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映画「ハンナ・アーレント」が上映される

2013-01-12 15:09:55 | Movie
年があけ、今年もコンサートや旅行の予定を入れようとしていたところ、こんな映画が上映されることがわかった。
マルガレーテ・フォン・トロッタ 監督によるユダヤ系ドイツ人で政治哲学者であるハンナ・アーレントHannah Arendtをテーマーにした映画『ハンナ・アーレント』である。

ハンナ・アーレントとはどのような人物であろうか。
生物学者の福岡伸一さんがイタリアに行った時、学会をぬけだしてバスに乗ったところ、ごく普通の主婦と思われる女性がハンナ・アーレントを読んでいたと記述していた。この時の福岡さんのちょっとした驚き感には、私も同感だ。一部表現が違うかもしれないが、普通を一般的、主婦を会社員におきかえてもよいだろうが、彼女は日本人にはあまりなじみがなく、その著作物は私達が読むには、東野圭吾の「新参者」以上になかなか難解である。

アーレントは、1906年に社会民主主義の両親のもとにハノーファー郊外に生まれる。。マールブルク大学でハイデッガー、ハイデルベルク大学ではヤスパースに、フライブルク大学でフッサールに師事して哲学・神学を学ぶが、ナチス政権成立後の1933年にパリに亡命して、同じ立場のユダヤ人の救援活動をするものの、1941年再び今度は米国に亡命。執筆活動、プリンストン大学などの客員教授を歴任しながら自由な思想を持ち続けた。彼女の最も大きな業績は全体主義の起源をあきらかにしたことと、イエルサレムで裁かれたアドルフ・アイヒマンの裁判の傍聴記録「イェルサレムのアイヒマン」(悪の陳腐さについての報告)の著者としても知られている。

本作品では、1960年から64年までアーレントがアイヒマンの裁判を傍聴し「ニューヨーカー」に記事を連載するのだが、世論はアーレントがアイヒマンを極悪人ではなくただの仕事に忠実な小さな役人と喝破したことに納得せずに、彼女はいっせいに批判をあびる。そんな状況にも関わらず、絶対悪とは何か、思考することを追及したひとりの女性の凝縮された4年間が描かれている・・・らしい。

さて、主人公のアーレントを演じるのは監督が信頼をおき彼女でなければ映画を撮らないとまで言わせたバルバラ・スコヴァ。彼女は、監督が考える限り「いかに人々は思考するか」、あるいは「人が考えるという事」を演じられる唯一の役者。ちなみに、重要な観察される側の人物アイヒマンを演じられる役者がいなかったため、というよりも役者に要求するものではないため当時の白黒ドキュメンタリー映像を採用しているとのこと。

「私は理解したい」

アーレントの基本原理が映画監督に当てはまるように、私自身の内なる言葉でもある。

監督/脚本:マルガレーテ・フォン・トロッタ
脚本:パメラ・カッツ

キャスト:
バルバラ・スコヴァ
アクセル・ミルベルク
ジャネット・マクティア
2013年秋に公開予定

■なぜアーレントが重要なのか
「なぜアーレントが重要なのか」E・ヤング=ブルーエル著
「われらはみな、アイヒマンの息子」ギュンター・アンダース著


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