東海地方では昨夜2月28日に「開運何でも鑑定団」で頼山陽・書の千字文がびっくり
評価額が提示されました。
「千字文」(せんじもん)
4文字熟語X250句=合計1,000文字になります。(四言・250句・千字の古詩)
同じ漢字はありません。
1,000文字が全部異なる漢字で構成されています。
岩波文庫の解説では
中国の周興嗣(5世紀前後)が作成したとされています。
文字を学ぶ初歩的教科書のようだとされていますが、結構難しい熟語が多いです。
良く知られている易い熟語では
「夫唱婦随」「墨悲絲染」など極めて少ないです。
内容的には「天地玄黄」(天の色は黒く、地の色は黄色であり)から始まり
人間を取り巻く環境としての自然の記述から、次第に人の生き方まで及んでいます。
250番目の句は「焉哉乎也」で終わります。
この最後の句は実質的な概念でなく文の勢いや主観的判断を示す、とあります。
詳しくは岩波文庫などで検索ください。
内容的には儒家の経書に基づいた語句、「老子」「荘子」など道家の著書から採った
成語や故事、など幅広い句で構成されています。
千字文は古来より様々な書家がその作品を残しています。
最も有名なのは智永(王羲之の7代の孫といわれる)で、王羲之の千字文を手本に
800本を臨書されたと伝えられていますが、ほとんどが伝存していないとされています。
日本に千字文が伝えられた歴史では奈良・平城京出土の木簡(木の短冊の如き)に千字文が
残されています。
また、伝空海筆千字文断簡、伝小野道風筆千字文断簡が陽明文庫蔵になっています。
更に先の頼山陽のほか市河米庵、日下部鳴鶴、西川春洞、中村不折など様々な有名な方が
千字文の書を残しています。
また、新井白石(1657-1725)は10歳前後の幼少のころ毎日、千字文を書いていたと
されています。
(春日井市道風記念館の文献による)
先に記しましたように「千字文」は主に漢字の学習に、「論語」はその教えを
学ぶ方が多いことは周知の如くです。
小生は篆刻作品で平成15年秋から千字文を制作開始し、平成23年春に完成しました。
毎週1個(顆といいますが)制作を自分への課題とし、納得できない作品は再度制作、
7年半で合計250顆を完成したことになります。
篆刻の門を叩いて一度は千字文を刻してみたい、拙作ながら小さな足跡を、と
自己満足の世界です。
現在の体力、気力では再度の挑戦は「もう、結構です!」
サイズは2.5cm四方の石材です。
千字文のテキストは沢山あり、篆書体、楷書、行書、隷書など10体千字文、5体千字文
など出版されています。
写真は小生蔵書の一部です。