理論社
2011年4月 初版第1刷
2011年6月 第2刷発行
274頁
語り手
コペル君 14歳
国籍=日本
種=ヒト
中学生の穏やかな日々を綴ったものかと思って読んでいくと、やがて重く深いテーマがあることに気づく
そういう一冊でした
わりと普通の家庭で普通に育ってきたコペル
彼が叔父のノボちゃんと共に登校拒否を続けている友達、ユージンの家を訪ねるところから物語りは始まります
そこにやってきたユージンの従姉ショウコ
ユージンの家の広大な庭に隠れ暮らしているショウコのガールスカウトの先輩、インジャの存在
ユージンやインジャの行動や、彼らが抱える心の傷をどう理解することが出来るのか
先の戦争で徴兵を拒否し山奥の洞窟に隠れていた男性の話
中学生にこそ読んでもらいたい内容です
物事を考えるヒントがいくつも散りばめられています
しかし、小説としては如何なものか
物語自体、数々のエピソードを繋ぎ合わせ収束させてはいるのですがは無理があり雑なように感じます
読み終わって考えたこと
個人と集団
自分は集団に与する人間だと思います
その中で、色々と考えることはしますが、最終的に個人と集団どっちを選ぶか、と迫られれば集団を選ぶでしょう
ただ、個人を選んだ人を拒否することはしないと思います
「やあ。よかったら、ここにおいでよ。気に入ったら、ここが君の席だよ。」と声を掛けられる人間でありたい、と思います
大勢が声を揃えて一つの事を言っているようなとき、少しでも違和感があったら、自分は何に引っ掛かっているのか、意識のライトを当てて明らかにする。自分が、足がかりにすべきはそこだ。自分基準で「自分」をつくっていくんだ。他人の「普通」は、そこには関係ない。
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