原題 LA RANCON DE LA GLOIRE
英題 THE PRICE OF FAME
2014年 フランス
1970年代にスイスで実際に起きた二人の貧しい移民によるチャップリン遺体誘拐事件を基に、人情味とユーモアを加味して作られた極上のヒューマンドラマ
チャップリンの遺族が特別出演、本物の屋敷や墓地でのロケ、作中テレビに流れるチャップリン主演の映画「チャップリンの霊泉」、「街の灯」「ライムライト」「サーカス」へのオマージュ
映画ファンを満足させてくれる、とても欲張りな映画です
スイス、レマン湖畔の町
刑務所を出所したエディ(ブノワ・ポールヴールド)を友達のオスマン(ロシュディ・ゼム)が迎えます
エディはベルギーから、オスマンはアルジェリアからの移民で、グルノーブルの外国人宿舎で出会い、放火事件があった時にエディがオスマンの命を救ったことで大親友となったのでした
オスマンは真面目に働くも貧しく、入院中の妻の治療費が工面できず、一人娘のサミラ(セリ・グマッシュ)の獣医になりたいという夢も叶えてやれそうもありません
彼の苦境を目の当たりにしたエディは連日流れるチャップリン死去のニュースから、とんでもない計画を思いつきます
『チャップリンは放浪者の友達、移民の友達、貧乏人の友達、つまり俺たち三人は友達だ、友達から金を借りよう!チャップリンの遺体を誘拐して身代金を要求するんだ!』
墓地から棺を堀出し、別の場所に埋めることに成功する二人でしたが、なにせ素人です
なかなか身代金を手にするまでには到りません
結果、どうなるかは分っていても、エディとオスマンを追う丁寧な心理描写に切なくなりました
一番印象に残ったのはチャップリンの棺を乗せて隠し場所まで走る車内の二人を正面から撮影したシーンです
台詞は一切なく二人の表情を追うなか、流れるのはミシェル・ルグランの音楽のみ
張りつめた緊張感から徐々に開放されていく二人の思いを見事に表現しています
それとラスト、エディが職を得たサーカスの道化師としてライトの下へ出ていく後姿を追ったシーンかな
思い出すに心に残る良い映画でした
サミラ役のセリ・グマッシュが可愛かったです
可愛いだけじゃなくて、賢く洞察力のあるサミラ役にぴったりでした
あ、『FIN』の文字が出ても、館内が明るくなるまで席を立たないでくださいネ♪