今は亡き台湾の名匠、楊德昌エドワード・ヤンの長編2作目。主演にはこれまた高名な映画監督で、製作と脚本も担当した盟友侯孝賢ホウ・シャオシエン。呉念眞ウー・ニエンチェンも出演してたり、馬友友ヨーヨー・マや杜篤之トゥー・ドゥーチが音楽を担当するなど、台湾映画界の親密な関係が分かります。
新しい部屋を探しているようなシーンで始まり、だんだんと登場人物の関係性が分かってくる。アリョン(侯孝賢)とアジンはつきあっているようだが倦怠期なのだろうか、劇的な関係の進展はない。少年野球のヒーローだったアリョン、元チームメイトで今はタクシー運転手で生計を立て、妻に逃げられ小さな子供と一緒に暮らすアキンの姿は社会の厳しさを見せつけられる。
アジンはキャリアウーマンっぽいが、会社が買収されて上司が辞めると自分もクビになり、アリョンが賭け麻雀で車を手放したり、アリョンと以前関係があったらしいが日本人と結婚した女性や、アジンの妹のバイクに乗ったり建築中のビルの中で集まり酒を飲んだりしている仲間でアジンに気がある若者など、2人の先行きに大きな影響を与える人が登場しつつ、一つのクライマックスを迎える。アジンに対してストーカーっぽく建物の入り口の前で待ち続ける若者に釘を刺したアリョンは、バイクで追いかけられて一度は撃退するが凶器を持った若者に。。。
1985年の製作で一番時代の違いが目立ったのは、とにかくみんな煙草を吸っていること!煙草を吸う仕草が絵になる時代でしたね。少年野球や暴走族っぽいグループなんかも、どこか日本で見たことのあるような光景で『クーリンチェ少年殺人事件』と同じような空気を感じました。アリョンが刺されて一晩経った後救急車で運ばれて行きましたが、その後どうなったのか気になります。結構血が流れてたし。
1985年といえばミニシアターブームのちょっと前だから、劇場未公開だったのも仕方ないかな。
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5/7 渋谷ユーロスペース
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