あぁ、湘南の夜は更けて

腱鞘炎やら靭帯断裂やら鎖骨骨折やら…忙しいッス。
自転車通勤往復100kmは、そんなこんなで自粛してました。

『アフリカンマン・ンジュガ』ジャマイカ旅行記-その1

2005年01月01日 | ジャマイカ旅行記
1988年12月、厳寒のニューヨークの旅行代理店でジャマイカ行きの安チケットを手に入れた。

ジャマイカは憧れの国、カリブ海に浮かぶ島。
400年前、奴隷としてアフリカから連れてこられた黒人の一部は、
ここのサトウキビ畑のプランテーションで働かされた。
黒人たちの文化を殺し、彼らに過酷な労働を強要し、
白人たちは豊かな暮らしを築き上げた。
物質至上主義、功利主義の原理が支配する世界で、
黒人たちには劣等感だけが根付いていった。
白人優位の思想、唯一白人の価値観だけが正義だという思想だ。

ところが60年代、

この島にボブ・マーリィーを始めとするレゲエという音楽を携えた表現者たちが現れた。
もちろん彼らの前にマーカス・ガーベイら偉大な思想家や音楽面での先駆者は多くいたが。
物があることが即豊かなわけじゃない。
誰もが皆愛し合い、信じ合い、助け合い生きることが豊かなことなんだ。
アフリカの黒人社会はそれを持ち、平和に生活していたのに、
そこへ白人たちが武器を片手にやってきた。

思いだそう! アフリカに帰ろう!

そんな思想を黒人独特のリズムでメッセージする。
黒人意識運動。
価値観の多様性を認めよう!
黒人意識運動の力は武器ではなく音楽。
やがてレゲエは黒人社会だけではなく世界中へ拡がっていった。
世界中を放浪する旅人やヒッピーへ。
ネパールやバンコクでも街はレゲエでいっぱいだった。
豊かな心の人には解るメッセージだから。
武器を持たない虐げられた人たちや、物質至上の世界から落ちこぼれたり、
敢えてそこから抜け出した人たちに拡がっていった。
現在の『ダンスホールレゲエ』にはメッセージ色が少ないが、
ここで書いているレゲエは『ルーツロックレゲエ』のこと

ボブ・マーリィーは1981年36歳で死んでしまった。

そのジャマイカに飛んだ。
機内でタバコを吸っていると隣に座り声をかけてきた男、
「やぁ、調子はどうだ?(Yeah man,How’ya doin’?)」
アフリカのセネガル生まれのンジュガという黒人だった。

貧しい家庭に生まれたが、独力でアメリカの大学に留学した長身の青年だった。
そのことがきっかけでこのンジュガとのジャマイカ旅行が始まった。

僕は以前、金融業界の営業をやっていた。
エリート意識の高い、その割には何の個性もない先輩、同僚ばかりがいた。
僕は、と言えば金曜土曜は新宿のレゲエのかかる飲み屋で
黒人たちや世界中から来た旅人、不法就労のアジア人たちと飲んで踊って騒いでいた。

ある日の昼休み、会社の先輩がソウルオリンピックの話題で
「黒人は結局走るしか能がないからな」と言っていた。
この人はバカじゃないのか?と思った。
彼はかつて一人でも黒人と付き合ったことがあるのだろうか。
彼が「一人の人間」として黒人に優れているものがあるのだろうか。
彼が黒人より優れていると思っているのは、
経済至上の世界でたまたま日本に生まれ、
たまたま現在の日本に住み、
その日本人の一員として物質的には黒人よりいい暮らしをしているだけ、という勘違い。
錯覚。
黒人たちには400年の理不尽な暗い歴史があった。もともとの価値観だって違う。
一対一の人間では優劣なんてない。
『日本人』を隠れ蓑に黒人を劣っていると看做す寂しい人たち…。
でも、これが大多数の日本人。知らず知らずのうちに教え込まれてきたこと。
多くが考えようとしない。だから、同じ次元でアジアの人々をも見下す。

新宿のレゲエバーで飲んでいたとき、
飲み友達のアフガニスタンの友人数人と
これまた飲み友達のジャマイカ人数人の間でちょっとした諍いがあった。
店の外に出て大声で口論を始めた。
そこへパトロールの警官がやってきた。
押し合いはしていたが殴り合いにはなっていない状況だった。
警官は不法就労の摘発か何かの目的が叶うのか、
ここで収めることをせずに本署に無線で応援を頼んだ。
その警官は何と…

「新宿2丁目路上、クロンボ同士の殴り合い発生・・・」

そう言いやがった。

これが日本の中央。
白人に道を訊ねられたら、しどろもどろでヘラヘラしちゃうくせに。

僕は黒人に憧れている。
リズム感、運動神経、創造性、ナイーブさ、明るさ…、
何をとっても今の日本人の平均よりはるかに豊かな人々のように思われる。
この青年ンジュガは7カ国語を話すことができた。
セネガルの言語、宗主国のフランス語、ドイツ語、イタリア語、
イスラムなのでアラビア語、英語、スペイン語。
僕はこの旅行でンジュガに圧倒され、多くのことを教えられた。
ンジュガといい時間を持った。
(wrote in 1990)

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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
大作 (ふぉあぁ)
2006-01-11 05:42:08
うわぁっ 大作だ。o(^-^)o ワクワク

でも、いっぱい打ったら痛くない??



