前回からのお話のつづきです。
アグリツーリズモで知り合った、サルデーニャからいらしていたご夫婦の奥さんが、このワンさんにFELICETTA(フェリチェッタ)という臨時の名前をつけました。『幸せもの』とでも訳しましょうか。
私も長い間日本の実家で犬を飼っていますし、本当に犬が大好きなのでたくさんの犬との出会いがありましたが、それにしてもこのワンさんはおもしろかった。
ずる賢いのです
たぶんジャックラッセルの雑種 いい目をしてます
車の中ではまったく吠えず、静かに後部座席の足元に座り、シートの上に上がろうともしませんでした。山道や舗装のされていない道を走ったため車の振動が激しく心配しましたが、多少びっくりしただけで最後までおとなしく旅を終えたのです。こんな犬は今まで見たことがありません。
アグリツーリズモには夏休み中の子供学校のような団体がいて、30人くらいの子供たちのおもちゃにされて約3時間くらいその状況に静かに耐えていましたが、子供たちが飽きて離れていくと、ここぞとばかりに探索を開始。敷地内を勝手にお散歩です。あんなにか弱い、いい子だったのに、この豹変ぶりは何なの!? ちなみに一度子供たちの手を離れてからは、二度と彼らに近寄らなかったことをお知らせしておきます。
もみくちゃ状態のフェリチェッタ
夜遅く私たちが食堂棟から自分たちの部屋のある棟に帰るとき、馬小屋のそばで彼女をやっと発見。無理矢理連れていくと、どうしても部屋に入りたがりません。まだまだ彼女の小さな冒険は続いていたようです。結局心配でしたがそのまま外に放っておきました。この子は何となく自分の状況を把握しているというか、まったく新しい環境に尻込みしていないというか、とにかくたくましい生命力をみなぎらせていたのです。
翌日早めに目が覚めてすぐに部屋の外へ出ると、私たちの宿泊棟のすぐそばの小高い丘に、野良猫用のエサがたっぷり用意され運ばれてきました。すると昨晩からまったく姿を見せなかったフェリチェッタがいきなり丘の上に立っているではありませんか。よそ者は彼女であるにも関わらず、群がる野良猫たちを威嚇し追い払い、誰よりも先にエサにありついている勇姿を遠くから見て、私はほんのちょっとうれしくなりました。
私とレオも朝食を取り、フェリチェッタを探すために敷地内を散策していると、馬小屋のそばでカサコソとわらがこすれるようなかすかな音が聞こえました。振り向くと、高く積み上げられた牧草の底に穴を掘って、自分で作った寝床の中で尻尾を振っている彼女がいたのです。実はここで一晩を過ごしたのですね。まさに「すごいでしょ~、私。自分で作ったのよ!」というような、得意気な表情。わらの色と彼女の色が同化してしまっていたため、またこの子はまったく吠えるということを拒否している犬だったので、わらの音がしなかったら私たちは全く気付きませんでした。
この彼女の表情を見て、少し涙が出ました。ああ、この子はきっと大丈夫だな、と思いましたね。
同化している・・・ 首輪はすでにはずされました
捨て犬フェリチェッタのうわさは、瞬く間にこのアグリツーリズモ関係者と宿泊している多くの人たちの間に広まり・・・
拾われてきた翌日にはすでに里親が見つかりました。
オーナーの親戚の女性が犬を探していて、話を聞いてすぐに欲しいとおっしゃってくださったのです。私が感心したのは、この女性はフェリチェッタを見る前から彼女の里親になることを決めたこと。どんな犬か、美しいのか不細工なのか、それともいい子なのか悪い子なのか、吟味せずに引き取ることを決めたこの人は、きっと本当の犬好きなのだと確信しました。
結局私たちの方が彼女より先にアグリツーリズモを後にせねばならず、彼女の新しい家族がどんな人たちなのか知ることはできませんでしたが、前出のサルデーニャの奥さまが、ローマへ戻っていた私たちにフェリチェッタが引き取られていったことをメールで教えてくれました。
「新しいお母さんと出て行きました。フェリチェッタはとても元気で、あなたたちによろしく って言ってたわ。」
私たちがアグリツーリズモを後にする瞬間 お見送りのフェリチェッタ
もう会うこともないのかな
ああ、あの山道からここへつれてきてよかった(涙)助かってくれて本当によかった~。本当はローマへ連れて行きたくってかなり後ろ髪を引かれたのですが、やっぱり彼女の幸せを考えたらこれが一番いい方法だったのではないかと・・・。新しいお母さんがいい人だといいのですが。
私たちの短いバカンスは終わりましたが、フェリチェッタが巻き起こしたこの事件で、私にとっては一生忘れられない夏となりました。
