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宮部みゆき「地下街の雨」

2010年04月27日 | ま行の作家
「地下街の雨」
社内結婚予定の相手に挙式2週間前に裏切られ退社を余儀なくされた麻子に近づくバイト先の喫茶店の客・曜子
安堵の結末ですが、曜子の正体がわかるまでハラハラドキドキしました

ずっと地下街にいると雨が降りだしても、ずっと降っていても全然気付かない
それが、ある時、なんの気なしに隣の人を見てみると濡れた傘を持っている
あぁ、雨なんだな、ってその時初めてわかるの
それまでは地上はいいお天気に決まってるって思い込んでいる
あたしの頭の上に雨が降ってるわけがない、なんてね
おめでたいわね
裏切られた時の気分とよく似てるわ



「決して見えない」
雨の深夜
自宅に戻るためタクシーを待つ悦郎に話しかけてきた老人
ホラーです
それもじんわりやってくる恐怖



「不文律」
車ごと海へダイビング、一家無理心中
一家の周辺の人間の証言
最初のうちは一家に好意的な証言が続くが次第に明らかになる真実
一家と周辺との本当の人間関係
これも怖いです
日頃事件報道などを見ていると、まさにこれ、この通り



「混線」
深夜のイタズラ電話魔へのお仕置き
それにしても怖すぎます
受話器を取るのに躊躇してしまいます



「勝ち逃げ」
生涯独身を通した伯母が亡くなった
生きている間は、独りで寂しいだろう、何が楽しいのだろう、など親戚中に陰口を叩かれていた伯母
意外や意外、たくさんの人に尊敬され、いい仕事をし、価値のある人生を送っていた
そして成就しなかったけれど恋もしていた
ちょっと軽いミステリー


「ムクロバラ」
正当防衛なのだが殺人を犯してしまい精神に異常をきたした橋場
橋場は自分の事件を担当したデカ長の元を訪れては「ほら、またムクロバラが殺人事件を起こしましたよ」と新聞記事の切り抜きを見せる
新聞記事に載っている犯人の名前はムクロバラではない
しかし橋場にはムクロバラと読めるらしい
ある日、橋場にムクロバラの似顔絵を描かせてみたのだが…



「さよなら、キリハラさん」
いつも大声で会話をする一家
家の中のあちこちから聞こえる家電品の音
テレビ、ラジオ、コンポ
ところがある日突然、家の中から音が消える
自分の声も聞こえない
家の中だけで玄関から出ればいつもの通り
突然ひとりの男が家の中に現れる

私は元老院直属の音波管理委員会の太陽系第三支部から派遣されて来た者です、音波Gメンとでも申しましょうか

SFファンタジーとは珍しい
ところがSFファンタジーでは終らないんですよ



短編ながら宮部みゆきさんらしく楽しませてくれる作品ばかりでした

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