北嶋誠のブログ

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農民連食品分析センターが食の安全を守って

2008年06月26日 18時40分34秒 | Weblog
 とどまることを知らない食品偽装事件や中国産餃子問題などで、国民の職の安全への関心は否が上にも高まっている。

 良いことなのか悪いことなのか判断しかねるが、今や農民連食品分析センターが引っ張りだこである。

 食品の安全性を調査するために、分析依頼が殺到しているのであれば良いことでもあるのだろうが、不安不信な食品が氾濫していることは決して良い事ではない。

 農民連食品分析センターは、農民連の初代の代表常任委員であった小林節夫さんの発案で設立された。建設から運営までの財源は、農民や消費者など一人ひとりの募金であり、文字通り私たち国民の施設である。そういう多くの人たちの理解や支持という背景があればこそ、小さな構えでも大きなことができるのだろう。大いに活用することを呼びかけたい。

 これまでにも、残留農薬、添加物、遺伝子組換え食品、重金属、微生物、古米とっ新米の判別etc、食品や農産物の分析研究を進めてきた。

 輸入食品のポストハーベスト残留農薬の分析では、例えば米国産果物や野菜から、殺虫剤、殺菌剤、成長抑制剤、防カビ剤などを検出。小麦からは発ガン性のある有機リン系農薬を検出するなど、安全性に問題が多いことを告発してきた。

 特にベビーフードや学校給食からの残留農薬検出は、乳児や育ち盛りの子ども達の食材であるだけにたいへん衝撃的であった。

 また中国産冷凍ホウレンソウに殺虫剤が混入していた問題では、農民連からの再三の指摘によって、輸入冷凍野菜は検査しないとしていた精阜を動かし、政府の検査結果でもパラチオン、ディルドリンなどの使用禁止農薬までもが検出され、とうとう冷凍ホウレンソウの輸入を一時ストップせざるを得ないまでになった。

 今年に入っての、中国産餃子事件については記憶に新しいところであるが、これまでの滑動実績により食品分析センターが真に市民権を得て、石黒昌孝所長や八田純人主任研究員が、連日のようにテレビなどのマスメディアに登場してコメントを求められた。

 これらの番組の中で際立ったことは、他の論評者が中国、輸入業者、政府への批判に終始しているのに対して、問題解決のためには食料自給率の向上と日本農業の再生が必要だと述べていることである。

 今月7日に開かれた茨城食県連の総会では石黒さんを、翌8日の茨城県西食県連の総会では八田さんをそれぞれ招いて講演を聴いて学習した。

 まだまだ輸入食品の危ない実態が知られていないだけに、初めて話を聴く参加者からは驚嘆の声が上がっていた。

 参加者から石黒所長に対して、「輸入食品の問題は判ったが、国産農産物の安全性はどうなのか」という趣旨の質問があった。当然のことだが、輸入食品の問題を暴露することだけでは始まらない。国内の生産者には大いに活用していただき、自らの生産物の安全性を証明することによって、消費者の信頼を高めているとの答弁があった。

 そもそもの分析センターの役割は、日本農業と消費者の健康を脅かしている輸入食品をチェックするだけではなく、国内農産物の安全性の証明、そして安全で健康な農産物の生産技術向上に役立てることにある。

 そしてその目的は、農産物輸入を制限すること、国内生産回復、持続可能な日本農業の採精で食料自給率を向上させること。消費者には、安全で新鮮でおいしい国産農産物の安定供給をしていくことにある。

 因みに石黒昌孝さんも私の尊敬する四老翁の一人である。かつて石黒さんは横浜税関職員であったが、全税関労組委員長として港の輸入食品置場けんがくを始めたり、全国食健連の結成にも貢献した。退職後は農民連食品分析センター所長として活躍中のことはご存知の通りである。

 憲法が規定する公務員が国民への奉仕者であるとするならば、石黒さんは在職中も退職後も一貫して誰よりも公務員らしい生き方をしてきた人と言える。そして元大蔵省役人とは思えない温厚さと腰の低さである。

 それに比して私は、日ごろ尊敬しているに相応しくない無礼な態度で接していたようにも思える。今後は改めたい。

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