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夜の大捜査線

2008-04-21 00:32:53 | ★★★★★★★★☆☆
監督 ノーマン・ジュイソン
キャスト ロッド・スタイガー、シドニー・ポワチエ、ウォーレン・オーツ、リー・グラント、スコット・ウィルソン
1967年 アメリカ
ジャンル:ドラマ、サスペンス

【あらすじ】
偏見と差別の根強い南部、ミシシッピの田舎町で殺人事件が発生し、通り掛かりの黒人青年バージルの身柄が拘束された。しかし、実は彼はフィラデルフィアの敏腕刑事で、皮肉にも助っ人として事件解決に手を貸すことになる……。

【感想】
冴えているというか、キレがあると言ったらいいのか、とにかく名作と呼ばれるだけのことはあると思います。もちろん、ただの犯人探しのサスペンスではありません。人種差別、友情、南北格差などの様々な要素が絡み合って味わい深い作品となっています。

最初に本作が公開された1967年の時代背景について簡単に触れておきます。この時代、既に北部では比較的身分平等で主人公のような有能な黒人が殺人捜査官等の高い専門性を必要とされる職に就いていたそうです。その一方で現場となっている南部地方ではまだ黒人は肉体労働専門の奴隷同然の扱いでした。つまり優秀な黒人は皆、職を求めて北部へ移り住んでいったのです。その結果として、南北で大きな格差が生まれることになったとのこと。(南部の捜査のレベルの低さが際立っているのもこの辺りの事情が大きく関係しているのでしょう)

上記のような時代背景がある中で、この映画でも主人公のような優秀な黒人の警官に対してはじめは酷い偏見の目が向けられていました。印象的だったのは白人経営者が主人公が警察という身分であるにもかかわらず、平気で殴りかかったり、強烈なセリフを吐き捨てたり、その後、白人集団に襲われそうになったりと、これらはいずれもとても作り話には見えないのです。冒頭で警察内で出来事から人種差別を徹底的に描いているおかげで、実にリアルです。

事件が解決して2人が別れの挨拶をするときも、ハリウッドお得意の全て解決、万事ハッピーエンドではありません。二人の間には確かな友情は芽生えたが、それでもやはり人種の壁が完全に崩れ去ったとは言えない程度に描いています。こういう演出は最近ほとんどないと思います。シドニー・ポワチエの優秀な男の演技も素晴らしく作品を盛り上げていました。

唯一、残念だったのは、サスペンス部の決め手となる展開である女性の妊娠が少し唐突に感じられたことです。あと例の如く邦題が意味不明。原題は「In the Heat of the Night」で全く無関係だし、映画の雰囲気を表しているとも思えません。
長くなってしまったので最後にしますが、もう一つ忘れてはいけないのは、レイ・チャールズの歌です。こちらも良すぎです。

お薦め度:★★★★★★★★☆☆


夜の大捜査線

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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