台南・ダイアリー

台湾の台南市で3年、新竹市で2年駐在して、色々な所へ行ったり美味しいものを食べたりしました。

金鳳陽春麺-台南陽春麺①

2006年04月22日 | うまいもの




台南で 「 うまい! 」 と言われている
  陽春麺屋、” 金鳳 ” に行ってみた♪


な~んていっても、
大抵の人には
「 何が ” うまい! ” じゃ、おれは知らん!」
って言われちゃうだろうけどネ。

大体、
” 陽春麺、ヤンツンメン ”
自体が、
中華圏では、多分一番ポピュラーな麺なのに
日本では、あまり知られていないもんナ。

ここで念の為知らない人に説明すると、
” 陽春麺 ”
っていうのは、簡単に言うと、
まぁ日本でいう
” かけそ ば”か、” 具のないそば ”
のことだナ。
( 台湾では一般に、全然具がない訳じゃなくて、
  小白菜の葉が少しと、うすーい豚肉片か肉燥 ( 肉そぼろ ) が少しだけ
  入っているのが普通だけどネ。 )

このことばから派生して台湾では、
” ベーシックで飾りがない/安い感じがするもの ”
のことを
” 陽春○○ ”
と言うことがある。
例えば、
” スタンダード仕様のままで、オプションが何もついていない車 ”
のことは、
” 陽春車 ”
な~んて呼んだりするんである。


麺とダシしかないシンプルなものなのに
「 陽春麺がうまい。 」
って言われる様なミセは、他のもの食っても大体うまいから、
メシ食うミセを選ぶときに重要な目安になる。
- っていうのはオレの
” 台湾メシ食い場選びセオリー ”
の一つだネ。




” 金鳳陽春麺 ” は、
台南市政府の近くの怡平路上、
今ではすっかり寂れてしまっている市場
” 新沙卡里巴 ”
の、斜め対面あたりにある。
( 民族路から移動していって寂れた ” 小北夜市 ” とかもそうだが、
  台南の人は、どうもこういう
  商場の選択とかに慣れていない様だナ。 )



( ほら、寂れてるだろ )


でも、
あたりの閑散とした様子とは対照的に、
地の利が悪いのにもかかわらず、
このミセだけはいつも繁盛しているゾ。





” 金鳳陽春麺 ”
は、かなり以前に始まったミセだそうだが、
この場所には最近移転してきたということで、
ミセは新しくて、店内もきれいだ。

ただ、テーブルの高さがいやに高いから、
座高の低い人や子供は、ちょっと物を食いにくいかもしれない。




上が、このミセで食べた
” 沙茶麺 ”と、
” 普通の陽春麺 ” 。

写真では判りにくいと思うが、
” 陽春麺 ”
は普通の醤油ダシの麺で
” 沙茶麺 ” は
醤油の代わりに沙茶醤 ( サチャジャン、干しエビなんかで作ったタレ )
を使ってある。

麺は、日本人の好みからするとちょっと柔らかいかもしれないが
くせのない、食いやすい麺だ。
メニューには書いていないが、
好みによって太麺がチョイスできるので、
好きな人は注文するときに
「 粗麺 ( ツーメン ) ! 」
と言えば太麺の方にしてくれるゾ。

この日食ったのは、汁の少ない
” 乾麺、ガンメン ”
だったが、
普通ダシと沙茶醤のどちらもなかなかうまかった-。




上が、乾麺の相手役のスープとして注文した
” 餛飩湯 ”と、
” 搾菜肉糸湯 ” 。

台湾では、こんな風に
” 汁が沢山の湯麺一杯 ”
を食う代わりに
” 乾麺一杯+スープ一杯のコンビネーション ”
にして食うケースが結構多い。
それで、
スープは熱いから、最初からごくごく飲むんじゃなくて、
「 乾麺を適当に食っちまってから、
  ちょいと冷えて食いやすくなったスープに取り掛かる。 」
スタイルで食べる人が多い。
( 気温が高い台湾では、なかなか合理的な食い方だと思うナ。 )




さて上の写真は、
麺とスープのおかずに頼んだ
” 水餃子 ” と
” 魯味、ルーウェイ ” だ。

” 魯味 ” は
ダシも変に甘くないし、材料も良いものを使っている。
乾麺と一緒に食うとうまいネ。

” 水餃子 ”
は本当は主食として扱われるから
一人で乾麺と水餃子の両方食うとちょっと変な感じなんだが、
ここの味を確認したかったんで注文してみた。
アンはちょっとさっぱりしすぎている感じもしたが、
皮がちょうど良い厚さで、
いくらでも食えそうだったナ。




上は、今回行った
” 金鳳陽春麺 ”
のメニューだ。

品数はあまり多くないが、
( オレの考える )台湾のスタンダードな昼メシ屋のメニュー

乾麺/水餃子/肉燥飯 + 湯 + 魯味 ( +燙青菜 )

