瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

銀河漂流バイファム感想その12

2008年11月28日 21時37分47秒 | 漫画&アニメ
カチュア・ピアスン…生年月日、年齢、共に不明、但し10歳前後と思われる。(↑)
異星人(ククトニアン)故、地球人の血液型は当て嵌まらないが、占いで判断するならAB型的性格だろう。
ベルウィック星第2ステーションで、地球人の手により育てられた少女…但し本人はその事実を知らずに居た。
頭脳明晰・記憶力抜群・手先も器用、彼女を見ている限りククトニアンは地球人より優秀と思われ。
シャトルの操縦方まで理解したりと大人顔負けのオペレーター。
また後半はケンツと共にトゥランファムに搭乗、短気な彼を抑えるナイス相棒振りだった。
「人は悲しみが多い程、人には優しく出来るもの」とは某武田が歌ってるが、地球人の育ての親を亡くした悲しみ、仲間内で唯一の異星人である孤独等を乗越え、頗る人間が出来た子に育つ。
自分の悲しみを置いて、傷付いた他人に手を差伸べる優しさが心に沁みる。
敢えて欠点を述べるなら、多少強情で冗談が通じない所か?
演じていた笠原弘子氏は当時中学生、正直演技下手だったけど、透明感の有る声がキャラに合ってた気がする。

元より作品の鍵を握っていたが、それだけでなくロディと恋愛させる事で、後半ヒロインに据えられる。
原作者の星山氏は「ヒーロー×ヒロイン」の考えを持ってたのだろう。
だから当初クレアとロディを恋仲に…と考えてたのだろうが、展開が進む内に無理を覚え、「どうせ後半彼女が鍵になるなら」と、カチュアを後半のヒロイン(主人公ロディの相手役)に据えたのかも…あくまで勝手な推理ですが。(汗)


★第41話「カチュアを撃つな!」脚本○ 演出○ 作画○ 総合○

ロディ達が基地に匿われてから数日が経った。
その間ジェダ達リベラリストグループに、地球人が捕えられている収容所を捜索して貰ったが、渡された報告はどれも不充分なものであった。
次第に焦りを覚え始めたロディ達は、いっそ此処から出て自分達で捜そうと考える。
しかしジェダがそれに待ったをかけた、地球人とコンタクトを取るのに、未だ子供達の力は必要と思われたからだ。

一方、カチュアも自分の本当の両親を捜そうと、仲間とは別にサライダ博士の元へ相談しに行く。
カチュアから話を聞いた博士は、恐らく彼女の両親は、地球人がベルウィック星に移民を開始した頃、ククト星から送り込まれた調査隊の中に居るだろうと推理した。
それならばと博士はミューラァを呼ぶ、彼の父親も調査隊の一員だった、ひょっとしたら何か知ってるかもしれないと考えての事だ。
だがミューラァは頑なな態度を崩さず、博士の言葉に聞く耳を持たない。
思い余ったカチュアが彼に向って叫ぶ――「私の両親を知りませんか!?」
漸く彼女の存在に気付くミューラァ、彼に尋ねられた博士は、カチュアの素性を話して聞かせた。
「君と同じ戦争の犠牲者だ」、その言葉を聞いたミューラァは激昂して叫んだ。

「私は自分の事を戦争の犠牲者と思っては居ない…!!」

隙を突いて、隠し持っていたフォークを、カチュアの首に押し当てる。
そのまま彼女を人質に、ミューラァは基地から脱走した。
遺跡を積んだロディ達のトレーラーを奪って逃げようとする彼を、ジェダ達が阻止する。
このまま逃がせば政府軍に基地の場所を知られてしまう――恐れたジェダが「射殺しても構わん」と叫ぶのを聞き、彼の脛に思い切り噛み付いて邪魔するジミー。
「捕虜が女の子を人質に脱走」との通報を聞いて、ロディ達も駆けつけた。
ジミーが必死でロディ達に叫ぶ――「カチュアが撃たれちゃう!!」と。
それを聞いた子供達はジェダ達の発砲を阻止しようと立ち塞がる。
ジェダ達と子供達が揉めてる隙に、基地から走り去るトレーラー。
しかし基地から逃走する間際、トレーラーの荷台の上には、ロディがしがみ付いていた。
ロディの後からジェダ達も機動メカで追跡する、そこへ運悪く政府軍の襲撃に出くわした。
一旦内輪揉めを止めてバーツ&マキがトゥランファムで出撃、フレッドも兄を救おうとバイファムで出撃、基地の周辺は大混乱に見舞われる。

