まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
たまにライヴや本の感想、中小企業診断士活動もアップします。

月光

2016-07-15 23:46:23 | 日本映画(あ~な行)

性犯罪被害者のその後の苦悩を描く、観ていて苦しくなった作品。

カオリ(佐藤乃梨)は自室でピアノ教室を開いている。ホールでの演奏会が終わった後、生徒ユウ(石橋宇輪)の父親から「話がある」と言われ、一緒に車に乗った先で襲われてしまう。その忌まわしい体験から、道を歩いていたり近くのベンチに男性が座ったり、車にのってシートベルトを締めたりするだけで、パニック発作が起きてしまう。

そんなカオリの元に、なぜかユウがやってくる。以前から体の痣に気付いていて虐待を疑っていたが、発表会の時のままの格好で臭いもキツいユウをシャワーに入れると、やはり全身に暴力の痕があった。カオリとユウは、家を出たユウの母親を訪れるが、そこも心休まる場所ではなく、2人は元の町で生きる決意をする。。。

カオリが幼少の頃、両親から離れて祖父母の家に住んでいたとき、親戚のおじさん(だったかな?)から性的いたずらをされていた、という過去に胸が詰まります。周りの大人、ましてや自分の母親ほど「あの人がそんなこと、、、」と子供の話を信じないだろうことは分かるし、お世話になっているという負い目からなかなか声をあげづらいだろうなあ、と想像できるけど、小さな子供が自分一人で抱え込まなければならない辛さは如何ほどのものでしょうか。カオリが音大の教授と不倫していたのも、その過去が影響しているのでしょう。

加害者となるユウの父親は、表面上はごく普通の男で小さな写真館を営んでいるけれど、どうしてそんな方向に欲望が行ってしまったのか。近所の人や数少ないお客さんから見れば、ごくごく普通のお父さんであり店主なんだろうなあ。店が繁盛しているわけではなく妻との関係も思わしくない、そうした男が自らの支配欲、承認欲求を満たそうと、自らが圧倒的に優位に立てる自分の娘、そしてカオリに矛先を向けたのだろうか。ユウの母親も、ユウが言うことをきかないと平手でピシピシはたき続ける、ちょっと危ない傾向があります。

抑圧され続けているユウが非常にかわいそうですが、ハイヒールを履いて陸橋を下っていく後姿からは、毅然とした新たな決意が感じられますが、負の連鎖にはまらず幸せになることを願うばかりです。カオリが母親と車に乗って向かったのは警察でしょうか。卑劣な加害者が逮捕されるのを切に願います。

ユウの母親の元へ向かうローカル線は岳南電車というものらしいです。吉原にあんな電車が走っていたなんで、初めて知りました。

公式サイトはこちら

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