とね日記

理数系ネタ、パソコン、フランス語の話が中心。
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一般相対性理論入門 ブラックホール探査: テイラー、ホイーラー

2019年05月06日 18時28分00秒 | 天文、宇宙
一般相対性理論入門 ブラックホール探査: テイラー、ホイーラー

内容紹介:
本書『ブラックホール探査』は一般相対論とブラックホールをかき分けて直接的に速く突き進む。たくさんのトピックスを含むが、そのすべてが唯一のゴールに向かっている。
ゴール:読者に力を!地球やブラックホール付近の曲がった時空についての質問に答えられるようになり、それらの計算ができるような手段を我々は提供する。トピックスは、微積分と特殊相対論の初歩的な知識から始められ、積極的に関われるものに限った。一般相対論で展開される手段はあなたが探求を続けようとするときに役立つ。

2004年12月15日刊行、347ページ。
(原書は2000年7月12日刊行、352ページ。原書第2版2016年11月6日刊行、400ページ)

著者について:
エドウィン・F・テイラー: June 22, 1931 -
Wikipedia
Homepage
Movie1 Movie2

ジョン・アーチボルド・ホイーラー: July 9, 1911 – April 13, 2008
ウィキペディア Wikipedia
Movie1 Movie2

訳者について:
牧野伸義
1966年生まれ。1994年、広島大学大学院理学研究科博士課程修了。現在、大分工業高等専門学校一般科理系教授。理学博士。


理数系書籍のレビュー記事は本書で410冊目。

4月10日に「史上初!ブラックホールを撮影し、その存在を証明」として画像が公開されたわけだが、世間の関心は3日ともたなかった。しかし、科学ファンの関心は2週間くらい続いたと思う。

公開された画像がほぼ円形のドーナツ型であるのを見て不思議に思った。物体はブラックホールを中心にして平面上を回転するはずだが、光子はどうなのだろう?平面上を回転するのか、それとも四方八方から来る光子はブラックホールを覆い尽くすように回転するのか?

どちらにしても、回転軸のちょうど真上から見た形の円環が撮影されたというのは偶然なのか、必然なのかがよく理解できていなかった。けれども、この動画を見て納得したのだ。この説明であれば、どの方向からでも円環が見えるわけである。

ブラックホールシャドウのメカニズム解説映像 / Photon paths around a black hole


そして黒い部分の半径(斜影半径)はブラックホール本体半径(シュバルツシルト半径)のおよそ2.6倍だということもこの動画で理解した。その後「EMANの物理学」をお書きになっている広江さんが、なぜそうなるのかを「ブラックホールの見え方」のページのように計算され、より理解が深まった。天文学の最前線、スパコンで解かなければならない数値相対論の計算だと思っていたことが大学の学部レベルの数学で解けてしまうのはとても面白い。「およそ2.6倍」とは「3√3/2倍」のことだったのだ。

そのような計算をされた広江さんが、今回紹介する「一般相対性理論入門 ブラックホール探査: テイラー、ホイーラー」をお買い求めになったのをツイッターで知り、つられて買ってしまったのが本書を読むことになったきっかけである。

表紙には土星が描かれているが、その上に描かれているのは土星の手前にブラックホールがくると、土星はゆがんでこのように見えるというCGである。映画『インターステラー(2014)』で描かれたブラックホールのCGとは別物だ。