一方、人質に連れ去られたカチュアは、サイドミラーに映るロディの姿に気付き、ミューラァの気を逸らせる目的で、再び自分の両親について尋ねた。
「……お前の両親が生きてるとしたら、多分コロニーに居るだろう」、意外にも彼女の問いにあっさり答えるミューラァ。
「会いたいか?」、尋ねられたカチュアは素直に頷く、ミューラァも理解する様に頷いた。
「…無理も無い…地球人の中では色々辛い事も…」、彼の言葉を聞いたカチュアは真正面から叫んだ――「そんな事無い!!皆大切な仲間です!!」
その瞬間、ロディが車窓からヌッと身を乗り出し、ハンドルを取ろうとした。
不意を衝かれるも、力ずくで車から振り落とすミューラァ。
地を転がるロディを追って、カチュアも飛び降りる。
車を止めたミューラァは、ロディとカチュアに銃を向けた。
互いを庇い合う彼らの姿を見たミューラァが呟く――「丁度逆だな…俺の両親と…」

「本人同士は愛し合ってたらしいが、俺にはいい迷惑だった」

苦々しく口にした彼にロディが噛み付く、「貴方にも地球人と同じ血が半分流れている…!!」
聞いた瞬間ミューラァは彼を殴った、だがそれでも彼は止めない、「何度でも言い続けてやる!!」と…根負けしたミューラァがロディから手を離す。

「俺は誇り有るククトニアンの軍人だ!!」

そう言い放った彼は、2人を置き去りにしたまま、独りトレーラーで走って行った……。


(感想)…40話に引き続きジェダさん達の裏の顔が覗ける奥深い回。
この作品に出る大人の大多数は子供思いの良い人なんですが、それだけじゃなく大人らしいズルさも持ち合せて居られる。
基地の場所を漏らさない為にカチュアごと射殺しようとしたシーンは衝撃的でした。
そもそも親切なだけで子供達を匿ってるんじゃない、自分達の計画に利用出来そうだと考えてる訳で。
反戦争・平和を訴えてる一方で、自分らの目的を達成する為に、結局は武力を行使してるんですよ。
そいった正義の中に潜む暗部を描いた脚本家は偉い。
この回の脚本を担当したのは平野靖士氏…ちなみに前回の脚本は、原作者でも在る星山博之氏が担当。
御2人が脚本を担当した事が、バイファムを名作にした一因かと。
星山博之氏はファーストガンダムやダグラム等で有名でして…つうかウィキで調べてみたら、自分の好きな作品の大抵に氏が関って居られた。
その星山氏、実は2007年2/7にお亡くなりになったそうで…また惜しい人が1人逝ってしまわれた。(涙)
話を戻して…ジェダさん達と比較すると、ミューラァの行動の方が、若さから来る甘さが見える。
脱出する際カチュアが怪我を負わないよう「頭を下げろ」って言ったり。

この回カチュアとロディ以外影薄いんですが、他キャラも地味に良い味出してます。
特にフレッド、「兄だけに危ない役目を負わせないよう、自分も強くならなくては!」と、ケンツにRVの操縦方を教わり、ラストで搭乗するんですが…結果何の助けにもなってなかったね。(笑)
それでも今迄の展開を観てるから気持ちは良く解った。
ジェイナスを降りた事によって、RVに乗らない組の活躍が減ったのは残念。
後半のフレッドは特に活躍させる場に困ってた感が有り有りだった。
結局(この回でも出るけど)ペンチとの絡みがメインになっちゃったもんね。(シャロン&ケンツとの対比は面白可愛かったが)


