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村薫「太陽を曳く馬」

2013年12月27日 | た行の作家

 

新潮社
2009年7月 発行
2009年8月 第2刷
上巻 403頁
下巻 384頁

 

 

「晴子情歌」「新リア王」に続く福澤一族百年の物語完結編

 

合田雄一郎を主人公に置き、警察ものの体をとっていますが過去の合田刑事作品とは全く違うので要注意

 

もう一人の主人公は晴子の息子で僧侶となった福澤彰之

 

彼の妻の餓死
彼の息子・秋道が殺した同居中の女性と嬰児、隣人の大学院生
秋道の死刑
彼が運営に関わった修業施設に招き入れた青年僧の交通事故死
9.11で命を落とした合田の元妻や数千の人々

 

青年僧の事故死、都心にある寺の土地売却や運営に関わる疑惑が少しずつ明らかになっていくあたりは警察小説の一端を見せますが、物語の本筋は別のところ
死と宗教・特に仏教について、彰之や僧侶たちと合田の間に交わされる問答は果てしなく続きます
捜査内容に応じて、現代美術、心理学、宗教哲学などの知識を吸収しようとする合田
並みの刑事とは違いますね
彼の存在が、難解な現代美術や宗教哲学を語るうえで私のようなそれらの知識に乏しい読者への橋渡しをしてくれます

 

宗教の現代社会や死への関わり方を追究した本作
村女王の力作ここにあり!

 

次はどのような作品を考えておられるのか
期待しつつ、ついていけそうもないのが正直なところです

 

 

 

 


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