( 2005年・台南の龍船レース )
あしたの6月11日 ( 土曜日 ) は、
農暦では5月5日で、端午節の日だ。
端午節は台湾では、
春節、中秋節と並ぶ 三大イベント ( 最重要的三個節日 ) になっていて
台南でも色々な催しものがある。
そこで前回は、
ここんとこずっと続いた 食い物 の話をちょっと休んで、
端午節 について書くことにして、
前半にあたる
” 端午節の起源 ”
について、レポートした。
そういうことで、
今回は、後半にあたる
” 端午節の特徴的な行事 ”
についての話を書くので、
食い物の事だけじゃなく、こういった方面にも興味の有る人は、
ぜひ頑張って読んでみてくれ。
( 上は、ファミリーマートで売っている企画粽 ” 古早北粽 ” 30円 )
------- 端午節の特徴的な行事 -------
台湾での、端午節の特徴的な行事というと、
(1)粽を食べる
(2)龍船レースをする
(3)菖蒲や艾を間口に飾る
(4)香包を子供につける
(5)薬用酒をのむ
等になると思うが、その内、
(1)と(2)は、前回説明した
” 屈原の遺体探しの儀式 ”
から始まった行事で、
(3)、(4)、(5)は、
” 陰陽五行説による5月の祭式 ”
を由来とする行事だ
と考えられる。
他にも、
” 正午に卵を立てる ”
なんていうのもあるが、とりあえずここでは、
(1)から(5)について、
少しだけ 詳しく説明をする。
(1)粽を食べる
粽を食べるのは、
前回説明したとおり、
” 屈原の命日に 死体を魚が食べないように、
竹筒に米を入れたものを、揚子江に流す。 ”
儀式が起源になっているんだが、
昔の
” 陰陽五行説 ” でも、
” 五月には角黍 ( 黍=キビで作った粽のこと ) を食べるのが良い。 ”
と言われている。
ただ、ここで言う粽は、
現在、セブンイレブンで売っているような
” 肉粽 ”ではなく、
アルカリ性の灰汁を使った、
消毒食品のような
” 黍もち ”
だったらしい。
そのままだと食いにくいから、
砂糖を沢山加えたりして、お菓子 みたいにしていたようだ。
こういうのが、日本にあるような
甘い粽のルーツかもしれないナ。
( もちろん、大陸や台湾にも甘い粽は残っているが )
ここで、粽の形の話をするが、
日本で端午節に食うような、長くとがった形は、
実は、ごく古い粽の形なんで、
今の中国や台湾では、あまり一般的ではなくて
現在では、
” 客家人 ”
だけが、この形の粽を作っているようだ。
大陸や台湾でポピュラーな、
正四面体みたいな形は、
陰陽道が推奨する形で、
” 陰と陽が分散する前の、混在した状態 ”
を表しているもの なんだそうだ。
晋代の
” 風土記 ” などには、
屈原の故事にならった、
” 竹筒につめるタイプ のものもポピュラーだ ”
という記載が見られるが、
今は、端午節の食べ物としては、一般的ではなくなっている。
” 角黍 ” と呼ばれていた粽が
” 粽子 ” という名称に変わってきたのは、
黍がもち米にかわり、
包装材料が
棕 呂 ( しゅろ ) とか竹の皮
に変わった頃かららしい。
( 上は、ファミリーマートで売っている企画粽 ” 飄香南粽 ” 30円 )
(2)龍船レースをする
龍船レースをするのは、
” 屈原の命日に、揚子江に船をだして、遺体を捜す儀式 ”
に由来していて、
” 陰陽五行説 ”
とは関係ない。
龍船は、一般には
” 划龍舟、ファーロンゾウ
( ファーは ” 漕ぐ ” の意味 ) ”
と呼ばれていて、
漢民族の行くところ何処でも
( 大陸、台湾、香港、シンガポール )
ドラゴンボートレースの船として、必ず見ることができる。
沖縄や、日本本土にも、この習俗は伝わっていて、
沖縄では
” 爬龍船、ハーリー船 ”
と呼ばれて、5月4日にレースをすることになっている。
また、長崎では、
” ペイロン船 ”
と呼ばれて、レースがあるのは7月末だ。
ところで、
台湾で一番最初に、龍船レースが行われたのは
” 台南古跡史 ” によれば、
清の時代、乾隆29年 ( 1764年 ) のことで、
241年も前のことだ。
そして、台湾発の龍船レースは、
