瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

2017年、クリスマスには歌を歌おう♪その12

2018年01月01日 23時47分57秒 | クリスマス
ハッピーニューイヤーーー♪♪――タイトルは2017年のままでも、遂に明けたわ2018年!
2018年の初日の出に貴方は何を願ったかしら?
…寝坊したから何も願ってない?
いけないわ~新年の初めから、そういう怠惰な生活してちゃ!
十二夜の間しか活躍しないメリーなんか超夜型人間で、夕日が沈むとともに起き、朝日が昇るとともに寝るんだから。
「少年&青年漫画に登場するクリスマス・シーン」第12夜目、新しい年の幕は、この男のメスで切り開いて貰いましょう――「ブラック・ジャック(BLACK JACK)」!

「ブラック・ジャック」は秋田書店が発行する週刊少年チャンピオンに、1979年1月15日~1983年10月14日号にかけて不定期連載された、手塚治虫氏の代表作。
医療漫画の先駆けになった作品で、今でもスーパー・ドクターの代名詞的に、「ブラック・ジャック」の名前が使われたりするわ。
また、医療漫画に限らず、他漫画家作品やドラマにまで、「ブラック・ジャック」にインスパイアされた様なキャラが、今でも度々登場するわ…例を挙げれば「ONE PIECE」のドクトリーヌくれはとか、テレビ朝日放送のドクターXとかね。

継ぎ接ぎの顔に白黒の髪、夏でも黒コートを手放さない天才外科医「ブラック・ジャック」。
医師免許を持たず、何処の病院にも属さないアウトローな医師だが、手術の腕は超一流。
ミイラだろうが宇宙人だろうが手術してしまう神業で、成功すれば高額の料金を徴収する。
本名は「間黒男(はざま・くろお)」と言うが、世間は彼の事を「ブラック・ジャック」と呼ぶ。

およそクリスマスに似つかわしくないヒーローに思うでしょ?
でも実は在るのよ…今夜紹介するのは、秋田書店発行の週刊少年チャンピオンコミックス6巻に収録されている、「ブラック・クイーン」よ!

女医の「桑田このみ」は難手術を次々こなすと評判の一方、患者の患部を眉一つ動かさずに切り刻む、冷酷なドクターと揶揄されてもいる。
手術を成功させる為なら、患者の腕だろうが脚だろうが、犠牲にする事も厭わない…その思い切りの良さ故に、女版ブラック・ジャックという意味で、「ブラック・クイーン」の異名を付けられてしまう。

そんな彼女にも、将来結婚を誓い合う恋人が居た。
クリスマスの1週間前、レストランでのディナーの席で、このみは恋人のロックから、結婚したら医師の仕事を辞めるように頼まれる。
病院を訪ねたロックは、このみへの陰口を耳にした。
美しいこのみの、おぞましい仕事振りを聞いた彼は、医師としての彼女に嫌気が差したのだ。
「『ブラック・ジャック』って冷酷なメスの鬼が居るんだってね。
 君はそんな男の女版に例えられてるんだよ」
他人に何を言われたって気にしない…けど恋人の彼にまで、自分の誇りをかけた仕事を否定されるなんて…!
激しい怒りと悲しみに襲われたこのみは、食事の途中でテーブルを立ってしまう。
恋人のロックと喧嘩別れしたこのみは、梯子酒の末に入ったバーで、自分の仇名の元である男、「ブラック・ジャック」と偶然出会った。
片隅で独り酒を飲むブラック・ジャックに、悪酔いしていたこのみは馴れ馴れしく握手と会話を求める。
「あなたって冷酷でクールでメスの鬼で人でなしだと思われてるんですって?
 私も同類よ!!」
初対面の彼女は見るからに自棄酒あおって泥酔し切っている…ブラック・ジャックが「手術のミスでも有ったのかね?」と訊ねると、彼女は小馬鹿にするようにケラケラと笑った。
「何言ってんのよー、産まれて一度だってミスした事無いんだから!!」
私、失敗しないので(違)――と豪語した彼女は、呆気にとられる店主とブラック・ジャックを置いて、店を出て行ってしまった。

