10月19日、今年のいわき街中コンサートは晴天に恵まれた。
今年は、恒例の百里稲刈り交流会、阿見産直祭り、朝市まつり&収穫祭などでの演奏
がなかったが、米価大暴落対策要求やTPP反対運動の集会、許すな戦争をする国づく
り集会など、情勢に対応したタイムリーな演奏を行う機会を得た。
一方、恒例のステージで参加したのは、いわき街中コンサートである。
いわき雑魚塾の比佐さんから紹介されて参加するようになってから、今年で三回目の
出演である。昨年は大雨に見舞われ、最悪の環境のもとでの演奏とはなったが、復興支
援のイベントでもあり、いわき市や浜通りの被災者の思いに立てば、この程度の試練ご
ときは何するものぞの姿勢で臨んだ。
ただそれにしても、観衆が少ないことは、演奏意欲を損なうことには違いない。
希少価値のある観衆の内訳は、いわき雑魚塾、その応援団である山百合の会の皆さん
などであった。その他、ヒューマン・ファーマーズがかつてお世話になったことのある
いわき演劇鑑賞会の事務局長さんが、雨を避けてステージの置かれたっショッピングセ
ンターの中から聴いていてくれた。
そんな状況から一転して、今年の町コンは天候には恵まれた。会場は、これまでと違
って、市の中心街で、他に数か所のステージが近くにあったが、着席した客が多少いた
他、道路には人の流れもあった。
ここで、コンサートとして成立させるか、単なるイベントのアトラクションとして終
わってしまうのか、私たち自身の演奏如何が、それを左右する決め手となる。
会場となった特設ステージでのヒューマン・ファーマーズの出番は、最終の9番目で
あった。7番目までの出演者は、エレクトリックサウンドが主体野ロック系のチームが
続いていたので、歌とアコースティック楽器による表現者たるフォークソングチームと
は雲泥の差があったに違いない。
それでも、8番目にいわき雑魚塾が控えていたので、そのカラーとパワーで、一気に
フォークソングの世界に引き込んでいった。
大震災と原発事故をテーマに、時間オーバーの7曲を熱延してくれたために、その後
のわがチームの演奏へと繋ぎ易かった。
そして登場の、ヒューマン・ファーマーズの持ち時間は35分間。いわき雑魚塾との交
流を基にして生まれた「ふるさとを汚したのは誰」を皮切りに、情勢に照らして「米を
作って飯が食えねえ」などの百姓フォークを三曲ほど演奏。
次いで、昨年の田中正造没後100年に創作し、足尾鉱毒事件から水俣病、そして福島
原発事故に至るこの国の留まるところを知らぬ人災を告発する「いつの日か」(作詞
笠木透 作曲 北嶋誠)を演奏。
最後は、雑魚塾をはじめ、浜通りの友人たちの怒りと叫びを表現した「よみがえれ浜
通り」を、みんなで歌って締めくくった。
浜通り地方の、幾つかの地名が登場するこの歌に、足を止めて聞き入る人もいた。