終わっているのです




当然、「え~どっち~~」と気になり
ネットなどで調べたのですが…




どっちでもいいか



というか、
これこそこの映画の肝なんじゃないかという気がしたのです


娘の靴の色が黒から赤になっているなど
現実に戻ったであろうと思われる材料はあるのですが
逆に戻っていたのなら何
あはは。


ちょっと乱暴な言い方だけど
現実=ハッピーエンドなのか



実は生きているって夢と現実を行き来していて
何が"リアル"なのか
本当は誰にも判らないんじゃないかな


自分の信じたものだけ"リアル"
自分にとっては"現実"だった事が
他人にとっては"虚構"だったなんて事よくある話。

特に男女関係は多いよね~


だから思ったのです、戻れても戻れていなくても
大して重要ではない。

大切なのは目の前にあるものを信じて
一生懸命向き合う事。


さて、あなたの今いる世界は自信を持って現実だと言えますか

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戦闘シーンのない反戦映画

2011-08-04 12:21:55 | 邦画ヒューマン
同郷というだけでなんだか親近感ってわくもの。
日本を代表する大女優、故高峰 秀子さんも
北海道出身なんですね~


昨年の暮れに亡くなった彼女を偲ぶため
少し前NHKで特集を組んでいて知ったエピソード。


当時30歳だった彼女が初老を演じるにあたって
手を縛って
おばあちゃんのしわくちゃの手に見せたんですって



二十四の瞳


日本で初めてカラー映画を撮った事でも知られる
名監督木下 恵介さんの作品ですが
この作られた″54年″は「七人の侍」「ゴジラ」なども生まれた年で
語り継がれる映画が多い、重要な年ですよね


