L'Appréciation sentimentale

映画、文学、漫画、芸術、演劇、まちづくり、銭湯、北海道日本ハムファイターズなどに関する感想や考察、イベントなどのレポート

ドン底からの脱出

2007-07-13 23:45:46 | 日ハム

 6月は密かに精神的な危機に一時陥り、絶望的に苦しかった。最近になってようやく回復したが、治ったと思っていた扁桃腺の痛みが復活してしまった。そんな中で唯一の楽しみは北海道日本ハムファイターズの試合である。秀治氏やexit氏のおかげで札幌ドームに観戦しに行く機会も増えたのはとてもありがたい。先日のオリックス戦も札幌ドームに参戦してきた。移籍した木元が出場するとファイターズ側がやけに大きく盛り上がる。交流戦で阪神ファンが坪井に声援を送るのと同じ気持ちなのかもしれない。オリックス戦の楽しみが一つ増えた。

 4月に最下位だったファイターズも今や首位の独走態勢に入っている。打順も十分機能し、新人や中堅選手が躍進しているのがとても頼もしい。特に交流戦以降の小谷野栄一の活躍がすばらしい。今やすっかりブレイクして、ファイターズに欠かすことのできない戦力になった小谷野だが、去年は全く出場の機会がなかった。ファイターズ・プレスvol.7にその小谷野栄一のロングインタビューが掲載されている。FFFFFでも語っていたが、昨年彼はパニック障害を患い、打席を立とうとすると吐き気や眩暈がして野球ができなかった。日常生活すらまともに送るのが困難な状態が長く続いた、とのことだ。

 ドン底からはい上がった人間は強い。坪井も昨年オフに日ハムから戦力外通告を経て、再雇用された経緯がある。今季の坪井は打率3割を維持しており、スタメン、代打に大活躍である。ファイターズ・プレスに鶴岡慎也捕手が「苦しい思いをしないと絶対にうまくならない」とコメントしていた。「苦しみ」というのは人生に用意された一種の試練なのだ。それは人生の中で何度も訪れる。思えば日ハムも北海道に来る前は決して恵まれているとは言えなかった。それこそファン離れでドン底に限りなく近いチーム状態であった。今の北海道での盛り上がりは、そのドン底から復活した光溢れるチームの姿だ。

 苦しいときは、それに打ち勝つべくもがくしかない。それはとてつもなく孤独な闘いでもある。絶望を味わい、奮闘し努力した者だけがトンネルの出口に辿り着く。小谷野の打席を見ているとついそんなことを思ってしまう。それはとても勇気が湧いてくることだ。