ルーマニア・ランニングライフ★Romania Running Life★

ダーリンはルーマニア人、マラソンシューズ゛と共に過ごす首都ブカレストでの日々。東欧の神秘ルーマニアを探索中+ラン遠征。

熱中症でDNF、北海道マラソン伴走記

2010-08-29 | 日本でランニング
数年に一度の猛暑となった今年の夏inニッポン。梅雨末期の豪雨を経て、梅雨があければ猛暑日&熱帯夜の連続。とたんに熱中症で倒れる人が相次ぎ、救急搬送もフル稼働。「熱中症に注意」「水分補給を」、これだけ言われていて、気をつけていたつもりでも熱中症に。
 
高温多湿ならほかの都市に引けをとることの無い大阪、ここでトレーニングをしてきて、暑さ対策もいろいろ講じたつもりで臨んだ北海道マラソン。が、その当日はこの時期にすればこれまた記録に残る猛暑日となった札幌。
 


今回の私は、ブラインドランナー・Sモットさんの伴走。彼女とフルマラソンを走るのはこれで4度目。過去の3度はすべてサブ伴走がいて、メイン伴走者に不調があれば交代も可能と言う、幅を持たせた伴走。が、今回は伴走者は私一人だけ。30℃を越える日中(北海道マラソンは12時10分スタート)のフルマラソン、伴走者といえど、いや、伴走者だからこそ何があっても走り続けなければならない~最高気温予想は30℃。
 
午前中から薄曇り空、12時過ぎ、スタート直前のアナウンスでは気温27℃。太陽が雲から顔を覗かせれば気温上昇は必至、「頼むから、薄曇のままでいて」、何度もお天道さまを見上げて祈るような気持ち。
 
Sモットさんの北海道マラソン挑戦は2度目、前回(ゴールの制限時間4時間のとき)はタイムオーバーでリタイア、暑さでやられてペースダウンしながら20キロで終わってしまったと言います。その後ゴールの制限時間が5時間になり、冬場のマラソンの彼女の走力からすれば、十分に完走できるはず。
 
が、スタート直後からわたし達はむっとした暑さを感じました。幅広い道路をいっせいに進んでいくランナー達の熱気なのか、上から落ちてきている紫外線(紫外線は曇り空でも地上に達しています)なのか。1キロ6分超のペースでも息が上がり、汗がへばりついた感じ。
 
8000人のランナーが出走するので、エイドステーションでの混雑は避けられない~混乱を回避するため、5キロのエイドはとらずに、ウエストポーチに入れたボトルから補給する作戦。道幅いっぱいに広がっているランナー、給水テーブルが15台以上あるとはいえ、路上に散らばった紙コップを踏みながら二人でテーブルに近づいていくことは接触等かなりの危険が予想できるのです。
 
10キロを過ぎてややランナーがばらけて、ようやくわたしたちも給水テーブルから水を取ることが出来るように。でも、相前後した給水ポイントで、見知らぬ一般ランナーが「はい、どうぞ」と水をとってきてわたし達の前に差し出してくれたり、また、Sモットさんの北海道のラン仲間が同じように水やスポンジを取ってくれたり、と、のべ10人以上のランナーのご厚意をありがたく頂戴しました。
 
時おり太陽も差すようになって、影がはっきりと出来るようになってきて、なるべく道路の端を走り、少しでも街路樹の陰を進むことが出来るようコースを取りながら、Sモットさんの足取りはしっかりしています。1キロ当たり6分10秒以内くらいのペース。2.5キロごとの給水を取りに行くときは、歩いたりするのでペースダウンは致し方ないです、7分を超えるラップに。
 
それでも中間点に近づくあたりから、わたしたちは少しずつ周りのランナーを追い越しながら走るようになってきました。暑さでばてている人なのか、すでに歩いている人が何人も。急に立ち止まったりする人をやり過ごしながら、Sモットさんはしっかり走っています。
 
衰えない足取りに、この調子で行けば、後半少しペースが落ちても完走は出来そうだ、と予想したのだけれど・・・。
 
「ちょっと右手の指がしびれてきました、ロープを持つ手を反対にしてください。」~左の聴覚が無いSモットさんと走るとき、伴走者は常に彼女の右側に付きます、つまり彼女が右手で持ったロープを伴走者が左手で持つと言うこと。位置を入れ替えると、伴走者の言葉の声が格段に聞き取りにくくなるのです。
 
しばらくそんなふうにして走ったけれど、左手で持つロープが慣れないのか、次のエイドで止まったあと、また定位置に戻りました。が、「左手もしびれてきました。」
 
25.7キロの折り返し地点も、走りながら折り返し。が、その直後、「ちょっと歩いていいですか?足の指もしびれてきて・・・」、数歩歩いただけで「あ・・・」、わたしの左肩に寄りかかってきました。緊急事態発生。
 
