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阿部真大「居場所の社会学 生きづらさを超えて」

2012年06月23日 | 教養・学習本

 

日本経済新聞出版社

2011年8月 1版1刷

2011年10月 2刷

225頁

 

 

給料はきちんと払っているのに従業員がすぐ辞めてしまう

「ワークライフバランス」と言われても、そのバランスがうまくとれない

この国の政治が信じられず、将来の自分の生活が不安だ

家族や恋人との関係がなかなかうまくいかない

思春期の子どものイライラの理由がわからない

 

それは「居場所」の問題です!

 

 

著者は自分自身も居場所の無いことに苦しんだ時期があったそうです

今までの人生で、居場所がない、生きづらい、と全く感じたことがないという人は皆無でしょう

今、そのように強く感じている人、少し感じている人にお薦めです

また、感じていなくても、本書が周囲に目配り、気配りをするきっかけになると思います

 

『居場所に関する12の命題』

 誰かと一緒にいるからといって、居場所があるわけではない

 ひとりでいることはスティグマ化することもある

 居場所の拡張は間違うこともある

 過剰反応はよくない

 まわりとのコンフリクトを解決していくなかで、新しい居場所はできる

 誰といなくても、そこは居場所となりうる

 一定の条件のもとでの「ひとりきり」はスティグマ化しない

 職場のマニュアル化によって「ひとりの居場所」を守ることができる

 居場所はその人にとっての「いのちづな」である

 居場所としての職場は、それが不安定な一か所となったとき、問題化しやすい

 第三の居場所づくりはオルト・エリートの知恵に学ぶことができる

 臨界点の居場所を知ることは安心感につながる

 

・職場と居場所

・社会と居場所

・ジモトと居場所

 

12の命題を3つの居場所に分けてわかりやすく説明しています

 

居場所づくりには

「積極的改善策」がある

居場所はきわめて主観的なもので、その人がそこを居場所と感じているかが重要である

自分にとっての居場所が他人にとっての居場所であるとは限らない

そのため無理に過剰反応したり、強引に押し付けてはならない

居場所づくりには相互受容・変容が求められる

一方「消極的改善策」もある

「ひとりの居場所」をつくること

職場などで無理な適応を繰り返すと生きづらさをこじらせることがある

そんな時は、コミュニケーションからそっと離脱することも必要である

 

居場所は一つに限定されるものではない

「私」は社長・上司・部下・配偶者・親・子・兄弟・先輩などいくつもの役割の顔を持っており、居場所も同様、多層的なものである

 

ものすごい速さで変化していく社会

「あの頃は良かった」とノスタルジーに浸っている場合ではありません

個人個人のちょっとした工夫と協力があれば、新しい社会に対応していく方法も見つかることでしょう

 

 

特別収録の「企業社会vsJポップの30年 阿部真大インタビュー」

社会への反発を歌った懐かしのJポップの歌詞を取り上げてロックやJポップがいかに企業社会と闘ってきたかが語られていますが、それが自分の好きな曲ばかりで、嬉しくなるやら、自分ってそんなに社会に不満があるのかしら、と複雑な気持ちになるやら、可笑しかったです

 

 


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