写真①:白壁の家が残る〈津屋崎千軒通り〉の町並み(右は明治創業の「豊村酒造」)
=福岡県福津市新町で、2005年8月12日午後4時撮影
我々の誇りある町並みは消されぬ
吉村青春
ここが〈津屋崎千軒〉の入り口だ
宮地岳線が廃されても
我々の誇りある町並みは消されぬ
ここが〈津屋崎千軒〉だ
西鉄が宮地岳線津屋崎駅を廃止しても
我々は誇りある町並みを残していく
ここ津屋崎は
昔から
人の行き交う道にあり
人と物が集まる〈海の駅〉だった
奈良の都から大宰府に下った
大伴坂上郎女は
天平のその昔
ここ津屋崎の海沿いを走る
大宰府から都へ通じる古代の官道を
勝浦の名児山を越え
都へと戻る時に
恋の歌を詠った
平安のその昔
中国から宋の貿易船が入港していた
ここ津屋崎には
綱首と呼ばれる
中国の貿易商人も住んでいた
そして
江戸のその昔
ここ津屋崎は
九州一の塩田が拓かれ
黒田藩の交易港とされ
筑前最大の港となった
五十集船が塩荷や米を博多へ運び
金物・荒物を帰り荷に載せ
商家が並ぶ町並みは
〈津屋崎千軒〉の名で呼ばれ
明治まで栄えた港町だった
ここが〈津屋崎千軒〉だ
日本の国が
福岡県が
福津市が
西鉄が
宮地岳線津屋崎駅を消しても
誇りある町並みは我々が残していく
我々の町並みは消えず
我々と友や仲間の手で
子や孫の代へ残していく
ここ〈津屋崎千軒〉は
古い歴史と文化を伝える
我々の誇りある町並みだ
我々はこの町並みを残していく
〈津屋崎千軒〉の町並みは消されぬ
〔注〕
* 大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)
* 名児山(『万葉集』巻第六では「なごやま」と読ませている。なちごやま)
* 綱首(ごうしゅ)
* 五十集船(いさばぶね)
写真②:西鉄「津屋崎駅」(右側が駅舎)ホームへ入る電車
=福津市天神町で、2006年7月15日午前11時10分撮影
◇「津屋崎千軒新聞」創刊号無料配布のお知らせ
「津屋崎千軒 海とまちなみの会」(略称・「海とまちなみの会」)が発行した「津屋崎千軒新聞」創刊号「春」号を23日から福津市の「津屋崎千軒民俗館『藍の家』」(℡0940-52-0605=営業時間10:00~16:00)をはじめ、市内各所で無料配布しています。町並みの歴史や文化と、粋な店、幻の逸品などを特集し、〈津屋崎千軒〉通りの地図に、歴史的な建物の懐かしい写真が撮れる場所や古民家をイラスト入りで紹介した〈津屋崎千軒懐かし博物館マップ〉付きです。残り部数が少なくなり、29日までに増刷の予定です。
▽ご入会案内=「海とまちなみの会」は、〈津屋崎千軒〉通りの活性化を目指し、福津市津屋崎と市内外の男女約30人が07年2月16日設立しました。江戸時代から港町として栄え、〈津屋崎千軒〉と呼ばれた古い町並みの保存と、海辺の自然保護を図ります。ご入会(年会費千円)申し込みは、会長の吉村勝利(〒811-3304 福岡県福津市津屋崎369-14。E-mail:yosi3019@sage.ocn.ne.jp)が、お受けしています。◇例会案内=4月12日(木)19時、『藍の家』。
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