角川文庫
2012年7月 初版発行
解説・小川一水
360頁
単行本は1992年に刊行されています
ということは20年前
もし、当時読んで、その時まだ10代だった方がいらっしゃったら是非再読をお薦めしたいです
多分、今のほうがこの作品の本質を理解できると思います
SF小説です
遠い未来
銀河の星々が幾度かの戦争を経て統合された時代
各星のエリートたちを乗せた宇宙船・イフゲニア号が難破
降り立った無人の星でメリエラ星人のラビルという弁護士を中心に独自の国家「イフゲニア」を作りサバイバル生活を始める
色々な人種が一緒に暮らすわけですから、衣食住が足りはじめると不思議なもので様々な面倒が起ります
罪を犯すものが現れ、裁きが行われ、死刑が執行される
物語の後半は、無事故郷の星に戻ったラビルが「イフゲニア」でメリエラの倫理に違反した罪に問われるという法廷ドラマです
メリエラでは、どのような理由があっても人を殺してはならないのです
しかし、「イフゲニア」ではその理想を貫き通すことが出来なかったラビル
彼をメリエラの刑罰から救い出すために彼が「イフゲニア」で犯したという『罪』は必要なものだったと奔走する「イフゲニア」の仲間たち
人が人を裁くこと
死刑という刑罰を下すこと
責任はどこにあるのか
どういう理由があるのか
とてもデリケートで難しい問題です
考えが自分と異なる人たちとの共存
倫理観の摺合せ
現代社会が抱える大きな課題です
ラスト
ラビルは刑を免れることは出来ませんでしたが、課せられた務めは、今の私たちに重く圧し掛かっていること
そのものでした
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます