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ベルティーナ・ヘンリヒス「チェスをする女」

2011年11月04日 | 海外の作家

 

訳・中井珠子
2011年2月 初版第1刷発行
186頁


2008年フランスで映画化されています
確か、日本でも公開されたはず


舞台はギリシャ、ナクソス島
主人公は早朝だけホテルの客室係りとして働く女性・エレニ、42歳
伝統的な暮らしや考え方を当然のこととし、夫と二人の子供たちのために家事をこなし時折友達とお茶を飲んで噂話に花を咲かせる毎日
ある日、フランスからの観光客の部屋を掃除していて目にしたのがチェス盤
夫の誕生日にチェスをプレゼントしよう、一緒にゲームのやり方を覚えればいい
エレニの突飛な思いつきが彼女をとんでもない運命に導きます

夫はチェスには見向きもしない
一人でこっそりチェスを楽しんでいたエレニですが物足りなくなり、学校時代の恩師を訪ね教えを請います
家族には内緒で恩師の家に通うエレニ、様子がおかしい事に気づいた夫が友人と二人でこっそり妻の後をつけるあたり笑えます
夫にとっては笑い事ではないのですけどね
夫とは家庭内別居状態
それでもエレニはチェスを諦めることは出来ません
ついに彼女は家に置手紙を残し、こっそりアテネでの大会に向かいます

ギリシャの民族性でしょう
夫をないがしろにし、好き勝手なことをする妻に対し
自分は島中の笑いものになっていると憤慨する夫
ところが、エレニがアテネまで出かけている間に夫の中で何かが変わります
受け入れること
自分から主張すること
誇りに思っていること
自慢してもいいんじゃないか

アテネでは3回戦まで進んで敗退
恩師は病気が悪化し亡くなってしまいます
でも、自分の才能に気づき外の世界を見た彼女には「自信」が残りました

島に戻るところまでは描かれていませんが
きっと家族や友人と楽しく幸せな毎日を過ごしたのではないでしょうか


何かを信じ、それに向かって進むこと
それが人を強くし、優しくするのですね

 

 


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