ジュンク堂書店が丸井今井南館にオープンした。6年前くらいにジュンク堂の大阪本店を訪れた際、その品揃えのすばらしさと雰囲気の良さに感動した。今や亡きブックファーストの渋谷店や青山ブックセンターのような本州の品揃えのいい書店が札幌にもできればいいなと思っていたが、ようやくジュンク堂が北海道にも進出してきたのだ。
「図書館のような本屋」という広告コピーのように確かにすばらしい品揃えだ。文学全集の棚にバルザック全集やハロルド・ピンター全集がおいてあるのには驚いた。この前亡くなった加藤周一『日本文学史序説』もきちんと正面に向けて置かれている。高い棚に囲まれた各種売り場はマイナーな作家もレーベルもほぼ網羅されていて、その品揃えに圧倒される。ワンフロアの面積が広いので、8階まである池袋店のようにエスカレーターの往復が少ないのは楽である。雰囲気もとっても落ち着いて居心地がいい。
巨大な書店は札幌駅周辺に集中しているので、大通にこういう書店ができるのはとっても助かる。紀伊国屋は良くも悪くも教科書的な品揃えで、正直あまり面白いとは言い難かった。雑誌の休刊や売り上げ低下などは今に始まったことではないが、こういう巨大な書店ができて客が集うというのは、少なくともまだまだ社会は健全であろう。この本屋の誕生は全体的な業界の活性化と地域のリテラシー向上の役割も担っているのだ。
偶発的な本との出会いを求めるなら巨大書店がいい。リアルアマゾンのような感覚を楽しめる。それをそこそこのペースながらうまく行っていた書店が札幌弘栄堂書店の地下鉄店だったが、残念ながら7月に閉店してしまった。
ライバル店は今後どういう戦略を打ち出すのだろうか?
リーブルなにわは影響を受けるかもしれない。だが、駅からの利便性とコミックの品揃えではリーブルなにわの方がとっても便利だ。ジュンク堂はやや中心部から外れるためそこまで出向く必要がある。コミックを買うなら4階までエスカレーターで上がるよりも近くのアニメイトやとらのあなの方が近い。それにジュンク堂札幌店のコミックにはビニールのカバーが掛けられていなかったので立ち読みし放題だ。基本的にキレイな本を買いたいので、なるべくカバーを掛けて欲しいとは思う(カバーの是非は賛否両論ではある)。
財布をなくしたので書籍に限らず何を買うにも心が窮するが、それでも今回思いきって購入したのは星野智幸『ロンリー・ハーツ・キラー』と東浩紀+桜坂洋『キャラクターズ』である。他にも色々購入希望の本はあるが、財布紛失の心理的な影響がはげしく大きいので必要以上の買い物はしばらく控えたい。