まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
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共犯

2015-09-15 23:20:21 | 台湾映画(あ~な行)

光にふれる』の張榮吉チャン・ロンジー監督作品。主要キャストの高校生役に演技未経験の若者を多く配している。

いじめられっ子の黄は、通学途中に女子高生の飛び降り死体を発見する。死体は同じ高校の3年生、夏だった。死体を発見した時にたまたま通りがかった優等生の林と不良の葉は、黄と3人そろって警察の聞き取り捜査や学校のカウンセリングを受ける。黄の「彼女のために真相を究明しよう」という提案で、3人は彼女の周辺を調べ始める。Facebookや同級生、はては彼女の部屋にまで忍び込んで3人が得た情報は「朱が夏の自殺のきっかけを作った」ことだった。朱に制裁を加えるべく準備する3人。制裁は大成功だったが、その後の事故で黄が溺死してしまう。

林はその場から逃げ出し警察が来た時には葉が一人だったため、「葉が黄をいじめて殺した」と中傷を受けるが葉は何も話さない。今度は黄の妹が兄の死の真相を突き止めるべく立ち上がり、朱も自らにかけられたいわれのない嫌疑を晴らそうと葉に接近する。。。

明るく前向きなイメージの『光にふれる』とはガラリと変わったサスペンスな空気に驚きです。監督という職業の性として「いろんなタイプの作品を撮りたい」ということがあるだろうし、いろんな経験を積んで蓄積されたものが経験知となってその後の作品に生かされるだろうから、よほどの失敗作じゃなければ毛色の違った作品は大歓迎です。

この作品は原作もので原作がどんなものかわからないけど、3人がつるむのがちょっと唐突な気がします。黄がいろんな重大証拠を見つけて3人の捜査を引っ張るけれど、林の冷静な頭脳や葉の暴れん坊な性質はどこへ行ってしまったんだっていうくらい、黄の話に安易に乗っていきます。死体を見つけた、ということは、それだけ衝撃の大きなことなのか、黄がいじめられていたことは知らなかったのか、いろいろ疑問は膨らみます。

黄はまさに事件と関係し続けることが2人を引き留める手段となっているんだけど、林も勉強のできる優等生としてひとり浮いていたのか、葉も問題児ということでやはり学校では居場所が違う心地悪さを感じてたのか。そういった高校生のちょっとした空虚な心に、飛び降り死体とその真相究明はとても刺激的だったのでしょう。だからこそ、誘われるがまま、というより自分たちも前向きにのめり込んでいったのだと思います。

3人のカウンセリングを担当するカウンセラーが極めて事務的に彼らを扱い、ビデオを見させてレポートを書かせてお終い、としたのも、そういった割り切りが必要であり一つ一つの事案に真正面から向き合っていたら木乃伊取りが木乃伊になるように、自分が参ってしまうということを知っているからなのかもしれません。

これまでの爽やかさが前面に出ていた台湾青春映画とは一味違う、苦い味わいの映画でした。

公式サイトはこちら

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