本書は次の点で、通常の一般相対性理論の教科書とはまったく違うユニークな専門書なのだ。次のような特長がある。

- テンソルを使ったリーマン幾何学はまったく解説されていない。
- それどころかアインシュタイン方程式(重力場の方程式)も書かれていない。
- アインシュタイン方程式から導出されるブラックホールの解析解、「計量」を天下りに与え、解説と計算をするスタイル。
- 大学教養課程の微積分と特殊相対性理論、計量に関する知識があれば理解できる。
- 数式をふんだんに使って計算方法を学ぶための専門書だ。けれども語り口はポピュラーサイエンス本のようにくだけている。
- 解析的に解けない部分はパソコンで積分計算し、グラフ化、視覚化して直観的に理解できるようにしている。
- 原書が書かれた2000年頃のパソコンでグラフ化、視覚化しているので、シンプルなイメージで見ることができる。
- 章やプロジェクトがひとつのまとまったテーマで構成されている。
- 各テーマは独立しているので、直前までの章を読んでいなくても学ぶことができる。
- 各テーマに関して、必要に応じてニュートン力学的視点、特殊相対論的視点、一般相対論的視点を比較しながら解説している。
- ニュートン力学的な考え方にとらわれがちな「生徒」を設定し、問答形式で議論を進めるので理解が深まる。この生徒はいささか言葉遣いが乱暴で、物覚えが悪い。
- 考察されるのは主に回転しない「シュワルツシルト・ブラックホール」と回転する「カー・ブラックホール」である。
- カー・ブラックホールのエルゴ球やその物理について詳しく解説されている。
- ホーキング放射などブラックホールの量子的なことはコラム程度の記述にとどめてある。
- ブラックホールに自由落下する視点、外部の球殻に留まる視点、無限遠から観測する視点の3つの視点から考察し、計算を示すので理解が深まる。
- ブラックホールの地平面の中でのことも解説と計算で示している。特にシュワルツシルト・ブラックホールの中に入るとどうなって死に至るかが詳しく書かれている。
- カー・ブラックホールからエネルギーを取り出すしくみを理解することができる。
- ブラックホール周辺の天体(降着円盤やジェット)などに関しては、ほとんど解説されていない。
- 「ブラックホールと時空の歪み: キップ・S. ソーン」の本と相性がよい。この本の記述はたびたび引用される。
- 副題どおり「ブラックホール探査」をしているような気分になれる。
- 一般相対論がニュートン力学の「修正」ではなく、根本的に違うものだということがよく理解できる。
- 解説とグラフや図版が豊富なので、数式がまったく理解できなくても楽しめ、それなりに理解することができる。


章立ては次のとおり。

第1章:高速の世界
プロジェクトA (GPS全地球測位システム)
第2章:曲がった世界
プロジェクトB ブラックホールの内側
第3章:落下中の世界
プロジェクトC 水星の近日点移動
第4章:軌道上の世界
プロジェクトD アインシュタインリング
第5章:見える世界
プロジェクトE 太陽付近で遅くなる光
プロジェクトF 自転するブラックホール
プロジェクトG フリードマン宇宙

個別のテーマに関して解説すると、ブログ記事にはとても書ききれないので、印象に残った図版やグラフを紹介しておこう。

シュワルツシルト・ブラックホールに飛び込む光線の軌道


白丸の位置の観測者から見える光線がたどってきた軌道(2重にだぶることもある。)


シュワルツシルト・ブラックホールに飛び込む天体の軌道の種類。ニュートン力学のケプラー軌道とは全く異なる。


シュワルツシルト・ブラックホールにおいて、ニュートン力学と一般相対論のポテンシャルの違いを示したグラフ


シュワルツシルト・ブラックホールに自由落下する観測者と球殻に留まる観測者から見える天球の範囲の違い


シュワルツシルト・ブラックホールに飛び込む観測者が地平面から入り、死に至るまでに経験すること
拡大


高速回転するカー・ブラックホールに自由落下させた石がたどる軌跡


シュワルツシルト・ブラックホールとカー・ブラックホールに自由落下する物体の落下速度の比較



ブラックホールの周りの時空、物体や光の運動の有り様を想像しようすると、身についてしまったニュートン力学の感覚、思考経験がものすごく邪魔になる上に、ニュートン力学を無視して考えのがとても難しいことを実感することができる。見えるままの姿のものが、そこに存在しているわけではないことを肝に銘じておきたい。

