牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

黒毛和種の毛色は黒ではない

2008-04-27 01:22:32 | 牛の成長



黒毛和種の生時の毛色は、写真のように黒色ではない。生時は全ての子牛がほぼ同じような毛色である。
この毛色は、生後半年も経過すると、黒ぽくなったり、赤茶けた色になったり次第に変化する。
子牛市場に出る頃になれば、真っ黒ではなく茶色がかった黒色で、微妙な違いがある。
肥育が進むとともに、牛の毛色は再び黒色が強くなり、ほぼ似た色に収まる。
育成時に毛色の違いがでる理由は、全てではないが、遺伝的に赤茶ける系統がある。逆に黒の強い系統もある。
例えば、第5隼福号の遺伝子を有する産子には、赤茶けるものが見られ、第7糸桜号のは黒が強いとされている。
また、飼料添加剤として販売されている海草や貝類から生成されたアルギットなどを与えるなど配合飼料の内容でも毛色に変化が生じ、特に影響を受けるのは、太陽光線である。屋外に放し飼いしている子牛は、総体的に赤茶けてくる。これも全てが揃うわけではないことから、紫外線の影響を受ける度合いが個々にちがうのだろうと予想している。
ところで、以前枝肉取引が行われていない頃は、牛の資質が肉質を判定するのに重要な審査項目であった。資質の項目にある被毛では、毛が細く柔らかく、毛色は真っ黒く無いものとされていた。真っ黒い牛は、いわゆる「さし」の入り具合が悪いという見方がなされてきた。ところが、第7糸桜号の出現でそれは完全に否定されることとなった。また、鳥取系統の牛は総じて 黒の強い毛色で、当時は差ほど肉質は良とされていなかったが、その後鹿児島県で体型の大柄な鳥取系統を基軸に肉質の良好な種雄牛が産出され、真っ黒のだめイメージが払拭された。
子牛市場では、同一品種だろうかと思えるほど、毛色が微妙に異なって見える。
購買者の好みにより、茶っぽい牛を優先的に競り落とすケースもある。毎年のことだから、おそらく良い結果を確かめているのであろう。

写真下は、運動場付きの飼育場で飼われている生後10ヵ月令の去勢牛群であるが、毛色はまちまちである。



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