おぉきに。

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『グッバイ・イエロー・ブリック・ロード 東京バンドワゴン』

2021-05-06 15:29:24 | 本の話・読書感想

 

『グッバイ・イエロー・ブリック・ロード 東京バンドワゴン』 小路幸也 著(集英社)

 シリーズ十六作品目の最新作は番外編。そして過去二冊の番外編は堀田家の過去編でしたけど、今作はがっつり現代の堀田家。舞台はイギリス。はい、藍子さんとマードックさんのいる、もう一つの堀田家です。いやー楽しかった!今回も一気読み、幸せな時間でした。

 

 

わたしは子ども産まなかったし持たない人生を選んで、老後ひとり残されて寂しくはあっても後悔はしないと思う(子どもがいない人生が正解だったと確信してるので)(宿命的にいろいろありまして)。また実家にいる妹は結婚そのものもしない人生を歩んできて、いま年老いた両親と一緒に暮らして親を気遣ってるけど、彼女は確か昔、結婚を夢見てはいないけど子どもは欲しいと言ってたような気がする。ということで、わたしの両親は孫の顔を見ることはできなくて、家も絶えてしまうので、それはそれで申し訳ないとは思ってるんです。

娘二人、もし子どもがいたら、年齢的には曾孫も見れてたかもしれなくて、両親はどんなおじいちゃんとおばあちゃんになってたかなあ。

大家族な堀田家のお話は、わたしが選ばなかったもうひとつのわたしの人生のような気がします。ここまで大家族にはならないけれども。

年代、世代を理由にお互いを理解しあうことを諦めずにみんながそれぞれの立場を思いやって、心配したり励ましたり助けたりしながら、前を見て生きていく堀田家と仲間達。それはイギリスにいる藍子さんとマードックさんにも受け継がれていて、きっと世界を概念じゃなく存在のLOVEで包んでいくんだなぁと。

これまでのお話で下町で暮らす堀田家がみんな語学堪能で音楽センスもばっちりなこととか、勘一さんがイギリスで大立ち回りしたこととか、以前の事件でマードックさん絡みで正体明かせないあのヒトがいいとこ全部持ってったとか(笑)、サチさんの瞬間移動(?)のルールとか、そういうのがぜんぶ盛り込まれてて、日本とイギリスのタイムラグもほぼないからストレスなく展開が進んで、スコットランドヤードの面々も個性的で、ジュンさんのおばあちゃんがめっちゃ素敵で。マジこのおばあちゃんに惚れましたわたし。タロットすげぇなw

研人くんが、本当にオトナになったねえ。

我南人さんが一緒とはいえ、藍子さんを支える研人くんはもう堀田家で守られるだけの子どもじゃなくなって、のちのち芽莉衣ちゃんと結婚してどんなお父さんになるのか、気が早すぎるけど楽しみでしょうがないです。

あれ。芽莉衣ちゃんとの間に授かる子どもちゃんに、紺さん研人くんかんなちゃんの能力は受け継がれていくのでしょーか……?かんなちゃんがパパとお兄ちゃんの両方の能力を一人で持ってるから、新たな能力者が出てもかんなちゃんほどではないのかも?……ま、なんにせよ楽しみです。

でも、いくら研人くんが成長したと言っても、出せる成果はやっぱりまだベテランには及ばない。ただ馬鹿正直にそう告げて研人くんの心を折ることはしないで、人生のベテラン達はもっと大きな視野で使えるものはすべて使ってもっと勝ちを取りに行く。我南人さんやマードックさんやロイド警部補達の自然な気配りが優しくて、良い人達が救われるハッピーエンドは素直に読者も幸せになれますね。

美術品が絡む冒頭は、いつもの東京バンドワゴンとはちょっと空気が違って新鮮でしたが、読んでいくうちにいつもの安心と信頼の堀田家で。

ジュンさん、なんとなく雰囲気というかスペックというか人となりが永坂さんに似てるなあ。

藤島さんといい木島さんといい、堀田家のためにもてる人脈総動員で助けてくれて、きっとそれだけ彼らが堀田家から受けた恩って大きくて深くてあたたかかったんですよねえ。読者のわたしでも救われてますからね……。

マードックさんのお母さん、メアリーさんの養生の様子が、わたしの実家の父と同じで。穏やかな日々が一番の薬。

いやだからもう、ありがとうジャ(笑)

東京の堀田家のみんなが、この顛末(ただし話せるところだけ)を聞いて、どんなリアクションになるのかな。きっとマードックさんと藍子さんを心底心配してメアリーさんの様子も心配して、そしてみんなして「どうして我が家の人間は(続きは紺さんのセリフと同文)」って苦笑いするんでしょう。

研人くん達のバンドはイギリスでのファンも増えていくし、シリーズの今後もわくわくします。

 

 

 



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