・第42話「パパ!一瞬の再会」脚本△ 演出△ 作画△ 総合○

その後のジェダ達の調査によって、遂に地球人が捕えられている収容所の位置が判った。
喜ぶロディ達にジェダは心配するよう告げる、地球軍の部隊が接近しているらしいと。
恐らく捕虜救出の目的で現れたと思われる、ならば間に合うよう急いで向った方が良い。
話を聞いたロディ達は、明日にでも基地を出発しようと、準備を整え始めた。
その一方でスコットはロディとバーツに、カチュアについて相談する。
「彼女の両親がこの星に居ない事を教えるべきか悩んでる。」
スコットから相談を受けたロディは、本当の事を話すべきと答え、決断した3人は揃ってカチュアに話をしに行く。
しかし3人に向い、彼女は言った――「知っています…でも私の両親は、育ての親と思ってますから」。
ロディ達と行動を共にする事を暗示した答に、聞いた3人は安堵して喜ぶが、彼女の内心は千々に乱れていた。

基地を出発する前夜、子供達は大はしゃぎで枕投げを始めた。
明日になれば両親に会える!そう思うと目が冴えて寝付けない。
リーダーであるスコットの制止も聞かず、年長組年少組入り乱れてのパジャマパーティ。

その頃、ミューラァは遺跡を積んだトレーラーで基地に凱旋していた。
だが任務を遂行した彼を、上官である「アイゼル」は冷たく労う…実は軍部は新たにエクストラ力線に対抗する装置を開発して居り、その為再生装置(遺跡)は既に無用の長物でしかなかった。
自分達部隊の今迄の努力が無駄骨になった事を聞かされ、愕然とするミューラァ。
追い討ちをかける様に、アイゼルはミューラァの部隊を解散させ、彼自身も任務から外してしまう。
元よりアイゼルは、地球人との混血である彼を嫌っていたのだ。
その事を面と向って告げられたミューラァは、自分に流れる地球人の血を心底憎む。

翌日の朝、ロディ達はリベラリストの基地に別れを告げ、収容所へ向った。
博士から改めて両親の件を尋ねられたカチュアは、一瞬悩んだものの皆と一緒に向う方を選ぶ。
パパに会える♪ママに会える♪皆に会~えるゥ~♪
収容所へ向う道、子供達はジミーのハーモニカに合せ、上機嫌で歌を歌った。
皆と一緒に喜ぶジミーの姿に、カチュアは胸を痛めずに居られない…だって彼の両親は、あの時自分の育ての両親同様――
自分を見て顔を曇らせるカチュアに、ジミーは小さな声で言った。

「知ってる…あの時、僕のパパとママも死んだんだ…」

彼は知っていたのだ、自分の両親がベルウィック星で既に亡くなっている事実を。
知って居ながら、皆が両親に会える日まで黙っていた…その事に気付かされたカチュアは、ジミーを抱締め号泣する。
その時サライダ博士から「収容所がククト軍に襲撃されている」との情報が入った――慌てて収容所に急行するロディ達。
彼らが駆けつけた時、既に地球人の捕虜は救出され、シャトルに移送される最中だった。
そこへククト軍の襲撃に遭い、地球軍が迎撃に出るも、防戦するのがやっと。
再会を前に死なせてたまるか!!――ロディが、バーツが、ケンツが、マキが、スコットにクレアまでシャトルを護ろうと戦う。
戦いの最中クレアは、怪我人に肩を貸してシャトルに乗込もうとする父親の姿を見付けた。

「パパ…!!!」

やっと会えた…溢れる思いを声に出して、父の背中に呼掛けるクレア。
シャトルに乗込み振り返った所で、父も駆けて来る娘に気付いた。
窓の向うで彼女の名を必死に叫ぶ父の姿が見える。
だが無情にもシャトルは彼女を残し、ククト星からゆっくりと離れて行った…。
一瞬で終った再会…それでも父親は確かに生きている。
間に合わなかった悔しさに泣崩れるクレア、しかし胸には希望の灯が点っていた……。