たとえば、回転するカー・ブラックホールの周りの時空は引きずられて渦を巻くのだが、周囲の光線も時空と一緒に引きずられてリングのような形になってしまう。これは先月公表されたリングの画像とは違う状況だ。カー・ブラックホールの周りを回る光線は地球には届かないからだ。また、回転するカー・ブラックホールに垂直に自由落下する石の軌跡。引きずられ渦巻く時空の中で垂直落下しているから、石の角運動量はゼロのままである。


翻訳のもとになった原書は初版の第6刷。その後2016年に第2版が刊行され、原書のページ数は352ページから400ページと大幅に増えた。第2版は残念ながら入手困難だ。初版のKindle版は2023年2月23日に発売された。第2版のKindle版の発売が待ち望まれる。

Exploring Black Holes: Introduction to General Relativity (1st Edition)」(2000) (Kindle Edition)
Exploring Black Holes: Introduction to General Relativity (2nd Edition)」(2016)
 

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追記: 原書第2版「Exploring Black Holes, Second Edition」は、著者のテイラー博士のHPからPDFファイルが無料公開されていることがわかりました。目次を見ると構成がまったく変わり、全面改訂と加筆がされています。2016年2月に発表された「重力波の直接観測に成功!」を受けて、第16章に「重力波」の章が追記されました。

Exploring Black Holes, Second Edition
http://www.eftaylor.com/exploringblackholes/

章別のPDFファイルをEBH2e_YYYYMMDD.pdfとして1つにまとめたファイル:
2019年4月8日時点の最終版: ダウンロード
2020年8月17日時点の最終版: ダウンロード
2023年6月3日時点の最終版: ダウンロード

インターネットからオンラインで直接読むことができる。章別のPDFファイルをまとめたEBH2e.pdfの最新版に近いPDFファイルも、このページからダウンロードできる。これは実際に出版された 2018年5月1日の版だ。(その後も章は常に更新されていることに注意。)
https://archive.org/details/exploringblackholes/mode/2up

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参考:ブラックホールの種類

シュワルツシルト解(電荷を持たず、角運動量も持たない解):解説
ライスナー・ノルドシュトロム解(電荷を持ち、角運動量を持たない解):解説
カー解(電荷を持たず、角運動量を持つ解):解説
カー・ニューマン解(電荷を持ち、角運動量も持つ解):解説
ワイル解(球対称ではなく、軸対称の解。回転はしていない。):解説
冨松・佐藤解(ワイル解の回転バージョン。特異点が事象の地平面の外に剥き出しになるという特徴あり。T-S解、トミマツ・サトウ解とも表記される。):論文

参考:「ブラックホールの種類


関連記事:

一般相対論の世界を探る―重力波と数値相対論:柴田大
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/50d12fda1c0e59132d6f5f2e73d9e302

ブラックホールと時空の歪み: キップ・S. ソーン
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/76795b03e7dc89cd08dac67dc25b73ab

重力理論 Gravitation-古典力学から相対性理論まで、時空の幾何学から宇宙の構造へ
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f838b8f6c2554000933187df89e08013

重力(上)(下) アインシュタインの一般相対性理論入門: ジェームズ・B・ハートル
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c195a49914a852b1c73049bb7b9743e0

一般相対性理論に挑戦しよう!
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ea7ad9292ce01ad4abbbc8c98f3303d0

趣味で相対論(EMANの物理学):感想
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/5fe7d774a955f3bb9d8270f6113e453f

ブラックホールと時空の方程式:15歳からの一般相対論:小林晋平
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f4401f2ce79451070b7b9c089f304315

発売情報:一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する: 石井俊全
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1699a1c22477c269c68c02091d0ca049

史上初!ブラックホールを撮影し、その存在を証明
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a3bdd0676cf497a9731a729d3a0da5a4

巨大ブラックホールの謎 宇宙最大の「時空の穴」に迫る: 本間希樹
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c847e0b9662e20720b9e6acf5cd4f370

ゼロからわかるブラックホール: 大須賀健
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d3f08c2ddb0f6168b502dac4a70f3a7e