NOTE PC で一日中はデータ処理はきついわ...。

ワタシは、というかワタシの業界だと、PCは会社持ちでも、My keybord My mouse 持ち込みって輩がたくさんいます。英語キーボードじゃないと打てない人、親指シフトで鬼タイプな人、トラックボールな人...。

以前は モニタまで持ち込んでいたヤツもいた。会社じゃナナオは買ってくれないとか言ってね。(金持ちダァ)



ノートにキーボードつけるのはよいアイデアです。

ただし、ちょっとモニタを見る姿勢に気をつけてくださいね。
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楽しみ♪ (take4)
2006-01-11 17:04:13
少なくとも30日は旅行記で楽しめるんですよね??(笑)



私はエジプトに行きたいと・・・昔から思ってるんですが私の業界だといけないかも(泣)



キーボード、マウスは持ち込み者多数ですね(笑)

モニタはさすがにいないかな??

ちなみに、今21インチ液晶モニタを使っていますが・・・

小さいとケチつけています(笑)

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素敵じゃありませんこと (ばっちゃん)
2006-01-11 22:24:22
若者らしい感性でもとんがり過ぎない上手いですな~また素敵な人生歩んでいるじゃありませんか。オラなにしてたかな???
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自転車乗れないッスから (masa)
2006-01-12 00:18:03
>ふぉあぁさん

文章は打ってないよ。フロッピー発見ですから。

ほとんど改行だけだもん。



MYキーボードは買うことにしました。

あと姿勢...確かに僕の姿勢は悪いんです。



>takeちゃん

楽しめるのかなぁ、そういっていただけると嬉しいッスけど。

エジプトもいいな。

今の女房に出会わなければ、僕はほぼ世界一周をスタートしてたんだよね。

新潟からハバロフスクへ渡るのが起点。

トルコやエジプトはキーになる国として考えていたし。

もう16年前だぞ。



>ばっちゃん

いやいや。この後どんどん恥ずかしくもとんがっていくんです。

そして、悲しいのはこの頃の感性を忘れてしまったことですかね。

別人だと思うもん。
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すごく面白い (ussy)
2006-01-12 13:05:49
面白いといっても、いつもの記事は"funny"で、こちらは"interesting"。



素敵な経験をされてますね。

毎日の更新楽しみにしてます。



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随分昔の話です (masa)
2006-01-12 21:45:53
>ussyさん

毎日のアップは電子データのコピーですから簡単です。

飽きないことを願ってます。
返信する
リンク (toppon7)
2006-02-04 07:48:17
こんにちは



ジャマイカ ライブの管理人です。



勝手でしたが、リンクのページ、ジャマイカ旅行記・滞在記にリンクさせて頂いています。

http://toppon7.com/link.html#trip



よろしくお願いします。
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ありがとうございます (masa)
2006-02-04 23:09:34
>toppon7さん

何か嬉しいです。15年前の駄文ですけど。

ゆっくりそちらに訪問させてもらいまーす。
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目と鼻のさきにあった (モミアミモ)
2007-05-01 04:36:18
パソコンの前に座る私自身の目と鼻の先にある「ジャマイカ旅行記」。興味がある「インド旅行記」は読んだのに、今まで読んでいなかった「ジャマイカ旅行記」。ジャマイカが俺をよんだのか?なぜか誘われてページを開きました。

経済至上主義で物事が進んできた時代に、そうでない人たちを蔑んできた日本。そんなわが国も、価値観の違いをどうこう言うのではなく、その違いを楽しめて何かを生み出す機会と捕らえる余裕が求めれている日本に変わらないといけないのかも。本当にお友だちがいない国になりそうです。

今日から読ませていただきます。けど、いいなぁ~インドもジャマイカも旅されていて、羨ましいです。
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いらっしゃい (masa)
2007-05-01 22:09:01
◇モミアミモさん
これは最初の印度と次の印度の合間に行ったやつッスね。
しかも、印度のように放浪ではなく、
サラリーマン時代の有給休暇ッス(16連休だけど)。

ちょっと印度のときと感覚が違いますけど、
読んでやってください。
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