(感想)…こんな評価を付けたけど、両親達を護ろうと彼らが戦うシーンには燃えたし、ラストではクレア同様泣いちゃったよ。
それ以上にジミーが「実は知っていた」と明かすシーンには号泣した…それを念頭に物語を思い返すと、ベルウィックを離れる前に彼が「両親の持ち物を取りに行きたい」と駄々を捏ねたのにも納得してしまう…タタミ、あいや形見が欲しかったんだろうなぁ。
滑走路に絵を描いたのも、お空に居るパパママに見せる為だったり……あああ想像すると泣けてしまう。
枕投げは集団キャラ物のお約束ですが、修学旅行気分で楽しかったです。
委員長してるスコットが良いな~(笑)、後ジミーに枕を渡してやるケンツも。

なのに評価が低いのは、前回との繋がりを無視する様に、ジェダと子供達が仲良く納まってたから。
前回「地球軍とのコンタクトに子供達の力が必要」って言ってなかったっけ?あっさり送り出して良いのかジェダさん??
前回カチュアを撃とうとしたグループに、何の蟠りも持たずに居る子供達にも違和感持てたんだが…。
その辺り深く掘下げて欲しかったな~と感じた…最終回が近いんで展開急いだんだろうか?(汗)


・第43話「奇襲作戦開始!」脚本△ 演出△ 作画△ 総合△

両親との再会が叶わなかった子供達は、再びジェダ達の基地に戻る。
深く落ち込んでたそこへ、ジェダから良い知らせがもたらされた。
近くリベラリストが地球軍との会見を目指し、シャトルでククト星を発つと言うのだ。
彼らグループにとっても、地球軍が近くに居る今こそ、コンタクトを取るチャンスだった。
しかし懸念が1つだけ有った――もしシャトルで宇宙に出る途中、敵軍に襲われれば、ひとたまりもないだろう――話を聞いたロディ達は、ククト軍の基地へ奇襲を掛けようと提案した。
どの道ミューラァに場所を知られてる以上、何時かは攻撃されるだろう、ならば先手を打ってこちらから攻めようと言うのだ。
話を聞いたジェダ達も賛成し、奇襲計画は直ちに実行された。

その頃ククトの軍部では、ミューラァが更迭された事により、新しく「オタ」が指揮官に配属されて居た。
ミューラァをライバル視するオタは、必ずや不穏分子共を一掃してみせると、鼻持ちならない態度で彼に当たる。
だが結果は呆気無くジェダ達&ロディ達の勝利で終った。
この作戦が成功すれば両親に会える!その一心で戦う子供達の勢いは、大人顔負けの凄まじさだったのだ。
襲撃成功後、鮮やかに去って行くロディ達を、感心して見送るミューラァ。
その彼の背後に響く異様な物音…振り返ればそこには、1人の地球人の少年が、彼が奪ったトレーラーの荷物を、ゴソゴソと引っ繰り返して居た。

戦闘中、ミューラァが逃走に使ったトレーラーを発見したスコットは、積んであった航海記録を取り戻そうと引き返したのだった。
そして勇敢にも単身基地に侵入…探すついでに掃除機ノート鞄にトカゲの剥製エロ本その他諸々、仲間達の宝物を発見してはトレーラーに積み込んで行く。
だが目当ての航海記録は中々出て来ない…難儀してるそこへミューラァが現れた――恐怖に怯えるスコット。
しかしリーダーとして此処は退けぬとばかりに、トイレ掃除用のナニを構えて逆に脅すスコット。
予想外な事にミューラァは戦う意思を見せず、親切にも彼の荷物探しに協力してくれた。
航海記録を見付けて貰い、素直にお礼を言うスコット。
トレーラーに乗込んだスコットは、ミューラァに見送られて無事基地を脱出した。
帰り道の途中でクレアから話を聞き、救出に向ったロディ&バーツに出くわした彼は、あのミューラァと渡り合った事を自慢して聞かせた。
そんなスコットに呆れつつ、2人は何故彼が攻撃に出なかったのかを不思議に思う。
そもそも基地が在る場所を掴んでいながら、襲撃に来なかったのも疑問だった…。