を完璧にカバーしているゾ。



( 上はこの店のラオパンだが、控えめな性格の人で
  余りミセの宣伝をして欲しくはないそうだ。 )

最後になるが、
何故こういう
” 具のないスタンダードな麺 ”
のことを
” 陽春麺 ”
と呼ぶようになったのか
- という根拠について、
巷間流布している二つのメジャーな説の内、
一つを紹介しておく。
( 今回は長くなるから一つだけにして、
  もう一つの根拠は、
  近々他の陽春麺屋を紹介するつもりなんで、その時に書く。 )

その、一つの説とは、
清代末に、グルメで知られる
” 西太后 ”
が紫禁城で食っていた
” 一見質素だが実は高い材料を使って手間もかかっている具なし麺 ”
のことを、


( 西太后 )

唐代の詩人
” 李白 ”
の詩句を引用して


( 李白 )

” 陽春麺 ”
と名づけていたから
- っていうものだ。

つまり、
” 茶色っぽいダシの中に白い麺だけが浮いている ”
様子を
” 陽春白雪 - 春が来て土が現れた地面の上に残っている白い雪 ”
に例えていたんだっていうことだ。

実際、
李白はなんかこの
” 陽春 ”
っていう言葉の響きが好きだったらしくて、
やけに色々な詩のなかで多用しているんで
かなり説得力がある説だよナ。
( ただし、ここでいう
  ” 陽春白雪 ”
  自体は、古曲の名前や南宋時代の詩集の名前で、
  ダイレクトに李白の詩に現れる言葉じゃあないけどネ。 )

- ってことで今回は最後に、李白の詩の例で、
” 陽春 ”
っていう言葉が使われていて、あの
” 松尾芭蕉 ” も、
その一部をパクったっていう名作中の名作
” 春夜宴桃李園序 ”
を引用して、
最近にしては珍しく、文化的に報告を終わることにするゾ。



春夜宴桃李園序




夫天地者,萬物之逆旅、
光陰者,百代之過客。
( ↑ ここ芭蕉がパクった所 )
而浮生若夢,爲歡幾何。
古人秉燭夜遊,良有以也。
陽春召我以煙景,大塊假我以文章。
會桃李之芳園,序天倫之樂事。
群季俊秀,皆爲惠連。
吾人詠歌,獨慚康樂。
幽賞未已,高談轉清。
開瓊筵以坐華,飛羽觴而醉月。
不有佳作,何伸雅懷。
如詩不成,罰依金谷酒數。



( 漢文だけだと判りにくいから、簡単に意訳してみた
  - 間違ってても文句を言わないように )

言ってみれば、
天地っていうのはすべてのものの宿屋であって、
時間っていうのは永遠の旅人の様なもんだ。
人生なんてまるで夢みたいなものだから、
どんな楽しいこともキリがないわけじゃあない。
昔の人は、蝋燭をつけて夜遅くまで遊んだっていうけれど、
それは、そういう楽しみのはかなさが良く判ってたってことだろう。

今日は暖かな春の日で、霞がかかった景色が私を誘い、
私は一応詩を書くこともできる男サ。
だから今日私はこうやって、
桃の花が咲く気持ち良い庭に仲間が集まった、
この楽しい宴会について書くことにしたんだ。
( でも本当は、
  ここに集まった仲間は有名な詩人の恵連みたいだから、
  私の作った詩なんて恥ずかしくて、
  他の詩人の康楽にも見せられやしないんだけれど。 )

こうしていると、
みんなが季節を愛おしむ言葉があふれるようにでてきて、
交わす意見もどんどんすばらしくなっていく。
敷物を花畑に広げて座り、
羽飾りのついた杯で何杯も酒を注ぎあっていると、
まるで月の光に酔っているみたいサ。

もしもこういうときに詩がなかったなら、
この心地よさを伝えることもできやしない。
だからもし今日、
順番がまわってきてもうまく詩ができないヤツがいたら、
罰として、
もっともっと酒をのませることにしようじゃないか。





では、また次回 - でござる。



   
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4月20日の練習 - 休み
4月21日の練習 - トラック(清華大学)11.8km
今日の練習    - ウェイトとトレッドミル(ジム)3km



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2 コメント

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この感じ (タンタン)
2006-04-24 13:39:05
これこれ、この感じが台南・ダイアリーですよね!

もう一つの陽春麺の説明楽しみにしてますよー。

タンタンさんへ (kool_tada)
2006-05-04 21:14:46
タンタンさん、



もう一つの陽春麺の名前の由来について書くのが遅くてすみません。

台南に水交社という場所があって、そこの陽春麺の話を書きたいんですが、

なかなか行く機会がないんです。

ちょっとお待ちください。



では、失礼いたします。

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