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ジュリアン・バーンズ「終わりの感覚」

2013年03月31日 | 海外の作家

 

The Sense of an Ending
訳・土屋政雄
新潮クレスト・ブックス
2012年12月 発行
184頁

 

 

2011年度ブッカー賞受賞作

 

60代半ばになった主人公・トニー
ある日、見知らぬ弁護士から手紙が届く
ある女性が彼に日記と500ポンドを遺したというのだ
記憶を辿るうち、その人が学生時代の恋人・ベロニカの母親で彼女の実家に行った時に一度だけ会ったことを思い出す
その日記というのは学校時代の仲間で20代の前半に自殺したエイドリアンのものだったが、ベロニカが持っていてトニーには渡さないと言っているらしい
ベロニカはトニーと別れたあと、エイドリアンと付き合っていたのだが、それにしても何故彼の日記がベロニカの母親の元にあったのか?
さらに、何故トニーに遺すというのか?

 

 

昔、ベロニカは理解不能な態度でトニーを振り回した挙句、エイドリアンを選んだという過去があった
今、ベロニカを探し出し、日記を渡すよう話すのだが昔よりさらに理解不能な態度で接してくる彼女
一体、何が彼女にそこまで頑なな態度を取らせるのか?

 

終盤に向け、エイドリアンの自殺の真相や数々の謎が解けるスリリングな展開に引き込まれます

 

トニーが思い出す青春時代の日々
果たしてそれは正しい過去なのか?
記憶のすり替え、書き替えが行われているのではないか?
自分の人生はまぁまぁだったと思うのは独りよがりではないのか?

 

ほろ苦いどころか、かなり苦い後味の残る作品です
でも、悪くはありません
さすがブッカー賞受賞作品です

 

ラストの一行には痺れます

累積があり、責任がある。その向うは混沌、大いなる混沌だ。

 

 


コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (latifa)
2020-08-03 08:24:49
こにさん、こんにちは!
実は、こにさんちにきて、この本の感想無いかなーって検索していたのです。
ヒットしなかったから、無かったのね・・って諦めてたのです。
リンクありがとうございます!

>ほろ苦いどころか、かなり苦い後味の残る作品です
その通りです・・
自分も過去を良いように勝手に変えちゃったりしてないだろうか・・・ 怖
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latifaさん (こに)
2020-08-04 07:52:44
いらっしゃませ~!
過去の書き換え、すり替え、やってると思います。
( ;∀;)
でも、トニーほどのことは無いかと。
対するベロニカもすごいですよね。シャーロット姉様にぴったりでした!
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