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アグリツーリズモで知り合った、サルデーニャからいらしていたご夫婦の奥さんが、このワンさんにFELICETTA(フェリチェッタ)という臨時の名前をつけました。『幸せもの』とでも訳しましょうか。
私も長い間日本の実家で犬を飼っていますし、本当に犬が大好きなのでたくさんの犬との出会いがありましたが、それにしてもこのワンさんはおもしろかった。
ずる賢いのです
たぶんジャックラッセルの雑種 いい目をしてます
車の中ではまったく吠えず、静かに後部座席の足元に座り、シートの上に上がろうともしませんでした。山道や舗装のされていない道を走ったため車の振動が激しく心配しましたが、多少びっくりしただけで最後までおとなしく旅を終えたのです。こんな犬は今まで見たことがありません。
アグリツーリズモには夏休み中の子供学校のような団体がいて、30人くらいの子供たちのおもちゃにされて約3時間くらいその状況に静かに耐えていましたが、子供たちが飽きて離れていくと、ここぞとばかりに探索を開始。敷地内を勝手にお散歩です。あんなにか弱い、いい子だったのに、この豹変ぶりは何なの!? ちなみに一度子供たちの手を離れてからは、二度と彼らに近寄らなかったことをお知らせしておきます。
もみくちゃ状態のフェリチェッタ
夜遅く私たちが食堂棟から自分たちの部屋のある棟に帰るとき、馬小屋のそばで彼女をやっと発見。無理矢理連れていくと、どうしても部屋に入りたがりません。まだまだ彼女の小さな冒険は続いていたようです。結局心配でしたがそのまま外に放っておきました。この子は何となく自分の状況を把握しているというか、まったく新しい環境に尻込みしていないというか、とにかくたくましい生命力をみなぎらせていたのです。
翌日早めに目が覚めてすぐに部屋の外へ出ると、私たちの宿泊棟のすぐそばの小高い丘に、野良猫用のエサがたっぷり用意され運ばれてきました。すると昨晩からまったく姿を見せなかったフェリチェッタがいきなり丘の上に立っているではありませんか。よそ者は彼女であるにも関わらず、群がる野良猫たちを威嚇し追い払い、誰よりも先にエサにありついている勇姿を遠くから見て、私はほんのちょっとうれしくなりました。
私とレオも朝食を取り、フェリチェッタを探すために敷地内を散策していると、馬小屋のそばでカサコソとわらがこすれるようなかすかな音が聞こえました。振り向くと、高く積み上げられた牧草の底に穴を掘って、自分で作った寝床の中で尻尾を振っている彼女がいたのです。実はここで一晩を過ごしたのですね。まさに「すごいでしょ~、私。自分で作ったのよ!」というような、得意気な表情。わらの色と彼女の色が同化してしまっていたため、またこの子はまったく吠えるということを拒否している犬だったので、わらの音がしなかったら私たちは全く気付きませんでした。
この彼女の表情を見て、少し涙が出ました。ああ、この子はきっと大丈夫だな、と思いましたね。
同化している・・・ 首輪はすでにはずされました
捨て犬フェリチェッタのうわさは、瞬く間にこのアグリツーリズモ関係者と宿泊している多くの人たちの間に広まり・・・
拾われてきた翌日にはすでに里親が見つかりました。
オーナーの親戚の女性が犬を探していて、話を聞いてすぐに欲しいとおっしゃってくださったのです。私が感心したのは、この女性はフェリチェッタを見る前から彼女の里親になることを決めたこと。どんな犬か、美しいのか不細工なのか、それともいい子なのか悪い子なのか、吟味せずに引き取ることを決めたこの人は、きっと本当の犬好きなのだと確信しました。
結局私たちの方が彼女より先にアグリツーリズモを後にせねばならず、彼女の新しい家族がどんな人たちなのか知ることはできませんでしたが、前出のサルデーニャの奥さまが、ローマへ戻っていた私たちにフェリチェッタが引き取られていったことをメールで教えてくれました。
「新しいお母さんと出て行きました。フェリチェッタはとても元気で、あなたたちによろしく って言ってたわ。」
私たちがアグリツーリズモを後にする瞬間 お見送りのフェリチェッタ
もう会うこともないのかな
ああ、あの山道からここへつれてきてよかった(涙)助かってくれて本当によかった~。本当はローマへ連れて行きたくってかなり後ろ髪を引かれたのですが、やっぱり彼女の幸せを考えたらこれが一番いい方法だったのではないかと・・・。新しいお母さんがいい人だといいのですが。
私たちの短いバカンスは終わりましたが、フェリチェッタが巻き起こしたこの事件で、私にとっては一生忘れられない夏となりました。
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