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三浦しをん「白いへび眠る島」

2012年06月29日 | ま行の作家

 

角川文庫

2005年5月 初版発行

2010年1月 6版発行

356頁

 

 

故郷の離島を出て寄宿舎に入り高校に通う悟史

高校生活最後の夏、故郷に戻ってきた悟史が「持念兄弟」と呼ばれる幼馴染の光市や荒垣神社の次男・荒太と共に、13年ぶりの大祭に高揚する村で体験するひと晩の不思議な冒険物語

 

村には、長男は村に残り次男は出る、という古くからの考え方があるのだが、高校を卒業しても村に戻るつもりの無い悟史と父親とは全く反りが合わない

一方、光市は両親を海で亡くした後、当然のように村で漁師をしながら祖父と一緒に暮らしている

悟史が村を出たいと思うのには理由があり、幼いころから「不思議」が見えてしまうからで、決して村が嫌いなわけではないし、光市のように生きられたら幸せだろうと考えているのだ

 

荒太は次男なのに村に留まっている

実は、荒太も幼いころから「不思議」が見え、村にいつからいるのかもわからない神・犬丸を従え、忍び寄る黒い何か「あれ」から村を守り大祭を無事終わらせるという目的があったのだ

 

「あれ」は中傷や扇動に簡単に流される人の弱さにつけ込んでくる

 

悟史はたったひと晩の冒険で、大きく成長しました

 

 

 

悟史はいま、島から出ていこうとしていた。

光市との距離は開いていく。

だが、拝島があるかぎり、とても遠く深い場所で一緒に冒険をしたこの夏の記憶があるかぎり、どこにいても、どんなに離れていても、二人は緩やかにつながっていて、かつ、自由だ。

契約のいらない友愛、約束のいらない拘束。

ぼくたちの自由はなんて不完全で、だけど愛おしい形をしているのだろう。

 

 

 

三浦さん、こういう小説も書かれるのですね

本編では曖昧だった荒太と犬丸の関係が文庫書下ろしではっきりして、物語に締りがついたように思います

読後は、爽快感に包まれました

 


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