子供達がジェダ達と共にシャトルでククト星から旅立つ日が来た。
見送るサライダ博士は、スコットが(結果的に)奪い返した遺跡を、「地球への友好の印として贈ってくれ」と言って、ジェダ達に託す。
それは本来博士が生物を再生する目的で開発した装置だったのだ。
飛立つシャトルの窓から見下ろす子供達の目に、ボロボロになったジェイナスの姿が映る。

バ「今度こそお別れだな、ボギー……」
 
改めてジェイナス(ボギー)に別れを告げる子供達。
ククト星から離れるまで、ボギーは彼らの乗るシャトルの航跡を、ずっと追跡していた。

ボ「ハナレテイキマス…ドンドンハナレテイキマス…ハナレテイキマス……」


(感想)…こういう展開にするなら、ぶっちゃけ42話は余計だったと思ってしまう。(好きな方には御免)(汗)
つまりスタッフは是が非でも「一瞬で終る再会」を描きたかったんだなと。(確かにドラマティックではあったが)
大体地球軍とコンタクトを取るのが目的なら、ジェダさん呼掛けりゃ良かったじゃんとか、救出に来た軍は子供達の発した通信は無視したの~?とか…観ていて色々とモニョモニョした物が心中で沸いたのですが、これは自分の読み解き方が拙いんでしょうか?(汗)
まぁ救出されたクレアの父親が話したお陰で、後に地球軍がコンタクトを求めてやって来た…と推理出来なくもない。
会見するならククト軍の居ない場で平和に行いたいだろうし…だから救出した人間を一旦置きに去って行ったのかもと……ファンが想像して補完するのは、物語に穴が有る証拠だが。(苦笑)

なぞと文句を書きましたが、スコットVSミューラァには爆笑した。
そんでスコットが荷台に積込んだの、全て今迄の話に出て来た物なんすよ。
(△付けといてアレですが)描いたアニメーターさんは偉い。
スタッフは心底この作品を愛して居たんだな~としみじみ感じた。
そしてクレアはすっかり戦闘要員になってしまったね(笑)、スコット曰く「まるで別人だ!」…いやいや彼女は元より逞しい性質だったと思われ、将来彼が尻に敷かれる事は確実である。(笑)
一方ケンツに「女の子の中で1番好きなコは誰か」を尋ねるマキに、恋する乙女を見たり…人生色々、男も色々、女だって色々咲き乱れるわな。

ラスト、かつての仲間が去って行くのを静かに追うボギーの声には泣けた。
そこに置き去りにされたまま、ずっと警告を発してるのかと思うと切ない…。(実際ビデオ版で語られた後日談によると、2年経ってもそのままだった)


★第44話「大宇宙のうた」脚本○ 演出○ 作画○ 総合○

ククト星を離脱後、地球軍の船に誘導されて、宇宙を航行するシャトル。
子供達は今度こそ間違い無く両親に会えると大いに盛上る。
そんな中、最年少のマルロ&ルチーナは、13人全員のパパママの顔を描いて遊んで居た。
小さい子らしい思い付きに、年長組は頬を緩ませるが、「カチュアとジミーのも描いた」と聞き、一転顔を曇らせてしまう。
けれどカチュアは描いてくれた2人に笑顔で感謝し、ジミーも嬉しそうに微笑んだ。
バーツの提案で、2人が描いた絵はプリントされ、全員に配られた。
貰った絵を大事そうに鞄に仕舞うジミーの頭をケンツが撫でてやる。

後でジミーと2人、RVを磨いて居る時、ケンツは彼に「自分の家に来て、弟にならないか」と誘った。
「お前の様な弟が前から欲しかったんだ!」と笑う彼に、ジミーも頬を染めて喜ぶ。
同じ頃、ロディもカチュアを気遣いつつ、自分達と一緒に地球へ行こうと誘って居た。
戦争が終れば両星間の距離も縮まり、落着いて捜せるようになるだろう…それまでは俺達と一緒に地球で暮らせば良いさ。
彼の言葉に笑顔で応えるも、カチュアの心は未だ揺れていた。