ホーキング、宇宙を語る:スティーヴン・W. ホーキング
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1e3dbc9b3d10d4a9b6518b6b32429e22

ホーキング、ブラックホールを語る:BBCリース講義
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/6fb5c3578db1c26382c831983fd44e04

ブラックホール戦争:レオナルド・サスキンド
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c8ad22de70df7be8e51a066ca8354106


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一般相対性理論入門 ブラックホール探査: テイラー、ホイーラー


まえがき

第1章:高速の世界
1.1 特殊相対性理論
1.2 腕時計時間
1.3 固有距離
1.4 極値的加齢の原理
1.5 特殊相対論におけるエネルギー
1.6 特殊相対論における運動量
1.7 相対論における質量
1.8 自由浮遊系は局所的である
1.9 観測者
1.10 まとめ
1.11 特殊相対論での読み物
1.12 引用文献
第1章の練習問題

第2章:曲がった世界
2.1 「距離」は幾何学を決める
2.2 基準系は二次的なもの
2.3 自由浮遊系
2.4 r 座標:換算円周
2.5 重力赤方偏移
2.6 長さの単位での質量
2.7 面内の衛星の運動
2.8 平坦時空の計量
2.9 曲がった時空のシュワルツシルト計量
2.10 シュワルツシルト計量の空間部分の描写
2.11 遠方時間
2.12 3 つの座標系
2.13 まとめ
2.14 参照文献
第2章の練習問題

プロジェクトA (GPS全地球測位システム)
A.1 GPS の動作
A.2 定常時計
A.3 時計速度
A.4 最後の計算
A.5 近似の正当化
A.6 まとめ
A.7 参照文献と謝辞

第3章:落下中の世界
3.1 極値的加齢の原理
3.2 反逆する石と従順なコンピュータ
3.3 曲がったシュワルツシルト幾何におけるエネルギー
3.4 無限遠で測ったエネルギー
3.5 無限遠で静止状態からの落下
3.6 球殻観測者が測るエネルギー
3.7 一線を越えてブラックホールに入る
3.8 まとめ
3.9 参照文献
第3章の練習問題

プロジェクトB ブラックホールの内側
B.1 飛び込み予定者へのインタビュー
B.2 雨粒系
B.3 地平線の内側では光よりも速いのか? 討論しよう
B.4 雨粒系の計量
B.5 地平線の内側への一方通行
B.6 光の半径方向の軌跡
B.7 慈悲深い終焉?
B.8 地平線の内側での粒子の軌跡
B.9 最後の眺め
B.10 追加プロジェクト
B.11 参照文献

第4章:軌道上の世界
4.1 ステップまたは軌道
4.2 極値的加齢から得られるエネルギーと角運動量
4.3 角運動量の性質
4.4 軌道の予測
4.5 「ナイフエッジ」軌道
4.6 ニュートン力学の有効ポテンシャル
4.7 シュワルツシュルト計量の有効ポテンシャル
4.8 まとめ
4.9 参照文献と謝辞
第4章の練習問題

プロジェクトC 水星の近日点移動
C.1 うれしい興奮
C.2 線形調和振動子
C.3 水星の半径方向の調和振動:ニュートン
C.4 軌道上の水星の角速度:ニュートン
C.5 有効ポテンシャル:アインシュタイン
C.6 水星の半径方向の調和振動:アインシュタイン
C.7 軌道上の角速度:アインシュタイン
C.8 近日点移動の予言
C.9 観測との比較
C.10 内側の惑星の近日点移動
C.11 時間の標準のチェック
C.12 参照文献と謝辞

第5章:見える世界
5.1 光の運動
5.2 光の速さの意味I
5.3 軌道運動する光
5.4 光の速さの意味II
5.5 光の軌道の予想
5.6 光の有効ポテンシャル
5.7 光の運動のシュワルツシルト地図
5.8 シュワルツシルト地図vs 球殻の眺望
5.9 星を見上げると
5.10 絶えることのない疑問
5.11 落下者の見る眺め
5.12 まとめ
5.13 参照文献と資料提供
第5章の練習問題

