日本からローマへ来た弟に、電子辞書を持ってきてもらいました。
私がイタリアに来たのとほぼ同じ頃、私の親友の一人はスペインへ行きました。彼女はすでに日本へ帰国しておりますが、技術通訳など語学を使った仕事に携わることが多いため、時々ブラッシュアップのために、スペインの語学学校へ通ったりしています。つまりかなりの努力家。彼女がずいぶん前から私に勧めていたのが、イタリア語辞書が収納された電子辞書を手に入れることだったのです。
現地に住み始めてある程度時間が経つと、生活する分には支障をきたさないくらいの語学力には達します。ところが、そのレベルに到達すると私のような怠け者は、面倒くさくなって先へ進まないのです。ここが達人になるか、あるいはいつまでも外国人のままでいるかのボーダーラインなんですね。
みなさんは、常に正確な単語で意思を伝えられますか。日本から離れてだいぶ時間が経ってしまっていますから、私はすでに日本語でも正確な単語で、自分の言いたいことを伝えられなくなってきています。自分の言いたいことを表現するのにもっと的確な単語があるのに、それが口に出てこないのです。もちろん語彙力で母国語より格段劣っているイタリア語では、それが顕著に出ます。言いたいことを別の言葉で表現し、イタリア人が私のいいたい単語を当てる、みたいな。例えば「偽善(IPOCRISIA)」という単語が出てこないとします。そうすると「本当はそうでないのに、いい人のふりをすること」とか言って、相手にその単語を言わせるわけです。ところが語学上達のために重要なのは、的確な単語を使えるかどうかなのだと、5ヶ国語を話す私の友人が言っておりました。だいたいのニュアンスを伝えるのではダメ、わからない時はぜったいに辞書を引くこと、と言っていました。
電子辞書の中にはイタリア語辞書だけが収納されているのではなく、英語や日本語など多くの辞書が入っているので、特に外国に住んでいる人たちにとっては、かなり役立つだろうと予測できます。またこれだけ小さいとバックに入れて持ち運べますから、辞書を使う機会もぐーんと増え、わからないままあいまいにしておいて忘れてしまう回数が減るのではないかと、ひそかに期待しています。
インターネットで調べていて候補に挙がったのは、『CASIO EX-word XD-SP7400』と『SEIKO SR-E6000IT』の2機種です。両社ともに収録コンテンツは非常に魅力的で、例えばCASIOですと『日経パソコン用語辞典』『時事英単語帳』『日経ヘルスサプリメント』など、またSEIKOは『ビジネス英語の最強フレーズ』『説得できる英文Eメール200の鉄則』『キーワードで引く英文ビジネスレター事典』など、興味を引くような内容。国語辞典や百科事典ではあまり差がありませんし、どちらか決定するのに考慮したのは、私にとっては一番重要なイタリア語の辞書の充実度のみ。
下にイタリア語と英語辞書の内容のみ列記します。
CASIO XD-SP7400
<イタリア語>
小学館『伊和中辞典(75,000語)』
小学館『和伊中辞典(40,000語)』
オックスフォード『イタリア語(伊英・英伊)辞典 (300,000語)』
<英 語>
オックスフォード『現代英英辞典(183,500語)』
大修館『ジーニアス英和大辞典 (255,000語)』
小学館『プログレッシブ和英中辞典(/90,000語)』
研究社『カタカナで引くスペリング辞典(67,000語)』
大修館『英語類語辞典(21,000語)』
SEIKO SR-E6000IT
<イタリア語>
小学館『伊和中辞典(75,000語)』
小学館『和伊中辞典(40,000語)』
ハーバーコリンズ『Easy Learning Italian Dictionary』
(伊英22,000項目/英伊19,000項目)
<英 語>
オックスフォード『現代英英辞典(183,500語)』
小学館『ユースプログレッシブ英和辞典(85,000項目)』
小学館『プログレッシブ和英中辞典(90,000項目)』
日外アソシエーツ『ビジネス技術実用英和大辞典(83,300用例)』
日外アソシエーツ『ビジネス技術実用和英大辞典(85,500用例)』
研究社『カタカナで引くスペリング辞典(60,000語)』
伊和・和伊辞典は小学館で両社とも同じ。決定のカギになったのは、CASIOのオックスフォード『イタリア語辞典』。SEIKOのハーバーコリンズ『Easy Learning Italian Dictionary』では比較の対象になりません。またCASIOはPCとUSB接続で、また直接データカードを差込み、後から必要な辞書を本体メモリーに追加、入れ替えできるのも魅力的です。私の場合、例えば忘却の彼方となっているフランス語をもう一度やり直そうなどと殊勝な気持ちになったとしたら、すでに購入済みの電子辞書にフランス語辞典(例:プチ・ロワイヤル仏和+和仏=7,329円)もインストールできるということです。
唯一、非常に残念だったのは、どの会社の電子辞書にも伊伊辞典が入っていないこと。同じCASIOでも、西西辞典や独独辞典は追加コンテンツとして選択できるようになっています。やっぱり日本では、イタリア語の需要が少ないということなのでしょうか。ベースとしてではなくオプショナルで良いので、是非今後伊伊辞典がインストールできるようになって欲しいものです。
問題のお値段ですが、約30,000円。ユーロに換算すると安いお買い物かも。
以上、電子辞書のレポートです。まだ使い始めたばかりなので、あまり使用感はわかりませんが、確実に紙の辞書を引くよりは時間が短縮できますし、何より面倒くさくない。一度に伊和、和伊、カタカナ語、百科事典など同時に検索できますし、案外使用頻度は高いかもしれません。このブログ記事を書いている最中も、何度か使用しました。ただ、やっぱり記憶するためには見るだけではダメですよね、書かないと。その辺、これを購入したから語彙力があがるなど、もちろんそんなにことは簡単に運ばないようです。
日々是精進・・・。