そんな数々の作品の中、見事キネマ旬報ベスト・テンで1位に





昭和3年、瀬戸内海の小豆島の分教場に
大石先生(高峰 秀子)が赴任してきます。


時代が時代ですから
洋服で自転車通勤する姿は島の人の注目の的


それでも新米教師なりに
12人の生徒たちと真摯に向き合い
信頼関係を築いていきます。



そんな関係を壊していくのが
貧しさや戦争…


家の事をやる必要に駆られ、学校に通えなくなる子、
成長して戦争に行く子、
戦争から戻って障がいを持ってしまった子…



高峰 秀子さん演じる新米から初老の大石先生を通して
美しい自然とは対照的に
時代の波に逆らえない悲劇を描いた反戦映画です














作られたのが終戦から9年。
それまでは生きていくのが精一杯で
飢餓の時代が続いていた。

そしてこの頃、
10年近く経って
ようやく「戦争は辛かったね」と語り合う余裕が生まれた。


それまでは考えたくもない渦中にいたという事ですよね。


その余裕ができた時にこの内容。



つまり木下監督は時代をタイムリーに切り取り、
見事ヒットさせ
当時の劇場には相当人が入ったんだそうですよ




こういう背景を知ると
何故評価されているのか判りますよね。
必ずしも面白いからだけではない。


その時代に生きていないと解らない事って多いと思うけど
"戦争"は代表例ですよね。


推し測るのはできるけど
やっぱり体験した人としていない人では思いが全然違うでしょう。




だから、あくまで"体験していない"、私の感想です。




個人的に好きだなぁと思ったのは
大石先生と子供たちが汽車ポッポで遊んでいるシーン


何も知らない子供たちと
まだこれからあんな悲劇が待っているなんて思わない大石先生が
純粋に、素直に時間を楽しんでいる。


なんてことない遊びなのに
心が温かくなり、見ていて幸せになったのです



白黒なので今の映画やドラマと比べると
美しさが判らないはずなのに
素晴らしく美しい景色


後で切ないシーンが出てくる度に
この幸せな映像が蘇ります



ちなみにこの映画は
昭和3年から終戦後の45年を描いていますが
戦闘シーンは出てきません。


それでも大石先生が海辺で
生徒たちと将来を話して

「軍人よりも漁師さんやお米屋さんが好き」と言っています。


とてもさりげない一言だけど
もしこれが戦争中なら大変な事ですよね。


戦争が終わって10年経ったからこその台詞。


当時大人の女性ならみんな心で思っていたでしょう。
自分の愛する人や子を
死なせたい人なんていませんもんね。


ただし同じ″反戦″でも
たった10年では傷が癒せるわけもなく
″戦闘シーン″を見るには早かったのかも


そんな人々の気持ちを丁寧にくみ取り
1人の女性を通して訴えたからこそ、共感を得たんでしょうね。


″戦闘シーンのない反戦映画″として
今でも語り継がれる理由です

Dr.HOUSE 3RD SEASON

2011-08-03 15:02:39 | 洋画クライムサスペンス・ミステリー
そりゃそうだ
これだけ性格が悪かったら、
敵はい~~っぱいいる

いない方が不思議


という訳で今シーズンは
その敵が現れ、大いに暴れ、盛り上げてくれました





Dr.HOUSE 3RD SEASON



その必要不可欠なキャラを演じたのは
12モンキーズハート・ロッカーにも出演していた
デヴィット・モース


嫌な奴~~~でお見事

06~07年にかけて全24話O.A.されました




前シーズンで患者に撃たれた
医者グレゴリー・ハウスヒュー・ローリー



その時の手術をきっかけに
杖を手放したのも束の間。
再び鎮痛薬であるバイコディンに手を出し…

薬物中毒者として捕まってしまうのです



というのも、ハウスは相変わらず口が悪く
横柄な立場で患者を怒らせてしまったから

その患者マイケル・トリッター(デヴィット・モース)は
刑事だったのです



態度を改めさせようとしたのですが、
一向に反省する様子がなかったので、彼は強硬手段に


親友であり、同僚のジェームズ・ウィルソン(ロバート・ショーン・レナード)や
院長のリサ・カディ(リサ・エデルシュタイン)にも
圧力をかけ始めたのです



そんな逆境もなんのその。
エリック・フォアマン(オマー・エップス)、
アリソン・キャメロン(ジェニファー・モリソン)、
ロバート・チェイス(ジェシー・スペンサー)をののしりながら
原因不明の患者を治療していきます









最初にも書いたけど
今回は明らかな″敵″が登場して
ぐっと面白くなったよね~



身内ならともかく赤の他人で
こ~んなに嫌な態度をとられたら
復讐する人が出てきてもおかしくない
(まあ私なら関わらないけど)


しかも刑事だっていうんだから、ネタは膨らみますよね~~


ハウスも引けばいいのに
逆に刃向うしね、ガキッ




そうそう#23″悪ガキ″では
タイトル通り、悪ガキが登場して
ハウスとの毒舌対決も見ものでした




そしていつも正論を押し付けるキャメロンが
今回も痛い所をついていた。



刑事との対立の中で
″反省してリハビリすれば起訴はしない″と
取り引きを持ちかけられた。
ハウスはもちろん断ったので
他の人達にも。


その時結局ウィルソンが応じるんだけど
彼女は″自分の為では?″と。



う~~~ん、難しい



確かにハウスの為にやった事ではあるけど
″自分の為″が0%とは言えないでしょう。

でも果たしてそれがいけない事なのか


人は″自分″と″他人″両方の為に生きていて
時として″自分″を優先させることもあるはず。


ウィルソンを責められる人はいないんじゃないかな。
もちろん他の人がかばった行為についても






#20″救えない命″は個人的なベスト・エピ


いつもなら難しい病気を解明していくチーム。
ところが、なんてことない病気で
患者を死なせてしまったフォアマンに


「普通の医者なら、こんなミスは人生で1度か、2度。
 でも俺たちは普通の医者が治せない病気を治せる分、
 こんな事も起こり得るんだ。」



これこそ、このDr.HOUSEというドラマを言い得て妙

好きか嫌いか、
見るのか、見ないのか、
そして医者選びだって自分の責任なんです



さて、このシーズンでハウスの部下は
み~んな居なくなってしまいましたが…
どうするハウス