プロジェクトD アインシュタインリング
D.1 「君は疑ってたのかい」
D.2 ニュートン的な光の湾曲
D.3 一般相対論的解析の準備
D.4 近似
D.5 一般相対論の結果
D.6 観測との比較
D.7 アインシュタインリングの計算
D.8 マイクロレンズ効果
D.9 アインシュタインドーナッツ
D.10 ダイヤモンドネックレス
D.11 参照文献と謝辞

プロジェクトE 太陽付近で遅くなる光
E.1 始めに
E.2 光路の近似
E.3 半径方向の区間
E.4 方位角軌道の区間
E.5 予測と観測の比較
E.6 参照文献と謝辞

プロジェクトF 自転するブラックホール
F.1 初めに
F.2 ブラックホールの角運動量
F.3 赤道面でのカー計量
F.4 最大角運動量のカー計量
F.5 定常限界
F.6 光の半径方向と接方向の運動
F.7 大量の結果、最大極限カーブラックホール
F.8 落下:「まっすぐに螺旋運動」
F.9 リングライダー
F.10 負のエネルギー:ペンローズ過程
F.11 クエーサーパワー
F.12 「実用的な」ペンローズ過程
F.13 挑戦
F.14 自転するブラックホールの基本的な文献
F.15 さらなる参照図書と謝辞

プロジェクトG フリードマン宇宙
G.1 生涯最大の誤り
G.2 2 次元の円上の1 次元の生き物
G.3 4 次元気球上の3 次元の我々
G.4 宇宙モデルの計量
G.5 閉じたフリードマン宇宙モデルの時間発展
G.6 開いた宇宙モデルと平坦な宇宙モデル
G.7 閉じた宇宙モデルの単純化
G.8 ビッグバンを見る
G.9 参照文献と謝辞

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11 コメント

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Exploring Black Holes, Second Edition (welmarsh)
2019-05-07 00:04:53
pdfが公開されていました。
第2版ハードコピーは今はないようですね。

http://www.eftaylor.com/exploringblackholes/
Re: Exploring Black Holes, Second Edition (とね)
2019-05-07 00:16:25
welmarsh様

気が付きませんでした。貴重な情報を教えてくださり、ありがとうございました。記事本文に追記させていただきました。
PDFファイルを1つのファイルに合体させてからiPadに入れようと思います。
テンソル (hirota)
2019-05-07 13:11:35
テンソルが便利すぎるから考えもしなかったけど、やるもんですねー。
Re: テンソル (とね)
2019-05-07 14:35:20
hirotaさんへ

そうなんです。テンソルがでてこないユニークな本です。
原書第2版が無料公開されているので、雰囲気はおわかりになると思います。見やすいようにPDFをひとつにまとめたものをダウンロードできるようにしておきました。
ローレンツ対称性 (ひゃま)
2019-05-11 02:48:59
この本はおもしろそうですね、一般相対論にはあまり興味ないのですが、読んでみたくなりました。レビューみたら、あまり翻訳がよくないらしいのですが、どうなんでしょう?

BHシャドウがなにかは興味あるんですが、時空が一体というのは、実際とは違うのでしょうでしょうか? なんてGW中に論文書いちゃいました。

時空の対称性=ローレンツ不変が正しいなら、地表で発振する時計の周波数を地表の観測者が観測した場合と、地上で発振する時計の周波数を地上の観測者が観測した場合は、同じに観測されないといけない。 光子が重力ポテンシャルを脱出する際に、エネルギーを失い光速度不変( c = f λ )により赤方偏移が起きるという仕組みである。 しかし実際は図2のとおり、上の観測者からみても下の観測者からみても、下の発振周波数が低く上の発振周波数が高く観測され、真空中で光子はエネルギーを変化させることはない。 ローレンツ不変を仮定して一般相対論の宇宙項を脱着しながら観測結果に対して辻褄合わせすることはできるが、本当に宇宙膨張は時空一体で起こっているのか?という見方も変わってくる。



Re: ローレンツ対称性 (とね)
2019-05-11 11:16:25
ひゃまさんへ

翻訳はいわゆる「直訳調」ですが、それほど読みにくいというわけではありません。原文の意味は正確に訳されています。

> BHシャドウがなにかは興味あるんですが、時空が一体というのは、実際とは違うのでしょうでしょうか?