それから間も無く、このみが勤務する病院内に、彼女の恋人の噂が拡がった。
医師や看護婦の間で「あんな冷酷な女じゃ、男が直ぐに逃げ出すだろう」と囁かれていたそこへ、このみの恋人ロックが、工事場でクレーンに挟まれ重傷を負ったとの連絡が入る。
このみの目の前が真っ暗になった――しかし気丈な彼女は、彼の命を救う手術を、自身が受持つ事を決意する。
だがX線写真を見たこのみは天を仰いだ――骨が砕けている上に、血管が滅茶苦茶、神経も切れている…!
とても整復は出来ない、切断してしまう他は無いと、同院に勤務する医師達は匙を投げた。
周囲は「ブラック・クイーン」が恋人の身体でもズバッと斬れるか、野次馬気分で見詰めている。
「切れない…私には切断出来ない、どうしたらいいの…?」、絶望からくずおれるこのみ…そこへブラック・ジャックが彼女に会いにやって来た。
「明日はイブですよ…クリスマス・プレゼントを持って来た。ジャックからクイーンへ、それから…」と言って、コートの裏ポケットから手紙を取り出そうとした彼だが、彼女の顔色が蒼白な事に気付き、手を止める。
このみは、ブラック・ジャックに尋ねた。
「あなたにもし恋人がお在りで、その恋人の命に関わる時、あなたは遠慮無く手でも脚でも、お切りになる?」
「切りますね」
「恋人が身体障害者になっても?」
「私は医者ですよ。医者の診断に恋人もイカの頭も有りませんな」
「そうね…フフフ…やっぱりあなた冷静な方ね」
膠も無く答えるブラック・ジャックに、このみは「自分はこの人にはなれない」事を思い知る。
自分は「ブラック・クイーン」なんかじゃない…ただの女…このみの中から、手術する意欲が消失した。
「先生…医者って独りぼっちで寂しいものですわね」

…そうね、医者は患者の病気や怪我を治療するのが仕事で…為す事全ての責任を負わなきゃならないんだもの…そのメスに他人の命と一生が懸かってると思えば重いわ…。
もし失敗したとして…医者の存在意義が問われる事になるんだもの。

患者がこのみの恋人と知り、その様子から手術は無理と悟るや、ブラック・ジャックは彼女を睡眠薬で眠らせてしまう。
その隙に、彼は神業のメス捌きで、手脚を切り落とす事無く、手術を完了した。

次の日の朝、このみが起きるとブラック・ジャックの姿は既に見えず、彼女の恋人は五体満足で寝台に眠らせられていた。
ブラック・ジャックの出現に全く気付かずに居た院内の医師達は、この奇跡的な手術をこのみ一人の手で行ったのかと驚愕する。
「切らずに治されたなんて信じられません!」
「奇跡だって皆話し合ってた所ですよ」
「奇跡と言えば、今日はクリスマス・イブでしょう」
「患者にとっては脚が贈り物になったんですねェ!」
「私じゃないわ、誰が…オペをやったか知ってるわ…」
無事に生還した恋人を抱く、このみの目から涙が溢れる。
この得難い贈り物への感謝を、彼女は神では無く、ブラック・ジャックにした。

街に流れるジングル・ベルの調べ…一人きりで通りを歩くブラック・ジャックは、このみに渡しそびれた「ジャックからクイーンへ」の手紙を、ビリビリに破り棄てるのだった。


…つまりアレね?ブラック・ジャックが失恋したって話なのね?
ちぇんちぇ~にはピノコちゃんという奥さんが居るじゃないの!
浮気は駄目らわさ!
クールなイメージのブラック・ジャックが、ラブレター渡そうとして、あっさり失恋するってのがレアで面白いわね。

さて…今回最後のクリスマス・ソングを紹介するわ、ラストワンは勿論これ!――「We Wish You A Merry Christmas」!
16世紀のイングランド西部で歌われていたっていう、伝統的なクリスマス・キャロル。
歌詞は複数のパターンが在るの。
今回はこちらを参考にしてね。

12月21日から今日まで、十二夜お届けして来たメリーのクリスマス話は、今夜でお仕舞い。
今回を振り返ってメリーが感じるのは、少年漫画でクリスマスが描かれる場合、何時もの作品のテイストと異なる話になりがちって事。
主役より脇役が活躍したり、主役が出ずにゲストが活躍したり、主役が本来の仕事(?)をしなかったり、話そのものが番外編っぽかったり…クリスマスの持つ「特別」なイメージがそうさせるのかしら?
2018年度のメリーのクリスマス話は、「少女漫画&女性漫画に登場するクリスマス・シーン」を紹介予定よ。
今度はどんな傾向が見えて来るかしら…?

