千の天使がバスケットボールする

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サイエンスカフェ@三省堂

2011-03-01 17:30:26 | Nonsense
遅まきながら、新聞紙上で目に留まったのが日本でも普及しつつある、というよりも定着している感のある「サイエンスカフェ」の話題だった。元々、サイエンスカフェの発祥の地は英国とフランスで、1990年代にはじまり、従来の講演会やシンポジウムとは異なり、科学者と一般市民がカフェなどの身近な場所で、珈琲やワインを片手に科学について気軽に話し合う場がコンセプトである。

身近にも科学者はいるのだが、、、本人が多忙ゆえめったに会えなかったところが、とうとう海外へ行っちまった。。。
そんなわけで、本で吸収する科学の話だけではなく、これは実際に専門家の方から最先端の科学おもしろ話を伺いたいと、三省堂主催のサイネンスカフェに参加してきた。

参加するにあたり、まずは開催予定のサンエンスカフェを調べるためにネットで検索すると、予想外にサイエンスカフェがたくさんあることに驚いた。主催も、大学、気象庁や日本学術会議などの官公庁、天文台、動物園、NPO法人、市民団体、企業が運営する常設のカフェなどいろいろだが、そのテーマも天文学、生物、化学、数学と幅広く多多種多彩、”科学”というキーワードではそれほどなびかない方もそれなりにひかれるテーマーもありそうだ。夜の主催やワインを一杯でなければ、殆どが小学生から参加できるようになっている。興味をひかれたとある大学のテーマは、中学・高校生とその保護者が参加資格のサイエンスカフェだったのであえなく断念。話題提供者(講師)には、スポーツジャーナリストの増田明美さんのお名前もある。参加費用は、ワンドリンクにデザートがつけば500~650円程度。勤務先のスタッフさんにそれは誰がもうかるのかと聞かれたのだが、会場の喫茶店には多少の売上はあるかもしれないが、そもそもサイエンスカフェは営利目的ではない。むしろ、国民の税金で運営されている研究所や大学の研究室の研究者は、納税者に研究内容を説明する義務もありはしないか、というのもカフェの主催理由にもある。(余談だが、大学受験もたけなわ、めでたく大学生になったら学費を払ってもらっている親に、こどもも卒業時に研究成果を発表すべきだと私は考えている。或いは、更新制度を導入して、内容によっては次年度、仕送り打ち切りなども。)

今回、私が参加した三省堂主催のサイエンスカフェは、「クスリが働くミクロの世界―ケミカルバイオロジーへの誘い―」というテーマーが身近なものということにもあるのだが、やはりなじみのある本屋さんの三省堂が主催ということで、初参加者としては敷居が高いというよりも間口が広く、参加人数も25人とほどよい人数がよかったところだ。会場は、本店の二階の喫茶店内で、一般のお客さんとは離れたスペースを貸切にして落ち着いた雰囲気の部屋を使用、参加費用は、飲み物とちょっとしたデザートを含めて500円。講師の方は、理化学研究所の吉田稔氏で、進行役として毎日新聞科学部の記者の方がご出席されていた。話題は、抗生物質から、薬剤耐性菌の話、ケミカルバイオロジーという学問がはじまり、時代はエピジェネティクスを標的とする抗がん剤を考えるよになり、最後は夢の長寿薬はできるのか?という話題にまで及ぶ。

参加して思ったのだが、講義になれている講師の方でも、難しいことを素人向けに簡単に説明するのは逆に難しそうだということだ。勿論、興味があって参加してくる方はそれなりの知識をもっているのだろうが、最低限、高校レベルの生物の知識は必要であり、新聞や雑誌の科学記事は普段から目を通しておく下地があった方が望ましいと思った。つまり、本来のサイエンスカフェは、受身ではなく、素人の参加者が疑問や質問をだす質疑応答、参加者同士で意見交換をする受身ではなく、文字通り参加することに意義がある。前半の吉田さんの概要よりも、むしろ何気ない抗生物質は細菌には効くがウィルスには効かないといった”余談”の方が印象に残っていたりもする。本場、フランスでは話題提供者は3~4名ほどで、ディスカッションが中心だそうだが、さすが哲学の国フランスだ。おそらく、参加者が積極的に本気でディスカッションしたら、予定の70分を軽くオーバーしそうだが、シャイな日本人は初対面の人ばかりの集まりで、私もそうだが、なかなか積極的に手を挙げることができないのが、ちと残念。

ちなみに簡単なアンケートを提出することになっているが、最後に理系・文系を回答する項目がある。経済学部出身の私は、昔のゼミノートの半分以上が数式でうまっているので、いつもどちらに回答すべきか迷う。三省堂主催のカフェでは理系、文系が半々だそうで、参加者の年代も幅広く、男女比も半々くらいだろうか。ところで、講師となる方はベテランで功績や肩書きのある方が多いのだが、30代前後の若い研究者を招いてもおもしろいのではないか、とも思ったりもした。参加する立場としても、完成形を期待しているのではないので、現場でおこりつつある科学をそれこそ”素朴な目と感性”で話ていただければそれでもよいのではないだろうか。それは兎も角、どうやら、サイエンスカフェは私のスケジュールに定着しそうだ。

■おさらいアーカイブ
エピジェネティクスが見る夢
「エピジェネティクス入門」佐々木裕之著
「タンパク質の一生」永田和宏著
「動的平衡」福岡伸一著
不老不死の薬が届く日
生命の未来を変えた男


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2 コメント

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サイエンスカフェ (有閑マダム)
2011-03-02 05:15:25
初めて聞きましたが、日本ではもう定着しつつあるほど普及しているのですね。
やはり日本の人は、勉強熱心で知的好奇心が旺盛なのだなあと思います。 
アメリカでは、なかなか普及しないかも・・・場所を選ぶでしょうね。 シリコンバレーなら、いけるかもしれません!?

講演する側としても、自分の研究内容を聞きたいと興味を持ってくれる一般の人に話すのは、やりがいのあることなのではないでしょうか。

けれど、研究者としての素質と、一般の人にわかりやすく、しかも満足してもらえるように話す技術は別物なので、なかなか大変な仕事かもしれませんね。
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本を読む女 (樹衣子)
2011-03-03 23:19:16
>有閑マダムさまへ

おっしゃるとおり、やっぱり人口が密集している都市でないと開催は難しいかと思います。

>日本の人は、勉強熱心で知的好奇心が旺盛なのだなあと

真面目に働いても、日本人のバカンスや生活レベルの規模はたかがしれているから、こういう内向きの探求になびくのかもしれません。知的好奇心については、長距離通勤の満員電車の影響もありか?ゲーム、携帯電話でメールする者ありですが、勉強や読書をしている通勤客が本当に多いと思います。私も出かける時は、本がないと不安です。
でも、以前、アメリカではスーパーなどで一般人向けの科学雑誌もおいてあり、普通の主婦の方も買っていくというのを読んだことがあり、さすがにアメリカは違うな・・・と感じました。考えれば、私にとっては科学系の本を読むはげみともなっています。
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