MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

悲しみは尽きず

2012-09-05 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

09/05 私の音楽仲間 (420) ~ 私の室内楽仲間たち (393)

              悲しみは尽きず



         これまでの 『私の室内楽仲間たち』



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                 自虐的なトリオ
                 悲しみは尽きず
                 愛~悔恨と情熱
               化粧を排したブラームス
                 ホ短調のアガ―テ




 “Presto giocoso” と書かれた、中間部。

 曲は、引き続きブラームスの弦楽六重奏曲第2番
その第Ⅱ楽章です。



 “giocoso” は、“おどけて、滑稽に、ひょうきんに” の
意味でしたね。



 [譜例 ]は、楽章の中間部の開始部分で、前回の
演奏例の音源]
も、ここから始まっていました。

 Vn.Ⅰのパートの音を、最初から見てみましょう。
Si、La、Mi、Fa#、Re、Sol…、と並んでいます。







 今回の演奏例の音源]は、これとは別の部分
ですが、やはりこの音列が聞かれます。 いきなり
強い音が鳴るので、音量にご注意ください。


 それは、開始から4小節ほど経過した箇所で、
“p dolce” と記されており、“さりげなく演奏する”
ように指示されています。



 これは、中間部の最後の部分に当り、拍子は、
急速な 3/4 から、Allegro の 2/4 へ変わります。

 ブラームス自身が “Scherzo” と記した、楽章
冒頭のト短調の音楽が、再び現われるのです。




 次の[譜例 ]は、その “拍子の移行” が、巧みに行わ
れている箇所です。

 “Tempo primo” と記された 2/4拍子では、「それまでの
“1小節” が、? (四分音符) 1つに相当する」…ことが明らか
ですね。



 3/4拍子の “Presto” があまり速すぎると、“Tempo primo”
まで速くなってしまい、“最初のテンポ” に戻れません。 これ、
よくあることですが…。

 先ほどの音源は、この後すぐ、終ってしまいました。







 ちなみに、“アガ―テ音型” に含まれる “音程関係” が、
ここでも色々登場しています。

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 ところで、この “Tempo primo” とは、“最初のテンポで”…の
ことですね。 “a tempo” (元のテンポで) とは、区別しなければ
ならない場合が、よくあります。

 ただこの楽章では、「主なテンポは2種類しか出てこない」…
と言えるので、誤解の余地はありません。



 冒頭で指示された、そのテンポは、“Allegro non troppo”
(速すぎず) でした。

 “楽しい中間部”、そして、“もの悲しいスケルツォ”…。







 「それにしても遅すぎる。 まるで Andante じゃないか?」

 そう言われると、そんな気もします。 一緒に演奏してくれた
仲間たちも、ひょっとすると弾きにくかったのでしょうか…。

 でも出来れば、もう少しゆったり弾いてみたい気分でした。




 それより、録音を聴いてみると、私の装飾音 (モルデント) は
ほとんど鳴っていませんね。 かなり意識したつもりですが…。

 …ということは、弾き方、特に、音の出し方の効率が、これ
では不足していることになる…。

 さらえばさらうほど、色々な問題が顔を出してきます。




 あとは、“全員の音量バランス” ですね。

 これは、“二度ほど通すのが精一杯” だったので、
踏み込む余裕がありませんでした。



 “一時間半少々” という限られた範囲で、心に残る
ような体験をお互いが得るには、一体どうすればいい
のか? 単に技術的な問題を指摘しあうだけでなく…。

 …いつも苦心するところです。




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