今回もクリスマスから新年までのお付き合い有難う!
街にクリスマス・ソングが響く頃、メリーはきっとここへやって来る。
最後のクリスマス・ソングに乗って、一先ずのお別れよ!
また次回のクリスマスに会いましょう♪



【We Wish You A Merry Christmas(クリスマスおめでとう)】




We wish you a merry Christmas♪
We wish you a merry Christmas♪
We wish you a merry Christmas♪
And a happy New Year♪

We wish you a merry Christmas♪
We wish you a merry Christmas♪
We wish you a merry Christmas♪
And a happy New Year♪

Good tidings we bring to you and your kin♪
Good tidings for Christmas and a happy New Year♪

Now bring us some figgy pudding♪
Now bring us some figgy pudding♪
Now bring us some figgy pudding♪
And a cup of good cheer♪

We won't go until we get some♪
We won't go until we get some♪
We won't go until we get some♪
So bring it right here♪


We wish you a merry Christmas♪
We wish you a merry Christmas♪
We wish you a merry Christmas♪
And a happy New Year♪

Good tidings we bring to you and your kin♪
Good tidings for Christmas and a happy New Year♪

Now bring us some figgy pudding♪
Now bring us some figgy pudding♪
Now bring us some figgy pudding♪
And a cup of good cheer♪

We won't go until we get some♪
We won't go until we get some♪
We won't go until we get some♪
So bring it right here♪

We wish you a merry Christmas♪
We wish you a merry Christmas♪
We wish you a merry Christmas♪
And a happy New Year♪


【訳】

クリスマスおめでとう
クリスマスおめでとう
クリスマスおめでとう
そして、新年のお祝いも

クリスマスおめでとう
クリスマスおめでとう
クリスマスおめでとう
そして、新年のお祝いも

良い知らせを持って来たんだ、貴方と、貴方の家族に
クリスマスが来たんだ、そして新年おめでとう

早くイチジクのプリンを持って来て
早くイチジクのプリンを持って来て
早くイチジクのプリンを持って来て
それから、ちょっとした御馳走も

食べるまで帰らないよ
食べるまで帰らないよ
食べるまで帰らないよ
ほら、だから早く持って来て


クリスマスおめでとう
クリスマスおめでとう
クリスマスおめでとう
そして、新年のお祝いも

良い知らせを持って来たんだ、貴方と、貴方の家族に
クリスマスが来たんだ、そして新年おめでとう

早くイチジクのプリンを持って来て
早くイチジクのプリンを持って来て
早くイチジクのプリンを持って来て
それから、ちょっとした御馳走も

食べるまで帰らないよ
食べるまで帰らないよ
食べるまで帰らないよ
ほら、だから早く持って来て

クリスマスおめでとう
クリスマスおめでとう
クリスマスおめでとう
そして、新年のお祝いも



…明けましておめでとう御座います、びょりです。
今回は正直余裕が無くてヤバかった…でも何とかやり遂げたよ…いやメリーさんが。
有難う、メリーさん、感謝を籠めて本来の十二夜が明けるまでは、ブログをこのままにして置きます。
また次回も…来るんですか?そうですか…。(汗)

「ブラック・ジャック」って、手塚作品のこれまでのキャラ全員集合してのスターシステム漫画だったそうで。
CLAMP作「ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE」と同じって聞いて、あの時代にそんな斬新な描き方してたのかと驚嘆致しました。
全ての道は手塚に通ず…誇張じゃなかったんですね。

今夜の写真は横浜山手西洋館の内の1軒、横浜市イギリス館……に飾られていた、クリスマス・プディング…のサンプル。
今回の歌詞に合わせて。
それでは皆様、今年も宜しくお願い致します。

【完】

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