新潮文庫
2007年3月 発行
解説・穂村弘
カトリック系女子校に通う3人の少女
那由多、淑子、翠
性格の異なる3人の視線で描く3つのお話
語られるのは「私」「家族」「学校」「男」
タイトルから連想されたのは皆川博子さんの、戦中~戦後ミッションスクールに通う少女たちと、そこで起きた殺人事件を描いた「倒立する塔の殺人」
本書では実際に殺人事件は起こりませんが、死へと追い詰められるほどの苦しみが描かれています
時代背景も違います
色々な意味で現代の女子高生のほうが痛みに直面させられる場面が多いのだと感じました
那由多による「洪水のあとに」
淑子による「地下を照らす光」
翠による「廃園の花守りは唄う」
多感な年齢の彼女たちの悩みと危うさ、そして強靭さ
自分がその年代だった頃、それほどの痛みを経験しただろうか、それほどの強さがあっただろうか
年月が過ぎて忘れてしまった、もしくは記憶を消したのかもしれませんが、少なくとも彼女たちほど強い自我を持ち合わせていなかったのは確かです
いつも同じことを書いていますが
三浦さんの観察力、描写力のおかげで
自分が彼女たちの近くにいるかのようで、彼女たちの見るもの、聞くもの、触るものが全てリアルに伝わってきます
とても柔らかく傷つきやすかった青春時代を思い出しつつ、読み終えれば、何故だかホンワカ優しい気持ちが残る、少し不思議な小説でした
そうそう
那由多と翠は中島敦を読んでいるのです
高校生で楽々と中島敦を読めるなんて、やっぱり感性が違うのかしらん
これ、私も読んだことあります。
しをんさんが、女子だけのお話を書くのは、ちょっと珍しい感じ。でも、やっぱり文才ありますよねー。
私は共学だけだったのですが、こにさんはどうだったのかなー
しをんさんの通っていた女子高って、レベルの高い有名中高一貫校だったみたいですね。
早く花粉が終わってくれないかなぁ~。
しをんさんはどちらかというとBLですものね。
私もずっと公立、共学、娘もそうだったので、私立女子高の実態はサッパリわかりません。(^_^;)
娘の言うには『オソロシイ』らしいですが、それは人それぞれでしょうね~。
しをんさんの出身校については全く知りませんでした。
この小説には実体験も含まれているのかな。