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池澤夏樹「マリコ/マリキータ」

2009年10月15日 | あ行の作家

「マリコ/マリキータ」
太平洋の真ん中にある離島、ククルイリック島の宗教儀式の調査研究の目的でグアム島を訪れた木崎
観光客相手のレンタルジェットスキーのアルバイトで生活している日本人女性マリコに出会う
調査が終了し、日本へ戻った木崎は一年後マリコに会うため再びグアムへ飛ぶ
マリコって女性がいいんですね
自然体で、どこで暮らそうが(日本以外)その場所に自分を順応させて暮らしていける

日本人てのは海外旅行の際『日本流』を要求しがち
結局、日本でしか生活できない人が殆どなんですね

「梯子の森と滑空する兄」
親同士の再婚で法律上の兄弟となった年の離れた兄との関わりを描いたもの
どこでどんな暮らしをしているのか全く分からない兄からは、時々思い出したように食事の誘いがある
兄の生き方は譬えれば、梯子から梯子へ滑空する、といえる

「アップリンク」
琉球諸島のどこか離島が舞台でしょうか
気象観測機器の点検に島を訪れた技術者と島の女性との一夜
自分はこの女性を知っていた
自分達は自分ではない、何か大きなものに動かされているのだ
未知のものに対し素直に従う精神の柔軟性、おおらかさ
読みようによってはただのアバンチュールになってしまうでしょうね

「冒険」
伊豆諸島の離島で暮らす義姉が幼い子供を連れて行方不明になってしまった
遠く南アフリカ・ケープタウンで遠洋航路線に乗船している兄へ妹からの手紙が届く
手紙の終わりが素敵です

「帰ってきた男」
中近東で偶然発見された遺跡調査に出かけた『僕』と『ピエール』
初対面の時から気が合うと感じた二人は遺跡に呼ばれた人間だったのか
人は全ての意識を共有出来てこそ幸せだと考えるピエール
ある程度同調はできるものの、やはり意見を異にする僕
遺跡に残ることを決めたピエール
日本へ戻ったものの遺跡での体験を話すことを止めた(一切の言葉を発しない)僕
遺跡での二人の体験描写には
池澤さんの懐の大きさを感じます


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