当時台湾の首都だった、ここ、
台南 で開催されたということだ。
(3)菖蒲や艾(ヨモギ)を間口に飾る
これはまるっきり、
” 陰陽五行道 ” の祭式だ。
前回書いたとおり、
” 陰陽五行説 ” では、
5月は、陰と陽が相克する月で、
” 百毒月 ”
とも呼ばれる。
一年の内の、この時期に、
” 百陰 ”
と言われる、毒蛇、サソリ、トカゲ等 が活動を開始し、
色々な疾病も増えてくる。
だから、
これらのケガレに対抗して、家を守るために、
” 五祥 ” という、
めでたいものの、その中でも 首位とされる、
” 蒲剣 ”
つまり、葉が剣の形をした 菖蒲 を間口に飾るんである。
( 日本では、間口に飾る代わりに、風呂にいれてるけどね )
また、ヨモギは
” 招百福 ” という
ありがたいものの、代表だ
- とされているので、
これで虎の形とか、人の形を作った
” 艾人 ”
というものを、やはり間口に飾ることになっている。
( 香包 )
(4)香包を子供につける
これも
” 陰陽五行道 ” の祭式で、
古くは
” 風俗通 ”
という書物の中に表れている
五色の糸をひじにつけて、
” 百毒月 ”
の五月を乗り切って、夏に備える
- というまじないが、変形したものだ。
この習俗は、
遠く日本にたどり着いて、
日本でも
” 易 ” や ” 陰陽五行 ”
が大流行した江戸時代には、
5月5日の、
” 端午の節句 ”
の代表的な飾り物である
” こいのぼりの一番上の 吹流し ”
に形を変えて、すごくポピュラーなものになった。
(5)薬用酒を飲む
これは、
中国大陸でも、比較的北の地域で、行われていたことで
” 雄黄 ”
という鉱物 ( 硫化砒素 ) を酒に入れて
飲む習慣だ。
砒素というと、毒薬の代名詞みたいだが、
本当の毒薬の
” 亜砒酸 ”
ではないこの化合物は、少量を使うと、
化膿性球菌 や 病原性大腸菌
なんかの、夏のわる~いバイキンを抑制する
結構、良い薬になるんである。
酒を飲めない子供には、
この酒を筆に浸して、額に
” 王 ”
の字を書く まじないなんかも
昔から、広く行われてる。
ここまで、
” 端午節の行事 ”
のことを書いてきたが、
オレも明日は、チャンさんや、イェンさんと
安平運河の龍船レース
( 10年ぶりの大きな大会になるそうだ )
を見に行く予定だし、
事務所メンバーのカミさんの中には、
なんと、実際に龍船レースに出て、
船を漕ぐ人もいるらしい。
( それも、優勝候補 だってことだ )
オレ達も、
知らないうちに
じわ~り じわ~りと、
” 土着化 ”
しつつあるような気がするゾ。
------- 端午節の特徴的な行事の話、おわり -------
いやいやいやいやいやいやいや、
やっとこさっとこやっとこさ
端午節の起源とか、特徴的な行事とかについて、なんとかまとめてみた。
\(´。`;)ノ ほぇぇぇ~、疲れた~。
でも、調べれば、調べるほど、
もっと面白い異論とかが、どんどん出てくるんで、
この2回で書いただけじゃ、
不足な感じも残っている。
もしか、来年の今頃もまだ
台湾に駐在しているようだったら、
きっとまた、この続きを書くことにしよう - っと。
では!
昨日のヒット数 - 425
今日は、練習は休みでした。
台中国際レースまで、あと119日。
日本に帰国したメンバーを中心にしてドラゴンボートチームができ、何年か前に女性たちが、台中の日月譚の大会に参加したそうです。
結果は散々だったようですが、台湾のチームの中には60台の現役メンバーがいたとのこと。
「あんたらもあと30年練習すれば勝てるよ」とアドバイスいただいたそうです。
恐るべし台湾女性のパワー。
コメントありがとうございます。
ドラゴンボート、うしろへ向いて進むタイプのボートと違って、
自分の体だけを使って前へ向かって漕ぐので、結構大変そうだナと思って見ていました。
台南のレースでも、結構屈強な外見の若い男性のチームが多かったのですが、
そんな中で、こういう体を使う競技で頑張っている女性は、すごくカッコよく見えました。
また、時間がお有りの時に、是非お立ち寄りください。
また、面白そうなトピックを探しておきますので。