MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

嘆きと破局

2012-08-30 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

08/30 私の音楽仲間 (418) ~ 私の室内楽仲間たち (391)



               嘆きと破局



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                 ホ短調のアガ―テ




 「譜例では、8分音符の往復音形が執拗に繰り返される。
これが途切れると、それまでの完全4度、5度は、不安な
響きの増4度、減5度に変わる。」

 「Vn.Ⅰが半音の嘆きとなって崩れ落ちる様は、まるで
破局を思わせるかのようだ。」



 これは、私が過去の記事 (音符でどこまで表現できるか) で
記した内容の、一部を纏めたものです。

 曲は、ブラームスの弦楽六重奏曲第2番。 譜例は、その
第Ⅰ楽章からで、展開部の最後の部分に当ります。



 [譜例





 演奏例の音源]は、この譜例の最初から始まります。

 譜例の後、さらに8小節が過ぎると、再現部に入ります。




 次の譜例は、第Ⅰ楽章の冒頭です。 再現部の音楽の内容
も、これとほとんど変わりませんが…。

 新たに加わったピツィカート (Vn.Ⅱ、Vc.Ⅱ) が、美しい効果
を上げています。 お聞き取りいただけるでしょうか。 これは
分散和音で出来ており、テーマの中のモティーフに由来する
ものです。

                                ↓
 [譜例





 8分音符の往復音形は、再現部では Va.Ⅱが担当します。



 いくぶん暇になった Va.Ⅰは、しばらくしてから、
完全5度で始まるこのテーマを繰り返す」…と
いう、大仕事を与えられます。

 これは、提示部では Vc.Ⅰの役割でした。




 役割の交代、モティーフの絡み合い・やり取り、モティーフが
リズムになってリードする、厚いハーモニー…。

 そんなブラームスの六重奏の魅力に、すっかり取りつかれて
いる私たちでした。




           音源ページ