シャトルは死の星と化したタウトを通過し、地球軍とのコンタクトを目指して航行し続ける。

スコットが遺跡と共に敵軍の基地から奪還して来た荷物には、今迄の冒険を思い出させる代物が沢山有った。
各自片付けながら、厳しくも楽しかった日々を振り返る。
ロディが戦場へ取り戻しに行ったフレッドの鞄…ペンチの詩集…エロ本…そしてケイトのバンダナ。

「ロディ、おイタしちゃ駄目よv」

バンダナを頭に巻いたマキが、ケイトの口調を真似て言う。
からかわれたロディは、思わず苦笑うのだった。
ブリッジに居たスコットは、シャロンから手渡されたエロ本が元で、クレアにまたもや問詰められる…しかしその実クレアの口元は微笑んでいた。

そこへ地球軍バンガード艦隊から通信が送られて来る。
地球軍は会見を求めるジェダに自分達の指定する場所への移動を願い、両親の安否を口々に尋ねる子供達にはその確認を約束した。
一気に喜びに沸くシャトル――だが無粋にもそこヘ、ククト軍の追撃部隊が現れた。
此処まで来て邪魔はさせない!――シャトルに積んだRVで出撃する、ロディ・バーツ・ケンツ・カチュア。

一方ククト艦側では、無断で乗船したミューラァを巡り、騒ぎが起きていた。
重大な命令違反だとアイゼルに冷たく当たられるも、ミューラァはバイファムとの決着だけでも着けさせて欲しいと願う。
彼の意気込みに感心し、特別に出撃許可を出すアイゼル…だが本心は別に有った。
脇目も振らずバイファム(ロディ)に挑むデュラッヘ(ミューラァ)。
漆黒の宇宙を背景に、激しくぶつかり合う2つの機体。
相手の攻撃は寸部の隙も無く、ロディは徐々に追詰められて行く――しかし突然ククト軍が一斉砲撃を開始した。
ミューラァの存在を邪魔に思うアイゼルは、この機を幸いに敵諸共抹殺しようと企んだのだ。
上官の卑劣な行動に、激しい怒りを覚えたミューラァは、アイゼルの艦に特攻をかける。
今わの際で彼はカチュアを力付け、最後のメッセージを残して行った。

「俺の様に生きるなよ…」

爆発の閃光の中、ロディ達はミューラァの吹く口笛を聞く。
か細い音色は途切れる事無く、耳の中に何時までも響いて居た……。


(感想)…エロ本狂想曲第3楽章、好きだね~スタッフも。(笑)
その後エロ本は両星間の友好の印としてジェダさんに贈られました。(笑)
最終回に向けて今迄の物語を振り返る様な描写が嬉しい。
第1話でのフレッドの鞄エピソードとか、ケイトさんのバンダナとか……彼女の真似したマキにからかわれ、笑顔を見せるロディに経た年月を感じる。
時間は悲しみを癒す最大の特効薬ですな。

そしてミューラァ……2つの故郷を持ちながら、どちらにも帰れない、彼の生き様が哀しい。
「俺の様に生きるなよ…」の一言と、ラストに流れる口笛が、今でも耳に残ってる。
血を否定された彼にとっては、実力主義の軍部に入るしかなかった――けどそこでも存在を否定されてしまう。
「自分を戦争の犠牲者と思っては居ない」 と言った彼だから後悔は無いかもしれない。
それでも似た境遇のカチュアには、「自分の様に生きて欲しくない」のだなと。
暗闇に向う彼は、16話でジェイナスを飛出したカチュアの姿に重なる…迎えてくれる仲間が居れば、或いは彼も別の人生を歩んでいたのでしょう。
実はミューラァもビデオ版でゴニョゴニョニョなんですが、自分の中でバイファムは以下略。(汗)

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