BHの周辺は時空が恐ろしく強く湾曲しているので、「時空」という文脈で通常でてくるミンコフスキー時空、特殊相対論のようなイメージとはかけはなれてしまいますね。特殊相対論は局所的な理論ですし、ブラックホールや宇宙全体、宇宙膨張は一般相対論でとらえる大域的な理論なので時空がイメージしにくいものです。
光速が変化する時空一体 (ひゃま)
2019-05-12 13:24:27
光速が変化する時空一体ってなんですか?

特殊相対論を一般化すると、

一般相対論においてはもはや「光速度一定」は原理ではないのだった。
https://eman-physics.net/relativity/light_speed.html

光速が変化する時空一体はなんなの?ってことですが、とねさんはわかりますか?

一般相対性理論は特殊相対性理論をより普遍的、一般化したもので、 特殊相対性理論は一般相対性理論に包含される。以後特殊相対性理論や一般相対性理論をあわせて簡単に相対論と呼ぶ。相対論は一言でいえば、それは「時空」の物理学である。
http://umdb.um.u-tokyo.ac.jp/DKankoub/Publish_db/2006jiku_design/satou.html
Re: 光速が変化する時空一体 (とね)
2019-05-12 14:38:02
ひゃまさんへ

「光速が変化する時空一体」という表現はわかりにくいし、誤解を受けますね。

特殊相対論でも一般相対論でも、局所的な立場から見れば真空中での光速は一定です。そして時空として存在します。

しかし、一般相対論では大域的に現象を観察することが多いので、たとえばブラックホールに飛び込んでいく光線を地球から観測するようなことを考えるわけです。このとき時空から時間を切り離して空間と時間にわけた前提で考えますよね。
すると事象の地平面に近くなるにつれて、地球からその光線の刻む時計を見ると遅くなり、地平面に届くまでに時間は停止したように見えます。しかし光線と一緒に進んでいる観測者から見れば地平面に近づいていっても時間の進みは一定のままです。

ですから一般相対論を語る文脈で「光速が変化する」というのはブラックホールに突入する光線の時間の進み方が遅れるので、光速が遅くなるように見えるということを意味しています。このとき時空のことはひとまず忘れて「空間と時間」に分けてとらえているわけです。

もし一般相対論で「光速が変化する時空一体」をイメージしたいのであれば、空間3次元を1次元にまとめて横が1次元の空間軸、縦が1次元の時間軸を想定すればよいでしょう。そして縦横に広がるメッシュ(網)の宇宙をイメージします。宇宙に存在する天体の質量によって天体のまわりの空間(横)方向は縮み、時間(縦方向)は伸びます。時間の進みが遅くなるのですから、その場所の光速は遅くなって見えます。「光速が変化する時空一体」はこのような理解のしかたでよいと思います。
他のアプローチ (ひゃま)
2019-05-12 15:31:43
とねさんは計量的時空のことをおっしゃっているのかと思いますが、

光速と固有時間の進み方が比例して観測者からみて一定、これを基準とする光速度が299,792,458m/sである話と、実際の非対称世界におけて運動や波動のスピードが幾らであるかは別の話だ。

って論文なんですが、この本を読めば、わかりますかね?
Re: 他のアプローチ (とね)
2019-05-12 15:35:08
ひゃまさんへ

はい、計量的時空の観点から解説していました。

> って論文なんですが、この本を読めば、わかりますかね?

はい、この本の第2章までを読めばおわかりになると思います。

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