ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

「ANAマイレージ」と「Edy」の交換-ポイント流通という仕掛け

2004年08月16日 | 貨幣、ポイント
先日書いた「『ポイント制』と『地域通貨』」に「ひろた」さんからコメントをもらっていたので、そのあたりのことを踏まえて、ANAマイレージとEdyとの交換がもつインパクトについて補足したいと思います。「ひろた」さんコメントありがとうございます。まぁ、タイトルが「ビールを飲みながら…」なんであまり気にしないでくださいね。

「ポイント制」と「地域通貨」-ポイント流通という仕掛け


ANAマイレージのEdyとの交換については、これまど通り「特典」としての意味がつよいのでは?ということだったのですが、現状からいうとおそらくそのとおりなのだと思います。おそらく当事者たちも「顧客囲い込みのため」といったくらいの意味しか考えてないのではないでしょうか。

Edyそのものも別に大蔵省が認めているものでもありませんし、円→Edyへの交換は可能ですが、逆は不可なりです。そういう意味では、Edyそのものが特定の店舗でのみ利用可能な「プリペイド方式のポイントプログラム」の一種だといっても構わないと思います。

事前に1000円で1000円相当の「ポイント」を購入し、Edy加盟店での商品の購入には「ポイント」で支払う、といった感じでしょうか。こういった仕組みは何も目新しいものではありません。高速道路を利用するために「ハイウェイカード」を購入する方は多いでしょうし(10000円で10500円相当のハイカを購入)、食堂などでのチャージもこれにあたるでしょう。

では何が違うのか。
通常の「プリペイド方式のポイントプログラム」との最大の違いは、Edyの場合、汎用性・交換可能性がはるかに大きいことが上げられるでしょう。

1万円でハイウェイカードを購入したからといって、近所の書店に持っていって本を売ってくれと言っても売ってくれないでしょうし、食堂でチャージしたからといってローソンで弁当を購入できるかというとできません(六本木ヒルズあたりだとわかりませんが)。「プリペイドカード」にしろ「ポイント」にしろ、通貨の代替として利用可能になるためにはそれが流通するための「インフラ」とそれを支えるための「信用」が必要となります。
単純にいうと、国家レベルで「インフラ」と「信用」のための制度を整備しているのが「国家通貨」だということですね。Edyはこの制度が特定の企業やサービスにとどまらず広範囲で整っており、様々な「サービス」や「商品」との交換可能性、様々な店舗での利用可能性が高いといえます。まぁ、もちろん「国家通貨」ほどではないですが。


ところでEdyは基本的に「プリペイド式のポイントプログラム」として説明しましたが、ANAマイレージのように何らかの商品やサービスを購入した際に付与される「ポイント」というのは「プリペイド方式」とは異なります。

「プリペイド方式」はいうまでもなく、事前にそれに相当する額のお金を支払っています。仮に10000円で10500円相当のポイントを購入したとしても、500円分は利子に相当すると考えれば、プリペイドカード発行者に10000円の収入が担保されるサービスです。

これに対してANAや一般的な小売店などのポイント制というのは、事後的にポイントを付与するのであり、商品やサービスの購入者に対して「割引券」を発行することに他なりません。「割引券」というと聞こえがいいですが、これは「次回来店時に『お金』を渡す」といっていることに他なりません。極端にいうと、ポイントだけで商品を購入されることもあり、その場合、小売店側がその商品の代金を負担することになります。にも関わらず、マツキヨに見られるようにキャンペーン的に「還元率2倍」というようなことが平然と行われていますが、自社内で閉じているため「お金」を渡しているという感覚が希薄なためでしょう。


ANAマイレージとEdyの連携で注意しなければならないのは、Edyが事前に相応のキャッシュの担保されているものであり、マイレージのような自社内で発行が自由になされるものとは性質が異なる、ということです。

マツキヨのように「ANAマイレージポイント2倍キャンペーン」といったものを実施した場合、ANA自社で閉じるポイント制であれば、まぁ、ただで飛行機に乗られたり、ANAの利益率が圧迫されるだけでしょうが、Edyと交換可能であるとするとEdyそのものの貨幣流通量が増加する(Edyという貨幣価値が下がる)ことになります。通常の貨幣であればインフレということになるのかも入れませんが、しかし一方で「円」と「Edy」の(片方)交換レートというのは一定であり、商品価格も変化しませんから、いたずらに「Edy」の発行量が増加するという状態になります。極端にいうとANAが勝手に「Edy」を発行した、という感じでしょうか。

実際には、Edyの利用規約やポイント発行時の経理処理などで様々な縛りがされるのでしょうが、今後、Edyが貨幣としての役割が増大していった時、このような1企業の発行するポイントが「貨幣」として利用されること=国家によらない貨幣の発行の可能性が開かれたことについては注意が必要なのではないかと思います。


1 コメント

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こんにちは (ひろた)
2004-08-16 19:12:26
なんだか、はちゃめちゃなコメントになってしまってすみませんでした。

Edyの汎用性が高いことから、確かに新しい流れを感じますよね。

携帯端末やWEB、非接触カードなどが普及する世の中ですから、地域性に縛られない「地域通貨」が誕生する素地も十分にありそうな気もします。



ポイント制の場合は顧客誘導やリピーターの育成になりますから、割引した金額以上の収益とか顧客獲得なんかを見込んでいるんでしょう。ですから、実際にはいたずらにEdyの貨幣価値が下がるということはなくて、ANA側が発行したポイント分を日本円に換算して支払うという形で補完するのではと思います。

「貨幣」の場合は、発行量を管理する仕組みや機関が必要になるのでしょうね。



私も勉強中ですので、とても興味深く読ませて頂きました。コメントのお返しは、お気になさらなくていいですよ。

私も、ビール片手に寄らせていただきますので~。

ではでは。
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