銀の人魚の海

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ツリー・オブ・ライフ~人類の創世?風とカーテン

2011-10-02 | 2011年鑑賞新作映画
どういう事を書いたらいいのか・・・

マリックなので迷っていたがミラノ座、多分ラスト1回上映で見る。

冒頭、ひまわりと牛で福島?と感じたり
いろいろ想う映画。

でも感想といっても・・・となるような・・

再見すると、もっと見えるだろう。

映画館もほとんど消え、うらぶれた歌舞伎町は数年後新しくなる、
という時期にミラノ座でマリックは、案外合っていたか。

彼の哲学(本職は教師だよね)思想の映像化で
映画というより映像で詩を描いている、文学でもあった。

彼が声をかけると俳優が来る、というのも神話なのだろう。

なんで?と思う。そんなに凄い人なの・・

わかりにくいと言えば全くそうだ。

でも映像は残る。

彼の映画、かなり見ているが大嫌いな物もある。

これはシンレッド~のように映像が心に長い間残る映画だ。

初めの方、ピーターラビットのお話を読んでいる母らしき声。

「マクレガーさんのお庭に入ると~」

その後、私も好きな話で絵本もとってある。

「マクレガーさんのお庭に入って捕まると肉のパイにされてしまうのよ」

なの。

長男ジャックがブラピに、ここからは隣の家だ、と何回も言われるのは
この絵本と関係あるの?

さて、前半のどの位か?

マリック脳ワールド全開というような映像は

もし途中から入った人なら、館を間違えた?
と思ってしまうほどで、

NHKスペシャル「森と海の神秘」「人類の創世記」みたい。

これが長い。

そうか、こうくるんだ少し片目で見たりする。

「2001年宇宙~」を考えたりしつつ、
彼、一番撮りたかったのは、この映像かもしれない。

恐竜たちをCGで。

何回も映る火のボワンとした変な形は神の象徴?

あのカットから神秘映像が始まっている。

という思想的シーンを間に挿入しつつ
米西部、テキサスあたりの50年代の家族の話である。

ブラピが父の息子が3人いる家族。

女子が欲しくて3人目を産んだのか、カトリックだから避妊をしないからなのか
わからない。

妻はセリフがほとんどなく、大人しいのか、ここでは妻というより
息子たちの母という存在でしかない気がした。

女ではなく薄い存在の母。

夫が仕出張でいないと母は子供とたわむれる。
息子たちもはしゃぐ。

父の存在によりガラッと変化する家族は、この時代、米西部では普通?

いずれにしても父権的保守的家族だ。

3人男なら母に反抗する子がいてもいいのに
それはほとんどない。

そして母も、そうは描いていないが孤独だ。
でも母は寂しそうではない。

息子たちも、少し友人と遊ぶシーンもあるが
ほとんどが兄弟で遊ぶ姿で、周りに家もあるのに

山奥の暮らしのように、3人一緒で
母も友人もあまりいないようだ。

閉鎖的と思えた。それは意図的?

カトリックで規律に煩い父、クラシックをかけての食事シーンは
苦笑してしまうほどで、抑圧された息子たちを感じるが

母は何も言わないで、常に遠くにいる。

現実からずれてるような母だ。

母はこの家庭にいるの?本当にいるの?と思う。

マリック監督の母への思慕・・?

父は自分の人生を間違ったと考えていて
「違う生き方をしろ」と長男に強く言う。

病的でもある。

父は懸命に仕事をしているが、実はとても弱い人でもある。

頑固は弱い人の特性でもある、がよくわかる。

弱さの裏返しのイライラで息子にあたる。

この家族の事を書いていると、米50年代では
ありそうな家族でもあるが、

母は白いドレスで脚を水にかけ庭をうろうろしたり

3兄弟も大きな喧嘩もなく、会話も少なく

固有名詞、名前で呼ばれることも少ない。

ブラピは「SON」と呼んでいたと思う。

リアル感はない。

生きてる家族としてのリアルさ、生々しさが感じられず

心のみが儚く映っている気がした。

それが次男の死へつながるのだろうか?

19歳で死んだ次男は自殺と思って見ていたが

再見した方によれば戦死らしい。

死と同時に、3回位映る、頭に傷がある少年は意味があるの?

母と買い物中に映る障害者たち。

次男は死んだ。

人はそれぞれの運命があり、いろいろな生があるということなのか。

目つきが悪い長男は成長しSペンが演じる。

それなりの地位?

彼、顔が悪系タイプなので、おだやかさは感じられない。

キャスト違う方がよかったか・・

人は欲深くなった、という語りがある。

全く。

ここでの父は自分の欲望を息子に押し付けた。

父は欲望を子供に向けた事で負けたのだと思う。

母は、それはない。

母は、少し神のような存在かもしれない。

次男の死は自殺にしても戦死にしても運命だった。

ペンが歩いた、あの岩のシーン。

ペンも死ぬの?

ラスト、高層ビルが映る。

テロでも起きるのかと思ってしまったほどの「今」「現代」だった。

母役女優は、EMセイント似だった。

ジャック役の子役は、長男役を意識しすぎ目の演技に・・
怖かった。

こういう映像、なかなか撮れない、ということでは貴重。

監督はブラピ父のように頭がかたい人?

たまに撮りたい~で撮れ俳優も進んで出てくれるという
恵まれた人生であることは確かだ。

彼の哲学世界が1つずつ完結していく感じを受けた。

何故かローグの「美しき冒険旅行」を見たくなった。



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2 コメント

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心のみが儚く映っている (TAO)
2011-10-03 10:20:29
アリエルさん、メッセージありがとうございました。

ほんとに「心のみが儚く映っている」作品ですね。

頭に傷がある少年は火事で火傷した設定でした。
水死した少年同様、
この世に死や災害など避けられない苦しみがあることを
主人公が意識したきっかけで、
お釈迦様みたいと思いました。
このへんはきっとマリックの自伝的な要素なんでしょう。
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Unknown (アリエル)
2011-10-03 11:03:27
全く寝てはいませんが(笑)1回しか見ていないので、火事の少年ということは、思いあたりませんでした。

ネットで幾つか感想を読みわかった事もありました。

水死の事も書いたあと、思いだし追記をしましたので。
あの水死も何気なくスルーされてますが
子供時代に現実にあえば、大きな重さですよね。まして父が助けようとしたので。

私も子供が小さい頃、連れて行ったプールで水死した
少年を見てしまったことがあり、今でも記憶に残っています。

人の生を考えさせられる映画でした。
DVDが出たらゆっくり再見したいです。
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