コース上で立ち止まったわたし達を、ちょうど巡回中の救護班のメンバーが見つけてくれ、道路わきへ誘導されました。めまいは無い、というSモットさんでしたが、両脚がしびれてきて、ついに座り込むことに。
 
給水ボトルを差し出されたけれど、Sモットさんは余り受け付けられないようす、そのうちにどんどん両手指&両足のしびれが強くなってきたみたい。この間に救護スタッフは救護車を要請、しびれと戦いながらもSモットさんは、「いま、何キロ地点ですか?いま、何時間たっていますか?」、ちょうどスタートから3時間経過、残りの距離は14キロ。「1時間に7キロで行けば・・・。」~完走に意欲を見せたけれど、手足指はしびれから引きつりになってきて、救護車の到着で途中棄権を余儀なくされることに。
 
手指のしびれを訴え始めてから、わたしの肩に寄りかかってくるまでものの10分、多くみても15分以内の出来事でした。最寄りの救護所まで搬送され、ストレッチャーに載ったままテント内へ。このときすでにSモットさんの手指はかなりの引きつり具合。血圧や体温測定などを受けているうち、みるみるうちに手指は開かなくなり、かたくグーを握り締めた状態に。わたしが手指を開こうとするとかなりの力でグーを握りしめているのがわかります。氷を身体の各所にあてられ、マッサージと点滴開始。
 
救護所のスタッフによると、この日気温は32℃まで上がり、湿度も70%。かんかん照りではなかったけれど、実に高温多湿のマラソンに。「北海道は気温が30℃以上になっても湿度が少なくてさわやかなはず。」と思い込んで走っていたわたしたち、気付かぬうちに蝕まれていたのです。
 
Sモットさんの状態は、おそらく熱けいれん、これ、わたしも経験したことのある熱中症の一症状。水分と塩分の不足が主原因。しばらく休んで足りていなかったものを補給すると回復するもの。
 
中間地点近くにある救護所から救護車でゴール地点まで送ってもらったら、ちょうど5時間で最終ランナーがゴールするところでした。「ただいまの○○君の完走を持って北海道マラソンを終了します」のようなアナウンスが聞こえてきました~最終ランナーは名前を呼んでもらえるんだ、とこんなところで認識。
 
胸のナンバーカードをはずしてゴール会場に入るように言われたわたしたち、ゴール地点近くを通りかかるとき、完走者にすぐにかけてあげられるようスタッフがたくさんの完走メダルを腕に下げています、メダルがカチャカチャ音を立てているのを、私はSモットさんに言葉で説明しました~「あの音は、完走メダルの音。」
 
わかっているつもりでも防ぎきれなかった熱中症、Sモットさんの三度めのチャレンジはあるのかな?~「そのうちに、と言っていると、日本はどんどん温暖化が進み、北海道ももっと暑いのが当たり前になってしまいますよね~。」
 
暑いさなかにトレーニングをし、暑い中でのマラソンだけれど、せっかく取り組んだことだから完走はして欲しい、北海道マラソン伴走記でした。


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4 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
お疲れ様でした。 (ダイブランナー)
2010-09-07 22:16:51
北海道マラソン伴走お疲れ様でした。

私のブログ仲間や、所属するネット上の走友会(ERCきんき)からも数名参加しましたが、
この暑さと多湿で、記録よりも完走出来てやっとだった、という声が多かったです。

水分と共に、塩分も大事ですね。
私も気をつけないと。
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ダイブランナーさんへ (マドモワゼル・ヒロコ)
2010-09-08 13:23:00
私はどちらかと言うと、夏の暑さには強いほうで、夏のマラソンでもほかのランナーさんが言うよりも苦にならなくて走ることが多いのですが、北海道マラソンはなにせ午後のマラソン。

いままで参加していた夏の市民マラソンは、暑さに配慮して早朝スタートとかが多かったので、あの暑さのなかの出走はわたしにも初体験でした。

今回はうまくしのげたけれど、次も同じ方法でうまく行くとは限らない、熱中症の怖さを目の当たりにしました。

モスクワでは、気候の変化についていけるか、心配です。
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Unknown (アイロンマン)
2010-09-08 13:46:42
Sモットさん、残念だったね!
熱中症の怖さを改めて感じました。

私も水不足かミネラル不足でよく痙攣を起こします。
先日、薦められてCramp stop(New Zealand製)を購入。
一度試してみようと思っています。
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アイロンマンさんへ (マドモワゼル・ヒロコ)
2010-09-09 12:53:07
>Cramp stop
ズバリそのもの、名前からして効きそうですね~、ぜひ使用感を教えてください!

大阪はまだまだ暑くて、このサプリメント、必要なんですね~
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