まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
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2016-06-03 21:59:16 | その他の映画(は~わ行)

今年のアカデミー賞で主演女優賞を受賞した作品。ちょうど埼玉の少女監禁事件の被害者が保護されて容疑者が逮捕された時だったから、監禁事件そのものが注目を集めたけど、アメリカではクリーブランド監禁事件があり、日本でも2000年には新潟少女監禁事件という10年もの長きにわたって少女を監禁し続けた事件もあったから、監禁中に子供を産むという設定もあり得るかも。

天窓と厳重に施錠されたドアでしか外界と繋がっていない部屋に監禁されている母親ジョイ(ブリー・ラーソン)と息子のジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)。ジャックは監禁犯に犯されたジョイがこの部屋で出産したため、テレビ以外の外部の世界を知らない。週に一度くらい生活物資を差し入れがてら体の関係を求める男に、ジョイは惰性で対応していたが、男がジャックに手を挙げたことをきっかけに部屋からの脱出を企てる。

それはジャックが外に出て助けを呼ぶというもの。病気になったふりでは上手くいかなかったものの、死んだふりをして絨毯にくるまっていたら、見事に成功。ジャックは警察に保護されて、ジョイも7年ぶりに救出される。しかしどちらかというと、ここからがこの映画の見せ所。

7年の間にジョイの両親は離婚し、母親は新しいパートナーと暮らしていた。いなくなった日のままの自分の部屋に戻り昔のアルバムを眺めるうちに、改めて失った7年の大きさに打ちひしがれるジョイ。当時の友達は何不自由なく学生生活を謳歌し、今も20代半ばで自分の人生を楽しんでいる。それにひきかえ自分は父親のいない息子の母親、いったい自分が何をしたというのだろう、という思いが強かったのではないでしょうか。

子供の適応は早いもので、周囲のサポートもありジャックは義理の祖父や飼い犬、そして近所の同じ年頃の子供とも遊ぶようになる。ジョイに「あの部屋へまた行きたい」と言い出し、再び訪れて5年間一緒に暮らしたベッドやシンク、クローゼットに、あのころ「おはよう」と言っていたようにひとつひとつに「さよなら」と声をかけるシーンが心に残りました。

レディースデイ+ゴールデンウィークの効果か、館内は満席でした。あまり公開館が多くないのも影響しているかも。ジョイとジャックにとってもそうですが、離婚してしまった両親にとっても7年ぶりに帰ってきた娘と突然できた孫に対して、どう接したらいいか戸惑うしかなかったことでしょう。そう考えると、再婚相手のほうが元々知らなかっただけに、変に気を遣うことなく接することができたのかもしれません。

ジャック役のジェイコブ・トレンブレイの演技が上手い!子役だと『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』のオスカー役トーマス・ホーンが上手かったなあという印象がありますが、こちらも負けず劣らずの好演です。個人的にはアカデミー主演女優賞を受賞したジョイ役のブリー・ラーソンより印象に残りました。

監禁された最初の頃は何度か脱出を試みたけれど、悉く失敗してからはただ流されて過ごす日々、子供が小さいときはそんなことを考える余裕もなかったでしょうが、「外を見せたい」という母親の強い思いが勇気となり、脱出を成功させたのでしょう。

犯罪被害者の救済は、アメリカのみならず日本でも課題ですね。

公式サイトはこちら

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