瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

高橋留美子の巧みな世界 ―その1―

2006年10月10日 21時42分59秒 | 漫画&アニメ
本日10/10は、高橋留美子氏の誕生日だったりする。


おめでとう御座いま~す♪♪


そんな訳で、唐突ながら今回は『ルーミック漫画』についての話――題して『名台詞で綴るルーミックワールド』…なんちゃって。


絵にしろ文章にしろ、自分が1番影響受けた方じゃないかと。

こやって書いてても、「あ、これ、留美子先生から影響受けての表現だ…」とか感じてしまう。(苦笑)

最早自分の血となり肉となり、骨の髄まで染み渡ってる気がしますよ。


特に『うる星やつら』ね。


最初に漫画読んだ時の衝撃、未だに覚えてる。


6巻4話『戦慄の参観日』っつう話より――


牛車で授業参観に訪れた面堂の母ちゃん。
学校のグラウンドに着いた所で、上からUFOに押し潰される。(←さらっと描いてるけど、凄い発想だよな)
面堂の母ちゃんは無事だったけど、牛車は敢無くおしゃか。
UFOに乗って来たのは、ラムの母ちゃんだった。
怒った面堂の母ちゃんは、面堂に文句を言う様申し伝える。(←面堂の母ちゃんは高貴の出なので、下々と直接喋ろうとはしないのです)
しかし宇宙人であるラムの母ちゃんには、地球語が通じない。
困った面堂は、ラムに通訳をお願いする。


面「ラムさん、ちょっと通訳して下さい!!」
ラ「うん!!」

面「よくも牛車を壊してくれたな!!」
「よくぞ牛車を壊してくれました!!」

面「牛車の敵は私の敵も同様です!!」
「牛車は私の敵です!!」

面「この礼は必ずさせてもらうぞ!!」
「是非お礼させて下さい!!」


それ聞いたラムの母ちゃん、大喜び。(笑)


ラ「喜んでくれて嬉しいと言ってるっちゃ!!」

面「本当にちゃんと伝わってるんですか?」
ラ「う~~ん、ちょっと文法が違うから…」


――これ読んで嵌った!!(爆笑)


随分、言葉選びの巧い漫画家さんだな~と…しかも無駄が全く無いから、テンポが抜群に良い訳ですよ。
今日び小説家にだって、こんだけ巧い方は少ないんじゃないかと。


この巧さは、作品後半になればなる程、益々洗練されて行った。


24巻1話『非道なる商売人』より――


ランちゃんは食いしん坊のレイさんと憧れのデートの約束をします。
しかし巨大招き猫型貯金箱をがちょーんと割ってみたら、中には100円玉1枚しか無かったのです。
さあ、どうしましょう。
困ったランちゃんは、幼馴染で親友のラムちゃんに相談しました。


ラム「ど~したっちゃランちゃん!こんなとこに呼び出して…」
ラン「あのね、実はね…とても言い難いんだけど……お金を貸して欲しいの。」(←此処できっぱりと擬音が入ってるのにも笑った)


相談を受けたラムちゃんは、ばたばたばたと団扇扇いでそっぽを向いてしまいました。(笑)


ラン「聞いとんのかい、こらっ!」
ラム「うちは貧乏だっちゃ!」

ラン「あのな、普通ならな…

   幾らくらい?とか…
   何に使うっちゃ?とか…
   何時返してくれるっちゃ?とか…
   
   聞くもんやないのか?
   
   それをおんどりゃ、いきなり自分の立場主張しくさって!」

ラム「幾らくらいだっちゃ!」
ラン「いっぱい、いっぱい欲しいの!」

ラム「何に使うっちゃ!」
ラン「そんな事恥かしくて言えないわ~!」

ラム「何時返してくれるっちゃ!」
ラン「解んな~い!」

ラム「うちは貧乏だっちゃ!」
ラン「からかっとんのかい、おんどりゃ!」


…ランちゃんの、依頼心の強い甘ったれな性分が、台詞を通してまざまざと伝わって来るんじゃないかと。(笑)

実際言われたら、腹立つより呆れてしまうだろう…けどランちゃんみたいな人、現実に居る。(苦笑)
自分は動こうとしないクセして、「人に優しくされて当り前」って、無意識に考えてる甘ったれさんね…悪気が無いだけに困ってしまうんですが。(笑)

そういった人の本質を、彼女の漫画は滑稽に描き出す。

…この人物描写力が凄い。


ランちゃんの名台詞をもいっちょ、27巻9話『はんぎゃ摘み』と言う話から――


大好きなレイさんが食べたいと願う(←実は誤解だったんすが)『はんぎゃの実』を摘みに、ランちゃんは、ラムちゃんやダーリンのあたると一緒に、人食いおばばの畑を訪ねました。

人食いおばばから「ラムちゃんとあたるを食わせてくれたら、はんぎゃの実をやる」と囁かれたランちゃんは、悩んで自問します。


ラン「そ…そんな…

   ラムちゃんもダーリンも大切なお友達よ!
   『お婆ちゃんに食べられて頂戴』なんて言えない!!
  
   言えないわ!

   言わなきゃええやんけ!


ナイスアイディアだ!!ランちゃん!!!(爆笑)


…フォローしときますが、私、ランちゃん好きです。(笑)
最も人間味が有る様感じられたんで。

ってゆーかランちゃんに限らず、氏が描く作品のキャラは、揃って欠点だらけだった…考えてみると。(笑)
それ故、人物(キャラ)としての厚み・リアリティが感じられたな~と。

氏の漫画を通して、自分は『人間』を教わった気がします。(大袈裟?)


纏めとして、最終回シリーズ34巻『ボーイ・ミーツ・ガール』から――


拗れに拗れたラムとあたるの痴話喧嘩。
終には何故か地球が危機に追い込まれる
地球を救いたくば、自分と鬼ごっこの勝負をしろと、ラムに持ち掛けられる、あたる。
しかし宇宙人のラムは空飛んで逃げる。
「捕まえられるのか!?」…不安に怯える周囲を尻目に、ラムはあたるに向って叫んだ。


ラ「うちは本気で逃げるっちゃ。
  もしも、うちを捕まえたかったら…

  『好きだ』って言うっちゃーっ!!

あ「だっ…誰が言うかアホーっ!!


――負けずに言い返すあたるに、町内会の皆様が怒って詰め掛ける。(笑)


町「鬼ごっこに勝てるのか?」
町「勝てるんだろうな!」

あ「正義は勝つ!!」

「どっちが正義なんだ!?」


――良い事言った、町内会の皆様。(笑)


痴話喧嘩が拗れた末の地球危機、それが『うる星』の真骨頂。

まったくもって大迷惑


ラム 「一生かけて言わせてみせるっちゃ。」
あたる「いまわの際に言ってやる。」

周囲 「一生痴話喧嘩続ける積りか、おのれらっ!!」

ラム 「だっちゃ!!」


『うる星』をギャグ漫画として観ていた自分は、ラブコメで終わった事について、ちょっと残念に思わなくもなかったんすが……

まぁでも…こやって〆るしか手は無かったろうな~とも思う。(笑)


何より、あたるの最後の台詞には、唸らされた。


「つまりは言ってんじゃん」、と…

「死に際に言う」って言ってんだから…好きだと認めてる訳で、言ってるのと同じなんすよね~。(笑)


これには心底巧いと感心しました。(その2に続く…)

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