三神工房

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【日本の底流】「我慢」

2024-05-06 | 日記
「そんな我儘を言わないで、我慢しなさい」
かつて子供の頃、なにかのときに母からそう言われたことがある。

とかく日本の熟語は仏教に由来するものが多い。ただ、それだけでなく外国人にとって漢字が難解なのは、似た文字の組み合わせで意味が全く違う。「我儘」という熟語は「わがまま」と読み、また「我慢」は「がまん」と読むのである。

元々「我慢」は仏教用語で、「おごり高ぶる心」つまり「自分が自分が」という利己心を指していて、仏の教えを知りたければ、それを捨てねばならないということらしい。それが時代を経て変化している。「わがまま」は「自分の思うままにすること」であり、「がまん」には「耐え忍ぶこと」の意味がある。

一方、ある程度年齢を重ねて「生老病死」という四文字熟語を知った。これも仏教用語である。「生」は生まれること、「老」は老いること、「病」は病になること、そして「死」は死ぬことである。この言葉の背景には深い仏教の教えがあるのだが、それはともかく、「生きる」ことは、やはりたいへんである。

人間は金を持てば贅沢になり、権力を持てば我儘になる。金も権力も握れば傲慢になる。上が「わがまま」であれば、下は「がまん」するしかない。上にへつらう者が出世し、やがて組織は怠惰になる。だがそれは永遠ではない。ここはまず自分を捨てて、生老病死を耐え抜き、己の道を生きていくしかない。

人生の要諦は、きっと生き続けることなのであろう。

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