監督 ドゥチオ・テッサリ
キャスト アラン・ドロン、リチャード・コンテ、カルラ・グラヴィーナ、マルク・ポレル、アントン・ディフリング、ニコレッタ・マキャヴェリ、グイド・アルベルティ、ウンベルト・オルシーニ、エリカ・ブラン、ロサルバ・ネリ、エットレ・マンニ
1973年 イタリア、フランス
ジャンル:サスペンス
【あらすじ】
世界を股にかける巨大マフィア組織の幹部グストより、殺し屋として厚い信頼を置かれるトニー。息子カルロスの行く末を思う彼は、この仕事から足を洗うことを決意する。しかし、組織はこれを認めずトニーの抹殺を命じるも、彼らが車に仕掛けた爆弾は、最愛の妻と息子の命を奪ってしまった。復讐を誓ったトニーは、ひとりまたひとりと、組織の幹部たちを仕留めてゆく……。
【感想】
同じような映画のワンシーンでもアラン・ドロンがいるとそれだけで引き立って見えてしまう不思議。
殺し屋から足を洗おうとした主人公トニーが、組織から命を狙われ誤って妻と息子が殺されてしまう。トニーは復讐を決意する。
基本はフィルム・ノワールなので仲間が激しく拷問されたり女性でも容赦なく殴られるような残忍なシーンが途中にあり、結末は虚しさが残るものになっています。その関係なのか途中から妻と子を殺されたことへの復讐という目的がすっかり薄れてしまっていたように感じました。墓参り以降、一度も奥さんと子供を振り返るシーンがなかったのが大きいです。後味の悪さや不完全燃焼なのはフィルム・ノワールの特性なのでそれほど気にしてませんが、「目的」の部分はうやむやにして欲しくなかったです。
淡々とした進行の中に刺激の強いシーンがいくつも用意されています。妻と子供が乗った車の爆破や仲間への拷問・暴力シーンなどです。前者は「ゴットファーザー」と全く同じ演出で年代も同時期なのが気になってしまいます。本作の方を先に鑑賞したという人の方が圧倒的に少ないので私自身も目新しさは感じませんでした。後者に関しても最近のバイオレンス映画を鑑賞したことがあるのであれば目を背けてしまうほどのものではないはずです。カーチェイスはCGを一切用いないことによる本物の迫力がありました。
フィルム・ノワールとしてはオーソドックスな作りながらもアラン・ドロンのオーラで最後まで見せてくれる作品でした。
お薦め度:★★★★★★☆☆☆☆
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