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「ほんとうの環境問題」池田清彦×養老孟司著

2008-08-02 12:18:08 | Book
先日のたいした成果もなかった洞爺湖サミットでは、2050年までに二酸化炭素排出量を50%削減するという、気の遠くなる目標確認でおわった。
そもそも、二酸化炭素を削減することは、地球に”やさしい”のか。本当に、意味があるのか。そして、最も重要なことなのだが、それまでに、日本はいったいどれだけ莫大なお金を支払わせられるのか。米国のアル・ゴアが映画『不都合な真実』出演などの地球環境問題?の取組みでIPCCとともに、昨年ノーベル賞を受賞した時は、我が耳を疑いたいくらいだった。科学的な真偽が問われている地球温暖化説を環境破壊に結び付けている活動で、権威ある賞をおくってしまっていいのか。純粋培養された政治家エリートのゴア氏は好きだが、彼の豪邸の光熱費だけでも、毎月何十万もかかると言うではないか。これこそ、不都合な事実だ。

本著のタイトルの「ほんとうの環境問題」で、生物学者の池田清彦氏と養老孟司氏は「環境問題」の本質をついている。
まず、地球温暖化説は、誤った説である。むしろ寒冷化に向かっているという科学者の説とデーターを紹介し、また、かりに温暖化に向かう傾向があったとしても、地球にとってはむしろ都合がよいという主張である。そもそも環境問題とは、地球が温暖化するのかしないのか、そんなことではなく、2050年には確実になくなるという石油の枯渇を含めた、まずエネルギー問題にある。日本が真面目にチームマイナス6%を守ったとしても、効果は100年後の温度が0.004度下がるかもしれないね、というレベルである。そんな瑣末なことに、年間1兆円もかけて取り組むなら、国家戦略としてきちんとグランドプランをたてて、太陽光発電や燃料電池の開発などの石油の代替エネルギーの開発にふりかえた方がよいのではいいのではないか、というのはこどもでもわかる。

そして、もうひとつは経済の問題である。米国が京都議定書を批准しなかったのは何故か。それは自国の石油産業の保護にあるからだ。その一方で、EUが排出権取引に積極的なのは、それが排出権”ビジネス”として、経済取引をリードできるという思惑があるからである。中国も、早速排出権ビジネスの準備を着々とすすめているようだ。ゴア氏のように、本気で地球の環境問題なんか考えていないのだ。世界銀行と同じように”環境問題”というあらたなビジネス・チャンスを、自国にいかに有利に利用しようとする目論見に、両氏の言葉を借りると「おぼこ過ぎる」日本がはまっているだけだ。今後、我が国は、排出権を買わされるために、どれだけの大金を払わされるのだろうか。買うのではなく、買わされるのだ。日本は、これまでもエコカーだの、省エネなどで、充分環境問題に努力して貢献してきた”やさしい”国なのだから、もっと自国の有利になるように主張してもよい、と言うよりも言うべきだ。こんなことだったら、カナダのようにさっさと京都議定書をおりればよいのだ。

また地球温暖化防止対策として、ポスターをつくったり、官民一体となって二酸化炭素削減、チームマイナス6%なんちゃって、国民を洗脳させて、私のように協力しない人間がなんとなくうしろめたいような、極論すると戦中の非国民扱いするかのような国に警鐘を鳴らしている。ペットボトルなんか、リサイクルしなくてよい、ゴミで燃やせばよい、なんてこれまで考えていても言えなかった。これは、発展途上国を救うためとして募金活動をして、そのお金の使われ方に鈍感であるのとあまりかわりがなあい。日本人らしい精神論、無知なる善行が横行し、それに対して異議をとなえにくい風潮は、戦争中の日本の雰囲気を想像する。
今、養老猛司さんが関わっているだけで、本は売れると思う。だから、と言うわけではないが、新潮社の久々のホーラン級に胸のすく一冊だった。

■アーカイブ
・地球温暖化は誤った説・・・あの頃は、大きな声で言えなかった
・「ドキュガンダ」映画ヒットの背景
・「緑の帝国」マイケル・ゴールドマン著
・「排出権ビジネス」をもくろむ中国
・「人類が消えた世界」アラン・ワイズマン著


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